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SSSランクへ
自由の都~リク~
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クラン『自由の都』の拠点の会議室を開ける。
「スバルやっと40階層攻略に向けて動くんだな!ソロ野郎なんて早く抜きに行こうぜ」
会議室には『魔女の都』『フロマージュ』に最近30階層を攻略したSランクパーティー『ヒマワリ』が集う。クランのSランクパーティーの全員だ。『ヒマワリ』は4人の男女で組んでいるパーティーのため会議室には15人の顔ぶれが並んでいる。
「リク落ち着いてくれ。今日はパーティーの再編成を行う予定だ」
「どういうことだ!?」
ミレイが亡くなってから1週間特に動いていなかったのは、攻略の準備を行っていると思っていた。ソロ野郎が40階層攻略を聞いて俺達もやっと挑戦するのだと期待していた俺にクランリーダーの言葉は全く違うものだった。
「それはねリク、私達は冒険者を続ける気ではいるけど魔王に挑戦するのは諦めようと思っているのよ」
「すまないリク。僕もこれ以上いても足手纏いにしかならないだろう。闇ギルドの戦闘で違いを思い知らされたよ」
「な、なんでだよ。アメリアさんに湊さんまで・・・・・・このままやられたままでいいのかよ!」
「リクそれは違う。ミレイの願いはやり返してほしいわけではないだろ?思い出せ俺達が叶えたい願いを」
「蓮くん・・・・・・ミレイの願い・・・・・・」
(そうだ、ミレイだけではなく俺達の願いは一つだ)
-------------------------------------
『魔女の都』のメンバーは元々、学年はバラバラだが高校が同じで大学で集まるようになった。ミレイとスバルが同級生で、湊さんと蓮くんが1つ上でアメリアさんが2つ上だ。
スバルと蓮くんが先輩後輩の仲でそこから皆と繋がっていき、食堂で会うとご飯を一緒に食べるようになっていった。
様々な学生が食堂に集まる中、俺達も6人で席を取りご飯を食べていた。
「ねーねー、リクってミレイの事好きでしょ?」
「ちょ、いきなりなんすかアメリアさん!?」
「大人の感って奴?」
「大人って2つしか変わらないですから!」
真っ赤な顔して話している俺が横を見ると、ミレイがやり取りを見て微笑んでいた。
高校から見てきたこの笑顔をずっと見ていたい。俺はミレイが好きだけど今の時間はこの仲間達と一緒に過ごしたいと考えていた。
「今ミレイを見てドキッとしたでしょ?」
「まじからかわないでくださいよ!」
アメリアさんからなんでも顔に出過ぎってよくバカにされる。
自分でもよくわかっているけど、出てしまうのだからしょうがない。
「それにしても私だったらよかったのに~」
「え!?」
スバル達が笑いを堪えるような顔をしている。
さすがの俺も騙されているのに気づく。
「ほんとに勘弁してくださいよ~」
食堂に5人の笑い声が響く。
俺は仲良く皆で他愛ない話をして過ごす時間が好きだった。
全員の願いが決まったのは転移する少し前だ。
「そういえばみんな聞いた?」
「ああ」
スバルと最初に尋ねたアメリアさんだけは知っているみたいだが、他の3人は知らない様子だ。何の話だろうか。
「私達の高校だけど少子化のせいで、取り壊しが決まったんだって。来年から募集が止まるみたいよ」
「そうなんだ。寂しくなるね」
「少子化なら仕方ないよ」
「子供も減ってきたって言ってたもんね」
自分たちが3年間過ごした校舎が壊れると聞いて、少し重い気持ちとなった。
それぞれの青春を歩んだ思い出が詰まっているのだから。
「私達と同じようにあの校舎で過ごす子がいなくなっちゃうのか~。子供がいっぱいいたら壊されることもなかったのかな」
その後転移した俺達の願いは、自分達の母校で青春を過ごす後輩が続くことを掲げ、魔王討伐を決めた――
