上 下
28 / 28

28 クリフとその後(終話)

しおりを挟む
俺とクリフは、とある店の中で話をしていた。

「まさかねぇ。こんな事になるとは予想もしてなかったよ。」

クリフが言った。
クリフは冒険者になり、頑張っているようだった。
Bランクになったんだとか。
凄いのか俺には分からない。

がっちりとした体形になったクリフは貫録がある。
確かに護衛してもらうには信頼出来そうだ。
剣士って言ってたっけ。
攻撃魔法も使えるらしいけど。
腰には重そうな剣がぶら下がっている。

「城に勤めだしたし、貴族になったから順調に出世するのかと思ったのに。」

クリフは続ける。
「まさか辞めて、店を始めるとは・・。想像つかんかった。」

城をやめる時は王様に必死に止められたっけ。
10年ほど城に勤めたお陰で、お金は貯まっていた。
俺もロココも散在するタイプじゃなかったのが良かったのかもしれない。

「俺はやっぱりさ、また店をやりたくなったんだよ。今回はお店の内装にお金かけられたから思いのまま作れたし、お客もひっきりなしに来るんだよね。」

「オーシャン・アルフレッドの名前は有名だからな。」

「俺は、店をやりながらのんびり暮らすよ。」

「のんびりって・・無理だと思うぜ?」

バタン!
ドアを開ける音が聞こえた。

「店長!回復ポーション10個ほど追加でお願いします。」
最近雇った店のバイト、カイルから声をかけられた。

「のんびりできると思ってたのになぁ。」

「は~いちょっと待ってて。」

バタバタと奥の部屋に駆け込む俺。
まだ在庫があったはず。
箱に10個入れて店の外へ持って行く。

「じゃ、またな。」

「またいつでも来てくれ。」

クリフは店を出た。
「まあ、オーシャンだからな。らしいって言えばらしいけど。」
オレは呟く。
冒険者になってから、ぼくがオレになったんだよね。
不思議なもので。

「依頼終わらせてくるか。」

店を出て振り返る。
店の看板には大きな文字で書かれた店名があった。

” 聖水の雫 しずく
『ポーションのある雑貨店・ご要望何でも承ります』


****


「オーシャン帰り遅いわね。」

ロココは家で帰りを待っていた。

「きゃはは・・」

バタバタと室内を走り回る子供たち。

ミウは女の子、金色の髪で瞳は青空の色、髪を横にふたつに結んでいる。
ライは男の子、茶色の髪に薄い茶色の瞳 
ミウは4歳、ライは6歳だ。

ロココの周りをぐるぐる回っている。

屋敷には赤いバラの花が咲き乱れている。
外で過ごすにはいい季節だ。

もうじき日が暮れる。

「早く帰ってこないかな。」

子供たちとオーシャンの帰りを待つ穏やかな日々。
いつまでもこんな日が続くといいな。



---------------------------------------------------------

最後まで読んで頂き有難うございました。

実は1年前の作品なのですが、初めてのアルファポリス様の投稿でしたので他サイトで人気があった物を掲載させて頂きました。

当時のままに残しておきたかった為修正はしておりません。

次も別の作品を投稿します。

宜しければまた読んで頂けると幸いです。^^

しおりを挟む
感想 4

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(4件)

sayure
2024.12.11 sayure

想像していた結末とは違いましたが、テンポよく、楽しく読ませて頂きました。

月城 夕実
2024.12.14 月城 夕実

感想有難う御座います。^^
楽しんでもらえたようで何よりです。

解除
卓也
2024.07.14 卓也

完結、お疲れ様でした。
ストーリー、テンポ(最後ら辺省く)が良くて!
良かったです!(物足りなさ満載)
短編ってわかっているのだけど!
最後の方はなんって言うか?駆け足過ぎて?残念ですね?
城にてのポーション研究の改変?城での給料の価格帯とか!(最後に店再開するのに内装をこだわったってあるから?普通に大金が動くって分かるけど!)
貴族(婿入り)の直の店になるから?ある程度の護衛か?義父様の息のかかった元家臣とかが見張っているのは、ないのか!
って思うってしまいました。

月城 夕実
2024.07.14 月城 夕実

感想有難う御座います。
なにぶん勢いだけで書いていた部分もあり、設定が甘かったりするのでその辺御勘弁を。
楽しんで頂けたようで何よりです。

解除
キラSS
2024.06.30 キラSS

面白くなりそう、ブラント助けた実績があれば少しは客来そうですけどね、実績が増えれば増えるほど比例して客も増えるだろうし。

月城 夕実
2024.06.30 月城 夕実

感想有難うございます。^^

解除

あなたにおすすめの小説

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」 「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」  私は思わずそう言った。  だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。  ***  私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。  お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。  だから父からも煙たがられているのは自覚があった。  しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。  「必ず仕返ししてやろう」って。  そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。

異世界に召喚された様ですが、村人Aと間違えられて追い出されましたorz

かぜかおる
ファンタジー
題名のまんま、特に落ちもないので、暇つぶしにフワッと読んでください。

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

完)まあ!これが噂の婚約破棄ですのね!

オリハルコン陸
ファンタジー
王子が公衆の面前で婚約破棄をしました。しかし、その場に居合わせた他国の皇女に主導権を奪われてしまいました。 さあ、どうなる?

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。