小武士 ~KOBUSHI~

崗本 健太郎

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第48話 後日談と・・・

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 肉民という変わった名前の店で開かれた祝賀会。酒が入っていないにも関わらず、皆凄い盛り上がりようであった。ここへ来て五十嵐が徐に口を開く。
「これでようやく本懐を遂げることができたな。俺はもう思い残すことはないよ」
縁起でもない話だが、あながち冗談にも聞こえない。

「これから何度も防衛するんだ。まだくたばってもらっちゃ困るぜ」
 明は憎まれ口を叩きつつも、本当に嬉しそうだ。
「おめでとう明くん。私、本当に嬉しい」秋奈は感極まった様子だ。

「ありがとよ、秋奈。お前の応援、しっかり届いてたぜ」
誇らしげな笑みを浮かべた明を見て、五十嵐の説法にも一層熱が入る。
「強い者には自然と感謝の心が身につくものだな。周りや巡り合わせ、上に行く者は良いモノを持っている。勝てば勝つほどに己の強運を喜ばずにはいられなくなるだろう」
穏やかな時間が流れ、皆今日の喜びに浸っていた。

「それと――」秋奈は少し言い難そうに話している。
「それと?他に何かあったっけ?」明は全く予想がつかないと言った様子だ。
「できちゃったみたい」秋奈は新鮮なトマトのように赤くなりながら言った。
「できちゃった?それって――」明は状況は理解できたが、かなり驚いていた。

「はっはっはっ。これで昼も夜も世界チャンピオンだな」
 五十嵐に揶揄われて、明も思わず赤くなってしまった。
 18歳9ヶ月9日での世界制覇。17歳6ヶ月で史上最年少チャンピオンとなり、練習嫌いであったことでも有名な、プエルトリコ人のウィルフレッド・ベニテスには及ばないものの、日本人として最年少チャンピオンとなったことで、明はマスコミや世間からも大いに注目されることとなった。

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