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2章・地位確立

俺は媚を売っただけなのに

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 バーウィンに媚を売ることを決めたものの、何をすればいいのかが全く分からない。
 うーむ、本当に何をすればいいのか。
 うん、仕方がない。本人に直接聞こう。
 回りくどいことはめんどくさいからね、直球で聞くよ。

「バーウィン、俺にして欲しいことある?」

「、、、は??」

 兄弟たちとは別れ、今はバーウィンを出迎えるために着替えている途中である。
 本来王族ならば、部屋でどっしりと構えているだけで良いのだが、俺が「迎えに行く」と言うと、バーウィンから「俺も行く」と言われた。
 王族に出迎えをさせるとハーウェザーに嫌味がいきそうで嫌なんだけどなぁ。

 俺は聞きたいことはさっさと聞いてしまえの精神で、バーウィンに早速俺がやって欲しいことについて聞いた。

「じゃ、じゃあ、俺の婚約者になって欲しい!!」

「それは却下で。」

「なんでだよ?!俺の婚約者になってくれよ!」

 うわぁ、なんか必死なんですけど。
 もちろんハーウェザーのためなら身体ぐらいなら、条件付きなら売っても良いけど、王族の婚約者は流石にめんどくさい。
 

 てか、バーウィンは俺を婚約者にしたがるね。これは先んじて条件提示をしておくべきかな。

「俺をバーウィンの婚約者にしたいなら、俺を惚れさせてからにして。俺は恋愛結婚したいの。分かった?」

「わ、分かった。絶対に惚れさす。」

 結構な自信だな。
 俺は甘いフェイスだけで惚れるような尻軽じゃないぞ。

「で?婚約者以外に俺にして欲しいことは?」 

「そうだなぁ、じゃあ、毎日俺にハグをしてくれよ。」

 なぁに言ってるんだ?
 、、、反射的に否定するのは良くないな。
 これは温もり目的では?
 幼い頃に母を失い、十分な親からの愛情に飢えている彼からのSOSなのでは?
 それならば、話は変わってくる。
 まあ、飢えているのは彼が人から距離を置きたがったからなのだが。
 俺は、そう言う切に願う系のSOSはしっかりとキャッチする派だよ。

「分かりました。その願い、引き受けさせていただきます。」

「ああ、私もその返事が聞けて嬉しい。」

 今はハーウェザーを迎えるために部屋を出ている。喋りがカチカチになったのは気にしないでね。

「それにしても、私の弟の出迎えにバーウィン様のお手を煩わせてしまい申し訳ありません。やはり、部屋で待ってた方がよろしいのではないでしょうか?」

 一応最後の賭けとして、お前がいるとハーウェザーが迷惑被るんじゃと伝えてみる。
 さあ、俺の嫌味攻撃は通じるのか?

「気にしなくても良い。私もリューの弟がどのような人物か気になるからな。」

 オーマイガー。
 俺の嫌味攻撃は全く効いてないようだ。毛ほども効いてないね。
 流石王族。嫌味攻撃への耐性が強い。


 王門についてしまった。
 それにしても、こういうひらけた場所に来ると、いつもは見えないバーウィンについている使用人とか護衛がしっかりと見えていいね。

 バーウィンは使用人や護衛を部屋の中に入れていないけど、彼らを付けないと言うと選択肢は王族を守るって意味でも、見栄って意味でも絶対にない。
 だから、護衛は壁や扉を一つ挟んだ向こう側に、使用人は部屋の中までは入らないけど、ある程度の準備をする。
 で、今までは彼らが準備したものをバーウィン自身が受け取ってだけど、今は俺がいるから、仲介役よろしく、俺にその仕事が回ってきてる。
 普通にめんどくさいよね。 
 でも、使用人とか護衛の人が普通にいい人なんだよね。異常に人を寄せ付けないバーウィンのことも理解しつつ心配しているし。
 なにより!!、今まで顔も名前も知られていなかった俺がきても、最初は怪しんでたけど少ししたらいい感じに接してくれるし。


 そんなこんなしてたら、豪華な馬車が城門をくぐり、城内に入ってきた。この豪華が指す意味は、煌びやかって意味ね。
 権力や財力を示すように、無駄に宝石が馬車につけられている。その宝石とってもいいのかな?
 あと、家紋がついている。あの家紋ってどこのだろう?

「あの、バーウィン様、あの馬車の家紋ってどこの家紋ですか?」

「、、え?は?えっと、ブランド家だけど、知らないの?」

 分からないことを聞いただけなのに、かなり驚かれたと思ったら、俺の家の家紋だったらしい。それに、ナチュラルに煽られたし。
 
 しかし、まあ、自分でもびっくしたね。
 己の家紋を知らなかったなんて、結構生き恥じゃない?
 いや、でも、よく考えれば、自分の家の家紋と触れ合える時間に値する馬車に乗るとかは、俺はしてこなかったからなぁ。
 してこなかったって言うか、やらせてもらえなかったって言うか。


 己の家紋について考えていると、馬車の中から待望の人物が出てきた。
 そう!、ハーウェザーだよ!!
 嬉しいね!!
 てか、一緒にいる護衛が近衛なんだけど?なぜ?
 バーウィンの機嫌が悪くなるからやめて欲しいんだけど。
 ハーウェザーは、バーウィンの横にいる俺に驚いたようだ。まあ、そうだよね。
 でも、同時に嬉しそうな顔をしてくれたことに兄の俺は猛烈に感動しているよ!!

「ハーウェザー=ブランドでございます。本日からよろしくお願いします。」

「ああ、よろしく頼む。私はバーウィン=ドル=ガレット。私のことはバーウィンと呼んでもらって構わない。」

「かしこまりました、バーウィン様。では、私のことはハーウェザーとお呼び下さい。」

 す、すごいよ。
 あの超絶可愛いハーウェザーが超絶カッコよくなって再登場だよ。
 初めて会った時は幼さ全開だった顔つきもキリッとしたイケメンになってしまって。それに、身長もデカくなっちゃって。俺より既に大きいしね。
 そのイケメン成分のほんの少しでも、俺に欲しかったのですが?
 それに、礼儀作法もしっかりとしていて、俺は感無量で泣きそうだ。子どもの成長とはこうも早いものなんだね。
 てか、泣いている。そのせいで、周りにいる使用人に変な目で見られている。ついでに、護衛の近衛にも。
 
 しょうがないじゃないか!可愛い弟が大変身して再び俺の前に現れたんだよ!!
 いや、こんなんじゃダメだ。こんないい男になってしまったハーウェザーに変な虫がつかないようにしないと。
 
 俺、害虫駆除に勤しみます!!


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