凪の始まり

Shigeru_Kimoto

文字の大きさ
上 下
157 / 390
10月 けんたろーの旅路

26 パパ2

しおりを挟む
「私とお兄ちゃんは防波堤で知り合ったの。今年の五月に。

私は、お父さんが去年、海で死んじゃって、それで、ママが不安定になっちゃって、それを誰にも言えなくて、言いたくなくて、惨めに感じてずっと、一人でいたの。

そんな時、お兄ちゃんと知り合ったの、最初は変な人だなって思ったけど、ほんとに私が言った、ここで待ってるって言った、防波堤に毎日の様に来てくれて、ただ、一緒に釣りをして帰って行くの。私は、学校に来いってい言われていたら、行ったかどうかわからない。でも、お兄ちゃんは言わないの。そして、釣りをするだけ。

そのうちに仲良しになって、遊びに行ったり、ご飯食べたりしていたら、お兄ちゃんが気が付いたの。私の本当に学校に行けない理由に。

凄く嬉しかった。

わかってくれる人がいるんだ。いたんだって。その時に少し言っていたのが、昔の話。お兄ちゃんが子供の時の事。お兄ちゃんを捨てていなくなったお父さんの事」

私はおじさんの表情が陰るのを見ていた。

どうしようか迷った。

話をしていいか迷った。
しおりを挟む

処理中です...