-------------------------------------
「母校を守るために魔王を討伐することだ・・・・・・」
「思い出したようだね。けど湊やアメリアさんは魔王討伐を諦めてるわけじゃないよ?『自由の都』として魔王討伐ができるように後輩の育成、メンバーのスカウトを軸に活動してくれるんだ」
「そういうことだ。僕は戦闘では限界が来ているかもしれないが、他の部分でやれることをやるよ」
自分勝手に考えていたことが恥ずかしかった。
1人ならダンジョンか闇ギルドに突っ込んで行っただろう。
仲間がいることが心強かった。ふと1人で常に戦うユリトの姿が浮かぶ。
あいつにも願いがあるのかなと考えたが、すぐに気にするのをやめた。
「それでパーティーだが『魔女の都』は俺とリクと蓮に『フロマージュ』からツバメを加え、4人でいく。アメリアも40階層まではこっちにいてくれ。湊はツバメのポジションで頼む」
「「「了解」」」
「意見がある者はいるかい?40階層は明後日から挑戦しようと思う。情報もあるし討伐できると考えている」
『ひまわり』のリーダーが手を挙げる。
スバルのどうぞの声で立ち上がる。
「スバルさん、俺達『ひまわり』は魔王討伐が目標で組んでいるだけのパーティーだ。『マノ王国』で一番強いアナタのクランにいることが近道だと思ってここにいる。仲良しごっこはいらない。40階層で俺達が活躍したら『魔女の都』とパーティーメンバーの入れ替えを希望する」
「わかった。クラン『自由の都』も、魔王討伐が目標だ。実力があるものを主力として攻略をするよ。ポジションも考慮はするつもりだけど。いい機会だしルールや方針も決めとこうか。」
スバルが一息ついてクランの面々に向かって話す。
「パーティーの方針は俺が決める。俺への意見は冒険者ランクが最上位のメンバーのみだ。話し合いで決まらないことは多数決で決める。そしてクラン依頼の管理や新規メンバー育成などは俺ではなく他の管理者を用意する。そんなところでみんないいかい?」
全員が頷く。
『自由の都』の3パーティーがSSランクになったのは、2週間後だった――
「スバルやっと40階層攻略に向けて動くんだな!ソロ野郎なんて早く抜きに行こうぜ」
会議室には『魔女の都』『フロマージュ』に最近30階層を攻略したSランクパーティー『ヒマワリ』が集う。クランのSランクパーティーの全員だ。『ヒマワリ』は4人の男女で組んでいるパーティーのため会議室には15人の顔ぶれが並んでいる。
「リク落ち着いてくれ。今日はパーティーの再編成を行う予定だ」
「どういうことだ!?」
ミレイが亡くなってから1週間特に動いていなかったのは、攻略の準備を行っていると思っていた。ソロ野郎が40階層攻略を聞いて俺達もやっと挑戦するのだと期待していた俺にクランリーダーの言葉は全く違うものだった。
「それはねリク、私達は冒険者を続ける気ではいるけど魔王に挑戦するのは諦めようと思っているのよ」
「すまないリク。僕もこれ以上いても足手纏いにしかならないだろう。闇ギルドの戦闘で違いを思い知らされたよ」
「な、なんでだよ。アメリアさんに湊さんまで・・・・・・このままやられたままでいいのかよ!」
「リクそれは違う。ミレイの願いはやり返してほしいわけではないだろ?思い出せ俺達が叶えたい願いを」
「蓮くん・・・・・・ミレイの願い・・・・・・」
(そうだ、ミレイだけではなく俺達の願いは一つだ)
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『魔女の都』のメンバーは元々、学年はバラバラだが高校が同じで大学で集まるようになった。ミレイとスバルが同級生で、湊さんと蓮くんが1つ上でアメリアさんが2つ上だ。
スバルと蓮くんが先輩後輩の仲でそこから皆と繋がっていき、食堂で会うとご飯を一緒に食べるようになっていった。
様々な学生が食堂に集まる中、俺達も6人で席を取りご飯を食べていた。
「ねーねー、リクってミレイの事好きでしょ?」
