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11月 質の悪い奴ら
9 雅さんの悩み8
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とすると、……雅さんはどうでしょうか? あなたは高く売れますか? 何をしたら、高く売ることが出来ると思いますか?」
「店長……私が出来る事なんて、素っ裸になって男を喜ばせるだけだよ。わかって聞いているの?……酷いね」
俺の目をみて、凄む雅さんは、
「……違うね……
ごめん。
店長なら、そんな事、聞かないね。
わかってる。
でも、何だろ?」
「雅さんのお子さんは、このお店の従業員なら、どうなんでしょうね? それでも、ダメだって言いますかね?」
俺は、掛け値なしで、持っている手札をきった。これが俺が出来る最大の雅さんへの恩返しなのだが、しかし、この業界そのものを疎ましく思うのなら、それは、これ以上俺には、どうしようも出来ない。
「店長、そういう事? 店で、キャストじゃなくて、スタッフとして働くって事?」
「そうです。俺達には理解できないキャストの気持ちに寄り添う事があなたなら出来るんじゃないですか? 仕事を覚えて、経理のことも郷田さんに教わって、PCの操作、ホームページの更新は充希に教わって、いずれは、店長を目指すのも良いし、本部の総務に行くのもいいんじゃないですか? どうでしょうね?」
「店長……私が出来る事なんて、素っ裸になって男を喜ばせるだけだよ。わかって聞いているの?……酷いね」
俺の目をみて、凄む雅さんは、
「……違うね……
ごめん。
店長なら、そんな事、聞かないね。
わかってる。
でも、何だろ?」
「雅さんのお子さんは、このお店の従業員なら、どうなんでしょうね? それでも、ダメだって言いますかね?」
俺は、掛け値なしで、持っている手札をきった。これが俺が出来る最大の雅さんへの恩返しなのだが、しかし、この業界そのものを疎ましく思うのなら、それは、これ以上俺には、どうしようも出来ない。
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