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「じゃあ行こうか?」
ボクはドアの方を向き歩きだした。
後ろから戸惑う声と二つのばらばらな足音が着いてくる。
廊下に出ると沢山の生徒がいた。
丁度下校時間だから当たり前か。
横を通り過ぎるたびに聞こえるヒソヒソ話に耳を傾けないように歩いていく。
しかし、どうしても耳に入ってくるもさ頭に対する憎悪・同情、ボクに対する歓喜・興奮の声に体力がどんどん奪われていく。
まったく、これからが本番だというのになんか疲れてしまった。
早く終らせて、仕事をしてくれているであろうあの人が見たい。
それだけでこんな疲れ、きっと吹っ飛んでしまうよ。
「なぁ、どこ行くんだ?」
もさ頭の方の声が聞こえた。
そんなもの気にせずにボクは歩き続ける。
「あれ、聞こえなかった?どこ…」
「とにかく、今は着いて行こう。な?」
ボクが答える気がないと解ったのか、友達がもさ頭を嗜める。
本当に察しのいい、いい友達じゃないか。
「は?よくわかんない場所に着いて行くのかよ!行き先くらい教えてくれてもいいだろ!」
「ぅ…そうだな。わかった。」
まぁ正論といえば正論だが、賢明ではない意見に友達は折れたようだ。
噂でもそうだったが、さっきの態度を見る限りだとこのもさ頭に惚れているらしいから仕方ないか。
「あの、先輩。今どこに向かっているんですか?」
今度は友達の方の声がボクにかかった。
彼は何故質問に答えないか解っていたようだ。
「進路指導室だ。先生には話を付けてあるし、使用中にしておけば邪魔も入らないからね。」
「そうですか。ありがとうございます。」
きっちりボクに礼を言った後、「だってさ。」ともさ頭に話す友達。
それに対し、「何で俺には教えてくんなかったのにお前には教えてくれたんだよ!」と文句を垂れるもさ頭。
自分で考えてみろ。と頭の中で呟いてみる。
自分と彼の違いなんて多少鈍くてもわかるもんだ。
尚もギャーギャーと騒ぐもさ頭を完全に無視して歩き続けると、暫くして目的の場所に着いた。
ドアの前には進路指導の先生が立っていた。
「先生、今日はご協力頂きありがとうございます。」
「いや、構わないよ。俺は職員室にいるから、終わったら声を掛けてくれ。」
そう言いながら教師は、ボクに鍵を渡し去って行った。
「ありがとうございます。」と、軽く頭を下げ教師を見送ってから進路指導室の鍵を開け、ドアに掛かる札を<使用中>にしてから中に入ると後から二人も着いてくる。
「先輩は、礼儀正しい方なんですね。」
予想外の言葉が後ろから掛けられる。
僕にとってはこれが普通だからそんなこと言われるなんて思ってなかった。
いや、でも平気でタメ口をきいてくるこいつらから見れば、
「君たちから見ればそう見えるかもしれないね。」
「あ、さっきはスミマセンでした!」
勢い良く頭を下げる男前なお友達。
ちょっと気分良いな。
じゃなくて!
「いや、君はボクのこと知っていたようだし、あの反応は仕方ないさ。」
「座ろうか。」と二人を促し、部屋の中央に設置されてる椅子に腰掛け、机を挟み向かい側の椅子に二人を座らせた。
ボクはポケットに手を入れるとそこに入ってる小型レコーダーの録音ボタンを二人に悟られないよう押した。
ボクはドアの方を向き歩きだした。
後ろから戸惑う声と二つのばらばらな足音が着いてくる。
廊下に出ると沢山の生徒がいた。
丁度下校時間だから当たり前か。
横を通り過ぎるたびに聞こえるヒソヒソ話に耳を傾けないように歩いていく。
しかし、どうしても耳に入ってくるもさ頭に対する憎悪・同情、ボクに対する歓喜・興奮の声に体力がどんどん奪われていく。
まったく、これからが本番だというのになんか疲れてしまった。
早く終らせて、仕事をしてくれているであろうあの人が見たい。
それだけでこんな疲れ、きっと吹っ飛んでしまうよ。
「なぁ、どこ行くんだ?」
もさ頭の方の声が聞こえた。
そんなもの気にせずにボクは歩き続ける。
「あれ、聞こえなかった?どこ…」
「とにかく、今は着いて行こう。な?」
ボクが答える気がないと解ったのか、友達がもさ頭を嗜める。
本当に察しのいい、いい友達じゃないか。
「は?よくわかんない場所に着いて行くのかよ!行き先くらい教えてくれてもいいだろ!」
「ぅ…そうだな。わかった。」
まぁ正論といえば正論だが、賢明ではない意見に友達は折れたようだ。
噂でもそうだったが、さっきの態度を見る限りだとこのもさ頭に惚れているらしいから仕方ないか。
「あの、先輩。今どこに向かっているんですか?」
今度は友達の方の声がボクにかかった。
彼は何故質問に答えないか解っていたようだ。
「進路指導室だ。先生には話を付けてあるし、使用中にしておけば邪魔も入らないからね。」
「そうですか。ありがとうございます。」
きっちりボクに礼を言った後、「だってさ。」ともさ頭に話す友達。
それに対し、「何で俺には教えてくんなかったのにお前には教えてくれたんだよ!」と文句を垂れるもさ頭。
自分で考えてみろ。と頭の中で呟いてみる。
自分と彼の違いなんて多少鈍くてもわかるもんだ。
尚もギャーギャーと騒ぐもさ頭を完全に無視して歩き続けると、暫くして目的の場所に着いた。
ドアの前には進路指導の先生が立っていた。
「先生、今日はご協力頂きありがとうございます。」
「いや、構わないよ。俺は職員室にいるから、終わったら声を掛けてくれ。」
そう言いながら教師は、ボクに鍵を渡し去って行った。
「ありがとうございます。」と、軽く頭を下げ教師を見送ってから進路指導室の鍵を開け、ドアに掛かる札を<使用中>にしてから中に入ると後から二人も着いてくる。
「先輩は、礼儀正しい方なんですね。」
予想外の言葉が後ろから掛けられる。
僕にとってはこれが普通だからそんなこと言われるなんて思ってなかった。
いや、でも平気でタメ口をきいてくるこいつらから見れば、
「君たちから見ればそう見えるかもしれないね。」
「あ、さっきはスミマセンでした!」
勢い良く頭を下げる男前なお友達。
ちょっと気分良いな。
じゃなくて!
「いや、君はボクのこと知っていたようだし、あの反応は仕方ないさ。」
「座ろうか。」と二人を促し、部屋の中央に設置されてる椅子に腰掛け、机を挟み向かい側の椅子に二人を座らせた。
ボクはポケットに手を入れるとそこに入ってる小型レコーダーの録音ボタンを二人に悟られないよう押した。
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