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第18話 護衛依頼2
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王都を出発してから三日が経った。
何事もなく順調に進む。
「ちょっと、ちょっと」
フェミニアに手招きされる。
「どうしたの?」
「盗賊云々って言ってたじゃない。念のため鑑定で他の人見てみたんだけど…」
「まさか?」
「そのまさかよ…どうする?」
「どうかしたのですかな?」
『ん?何かあったの?』
ロペスさんが心配そうに声をかけてきた。
コルネットも起きたようだ。
あと二日で目的地の港町プエルガへ到着するらしいのだけど。
ガタン!
荷馬車が急に停まった
「すまねえ。車輪が脱輪したらしい。しばらくお待ち下せえ」
御者が荷馬車を止めたようだった。
僕は警戒した。
フェミニアが言っていたことが本当ならば…。
「脱輪?山の中は不安定な道ですからな。くぼみにはまり込んだのでしょうか?」
ロペスさんが外に出ようとするのを僕は止めた。
「どうしたのですかな?」
「フェミニアの言う通りならば外に出るのは危険です。冒険者たちは盗賊らしいですから…」
「「なんじゃと!?」」
「ロペスさん外に出てきてもらえませんか?」
冒険者が声をかけてきた。
ロペスさんに何かするつもりなのだろう。
僕は荷馬車の後ろのホロをゆっくりとめくった。
五人の冒険者たちが怖い顔をして見ている。
「『拘束魔法』」
僕はコルネットが使っていた拘束魔法を使ってみた。
魔法の縄が冒険者たちをあっという間に拘束する。
剣を抜いていたらしく、手から離れて地面に音を立てて落ちていた。
「やっぱり狙っていたのか。ロペスさん彼らは盗賊です。おそらく荷物を狙っていたのでしょう」
「…それは誤解だ。モンスターが近くに居るって言うから剣で応戦しようと…」
言い訳を始めるリーダーの男。
「そうそう」
他の者も同意している。
「モンスター?本当に居るのかね」
『近くにモンスターは居ませんわ。そもそもわたしたちに近づけないようにしているので』
*
冒険者の盗賊たちは、近くにあるタリベ町冒険者ギルドへ連れて行った。
彼らは以前から犯行を計画的に練っていたらしい。
ギルド資格剥奪。
その後、刑を受けることになる。
盗賊は重い刑罰、最悪死刑らしい。
「ソウタさん助かりました。あの冒険者…もとい盗賊達と一緒だったらと思うと背筋が寒くなる。命拾いしたわい」
「フェミニアの鑑定のお陰で、前もって解っていたから対処出来たんです。彼女のお陰ですよ」
「ええ?私何もしてないわよ?」
フェミニアは慌てて両手を振って否定した。
実際彼女が言ってくれたお陰で、前もって準備が出来たようなものだ。
御者が居なくなったので、ロペスさんが荷馬車を操り目的の港町プエルガへと向かった。
山を越えると、潮の香りがしてきた。
海が近くなったようだった。
「海かあ~いいな」
しばらく海に行っていなかったな。
異世界の海も同じ香りがする。
「初めてでは無いのですな?ソウタさんの生まれは海の近くで?」
「いえ、海の近くでは無いです。小さい頃、家族で行った憶えがあるので…」
学校行事の臨海学校もなんやかんやで中止になったし。
って話をしていたら家族を思い出してしまった。
元気でやっているだろうか。
『ソウタ、元気ない?』
感傷に浸っていたら、コルネットが心配していた。
僕は頭を撫でられていた。
「ちょっと昔を思い出しちゃっただけだよ…大丈夫」
ほんの少し思い出してしまっただけだ。
何事もなく順調に進む。
「ちょっと、ちょっと」
フェミニアに手招きされる。
「どうしたの?」
「盗賊云々って言ってたじゃない。念のため鑑定で他の人見てみたんだけど…」
「まさか?」
「そのまさかよ…どうする?」
「どうかしたのですかな?」
『ん?何かあったの?』
ロペスさんが心配そうに声をかけてきた。
コルネットも起きたようだ。
あと二日で目的地の港町プエルガへ到着するらしいのだけど。
ガタン!
荷馬車が急に停まった
「すまねえ。車輪が脱輪したらしい。しばらくお待ち下せえ」
御者が荷馬車を止めたようだった。
僕は警戒した。
フェミニアが言っていたことが本当ならば…。
「脱輪?山の中は不安定な道ですからな。くぼみにはまり込んだのでしょうか?」
ロペスさんが外に出ようとするのを僕は止めた。
「どうしたのですかな?」
「フェミニアの言う通りならば外に出るのは危険です。冒険者たちは盗賊らしいですから…」
「「なんじゃと!?」」
「ロペスさん外に出てきてもらえませんか?」
冒険者が声をかけてきた。
ロペスさんに何かするつもりなのだろう。
僕は荷馬車の後ろのホロをゆっくりとめくった。
五人の冒険者たちが怖い顔をして見ている。
「『拘束魔法』」
僕はコルネットが使っていた拘束魔法を使ってみた。
魔法の縄が冒険者たちをあっという間に拘束する。
剣を抜いていたらしく、手から離れて地面に音を立てて落ちていた。
「やっぱり狙っていたのか。ロペスさん彼らは盗賊です。おそらく荷物を狙っていたのでしょう」
「…それは誤解だ。モンスターが近くに居るって言うから剣で応戦しようと…」
言い訳を始めるリーダーの男。
「そうそう」
他の者も同意している。
「モンスター?本当に居るのかね」
『近くにモンスターは居ませんわ。そもそもわたしたちに近づけないようにしているので』
*
冒険者の盗賊たちは、近くにあるタリベ町冒険者ギルドへ連れて行った。
彼らは以前から犯行を計画的に練っていたらしい。
ギルド資格剥奪。
その後、刑を受けることになる。
盗賊は重い刑罰、最悪死刑らしい。
「ソウタさん助かりました。あの冒険者…もとい盗賊達と一緒だったらと思うと背筋が寒くなる。命拾いしたわい」
「フェミニアの鑑定のお陰で、前もって解っていたから対処出来たんです。彼女のお陰ですよ」
「ええ?私何もしてないわよ?」
フェミニアは慌てて両手を振って否定した。
実際彼女が言ってくれたお陰で、前もって準備が出来たようなものだ。
御者が居なくなったので、ロペスさんが荷馬車を操り目的の港町プエルガへと向かった。
山を越えると、潮の香りがしてきた。
海が近くなったようだった。
「海かあ~いいな」
しばらく海に行っていなかったな。
異世界の海も同じ香りがする。
「初めてでは無いのですな?ソウタさんの生まれは海の近くで?」
「いえ、海の近くでは無いです。小さい頃、家族で行った憶えがあるので…」
学校行事の臨海学校もなんやかんやで中止になったし。
って話をしていたら家族を思い出してしまった。
元気でやっているだろうか。
『ソウタ、元気ない?』
感傷に浸っていたら、コルネットが心配していた。
僕は頭を撫でられていた。
「ちょっと昔を思い出しちゃっただけだよ…大丈夫」
ほんの少し思い出してしまっただけだ。
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