「ちょ、いきなりなんすかアメリアさん!?」
「大人の感って奴?」
「大人って2つしか変わらないですから!」
真っ赤な顔して話している俺が横を見ると、ミレイがやり取りを見て微笑んでいた。
高校から見てきたこの笑顔をずっと見ていたい。俺はミレイが好きだけど今の時間はこの仲間達と一緒に過ごしたいと考えていた。
「今ミレイを見てドキッとしたでしょ?」
「まじからかわないでくださいよ!」
アメリアさんからなんでも顔に出過ぎってよくバカにされる。
自分でもよくわかっているけど、出てしまうのだからしょうがない。
「それにしても私だったらよかったのに~」
「え!?」
スバル達が笑いを堪えるような顔をしている。
さすがの俺も騙されているのに気づく。
「ほんとに勘弁してくださいよ~」
食堂に5人の笑い声が響く。
俺は仲良く皆で他愛ない話をして過ごす時間が好きだった。
全員の願いが決まったのは転移する少し前だ。
「そういえばみんな聞いた?」
「ああ」
スバルと最初に尋ねたアメリアさんだけは知っているみたいだが、他の3人は知らない様子だ。何の話だろうか。
「私達の高校だけど少子化のせいで、取り壊しが決まったんだって。来年から募集が止まるみたいよ」
「そうなんだ。寂しくなるね」
「少子化なら仕方ないよ」
「子供も減ってきたって言ってたもんね」
自分たちが3年間過ごした校舎が壊れると聞いて、少し重い気持ちとなった。
それぞれの青春を歩んだ思い出が詰まっているのだから。
「私達と同じようにあの校舎で過ごす子がいなくなっちゃうのか~。子供がいっぱいいたら壊されることもなかったのかな」
その後転移した俺達の願いは、自分達の母校で青春を過ごす後輩が続くことを掲げ、魔王討伐を決めた――
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「母校を守るために魔王を討伐することだ・・・・・・」
「思い出したようだね。けど湊やアメリアさんは魔王討伐を諦めてるわけじゃないよ?『自由の都』として魔王討伐ができるように後輩の育成、メンバーのスカウトを軸に活動してくれるんだ」
「そういうことだ。僕は戦闘では限界が来ているかもしれないが、他の部分でやれることをやるよ」
自分勝手に考えていたことが恥ずかしかった。
1人ならダンジョンか闇ギルドに突っ込んで行っただろう。
仲間がいることが心強かった。ふと1人で常に戦うユリトの姿が浮かぶ。
あいつにも願いがあるのかなと考えたが、すぐに気にするのをやめた。
「それでパーティーだが『魔女の都』は俺とリクと蓮に『フロマージュ』からツバメを加え、4人でいく。アメリアも40階層まではこっちにいてくれ。湊はツバメのポジションで頼む」
「「「了解」」」
「意見がある者はいるかい?40階層は明後日から挑戦しようと思う。情報もあるし討伐できると考えている」
『ひまわり』のリーダーが手を挙げる。
スバルのどうぞの声で立ち上がる。
「スバルさん、俺達『ひまわり』は魔王討伐が目標で組んでいるだけのパーティーだ。『マノ王国』で一番強いアナタのクランにいることが近道だと思ってここにいる。仲良しごっこはいらない。40階層で俺達が活躍したら『魔女の都』とパーティーメンバーの入れ替えを希望する」
「わかった。クラン『自由の都』も、魔王討伐が目標だ。実力があるものを主力として攻略をするよ。ポジションも考慮はするつもりだけど。いい機会だしルールや方針も決めとこうか。」
スバルが一息ついてクランの面々に向かって話す。
「パーティーの方針は俺が決める。俺への意見は冒険者ランクが最上位のメンバーのみだ。話し合いで決まらないことは多数決で決める。そしてクラン依頼の管理や新規メンバー育成などは俺ではなく他の管理者を用意する。そんなところでみんないいかい?」
全員が頷く。
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