凪の始まり

Shigeru_Kimoto

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8月 リリィさんと海 (前編)

18 リリィさんをエスコート3

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俺の右横には防波堤があって高さは2mくらいかな。そこと平行に走る道路は相変わらずの渋滞だ。その道は途中で大きく左に曲がっていてまっすぐは道が無い。そのカーブからは歩道も無くなり、狭い道幅である。俺が、そのカーブを道なりにカーブへ曲がろうとしたら、

「そこ、まっすぐいけるよ」

耳元のリリィさんが言う。

「え? 道無いよ」

「ここ、防波堤、この上、ここ歩けば近道だよ」

道路は小さな山を迂回していた。右の防波堤は、そのまま、まっすぐ迂回した先へと続き、防波堤の上までは2mくらいで、乗れそうだった。

「行くか?」

「行くよ!」

俺は、両手に持つ大小の箱を先に防波堤の上へと乗せて、背中のリリィさんを一旦下ろして、背中から抱き上げてあげると、”よいしょ”と防波堤の上へとよじ登って行った。おっと、上を覗くとリリィさんのスカートの中が、俺はそこから目をそらして、

「よいしょ」

「なんか年寄りくさいよ」

リリィさんも言っていたよな?そんな事を思いながら、昇った。
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