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2章・地位確立
俺は勉強を教えただけなのに
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なんやかんやあったが、今日も俺は新たな一日を迎えることができた!!
それに、楽しみなこともある!!
今日は、ハーウェザーと人目を気にすることなく話せることが嬉しくてテンションマックスだよ!!自分で言っておいてなんだけど、兄弟なのに人目を気にして会話しないといけないなんて不遇じゃね?
まあ、俺は不遇も逆境も武力でねじ伏せるが。
と、朝からハーウェザーに会える嬉しさからハイテンションな俺は、貴族間のやり取りが「ちょっと今から遊びに行くわ」みたいな感覚では無いことに、王城に着いてから気が付いた。そして、本来の目的はバーウィンへの教育であることは一切記憶になかった。
さっきの反動で、今の俺は超ローテンションだ。
何もやる気が起きない。そもそも目的地も分からずに、城に入った。
あれ?なんで来たんだっけ?
帰ろっかなぁ。うん、そうだ、帰ろう。
「リュー。君は私の家庭教師だろう?」
バーウィンに呼び止められた。そして、思い出した。
家庭教師、、、家庭教師?
そうだ、家庭教師だ!!
「申し訳ございません。すっかり忘れておりました。」
「言葉は丁寧だけど、随分な言い草だね。」
うるさいやい!
ほんとに、今まで家庭教師のこと忘れてたよ。
そうだ。それよりも、重要な質問があったんだった。
「ハーウェザーはいつ来ますか?!」
「い、いや、それ以外に何かないのか?」
「あっ、そうですね。ハーウェザーに会えないから動揺してた。今日からビシバシ鍛えていきます。ついでに、剣術と魔法の訓練もするので、ぶっ倒れる準備をしておいてね。」
「結構恐怖心を煽る言い方をするんだね。君、不敬って言葉知ってる?」
ええ、もちろん。知っててやってますから。
とは言えない。バーウィンと二人きりなら言えるが、今俺たちがいるのは廊下。他のものの目がある状況で不敬な態度を取ると、俺への批判が天元突破してしまう。
そんなこんなで始まった家庭教師生活。勉強に関しては、基本的なことは全て習得できていたようなので、細かいところを教えている。本当に基礎だけなんだけど。
それも、古い時代の内容になるほど基礎しかない。まるで、その内容をもともと知らなかったみたい。
それでも、王子教育の賜物か、元々の頭の良さなのか、教えたことはすんなり覚えるし良いね。
すんなり覚えるのだが、流石に知らないことが多すぎやしないだろうか?
俺が家庭教師やる必要あるかな?とか最初は思ったが、これなら俺の存在意義も見出せる。
しかも、俺は今日のために、以前ハーウェザーに勉強を教える時に作った教科書を持ってきた。
自分で言うのもなんだが、結構良くできたと思う。屋敷にいる孤児の子たちにも人気な教科書である。
俺のめんどくさがりが反映されているのか、覚えるのに苦労しないように書いたからね。魔法陣を仕込んで、教科書上で絵が動くようにしたり、結構工夫した。
無事、初日の家庭教師兼護衛騎士の役目を終えた。まあ、護衛のようなことはほとんどしてないんだけどね。一日中侍ってただけだよ。そして、めっちゃ疲れた。
主に、第一王子の護衛騎士の役目は、内側からの攻撃ではなく、外側からの攻撃を守ることである。
第一王子たるバーウィンは優秀であるし、王族ではあるが家族仲も良好。
王子は現在バーウィンを含めて3人いる。第二と第三王子は第二王妃の子供だが、彼女に権力欲はなく、バーウィンが皇太子、また次期王であることを認めている。彼女が第一王妃と幼ない頃から仲が良く、主従の関係はないが彼女が第一王妃を慕っていたことが理由であろう。
これに関しては、バーウィンの安全に関わるため、使用人の噂話を聞きまくった。
おかげで、使用人とか仲良くなれた。
ただし、第一王妃は四年前の毒殺が原因で既に亡くなっている。
それを理由に、バーウィンは荒れた。
しかし、彼は分かりやすい荒れ方をしなかった。表面上は、母の死を機に自分を叱咤し、より勉学に励むように見えただろう。
でも、俺はそうは見えなかった。別に、俺は神じゃないし、この世界を俯瞰できるわけでも、他人の心情を読み取れるわけでもない。でも、彼のあの目は、己の母を守れなかったものへの侮蔑がある気がする。その瞳の向ける方向が、無差別なのはいかがなものだろうかとは思うが。当時第一王妃の護衛をしていた近衛への態度は絶対零度だけどね。
そして今、王と王妃はそんな団長の縁で他国に挨拶に行っている。
訃報なんて聞きたくないんだけどねぇ。
もちろん、その侮蔑は自分にも向かっているからこそ、勉学に励んだのだろう。
その侮蔑が、やがて相手を馬鹿にすることも含み出したのは、彼の優秀さ故であろう。
だって、誰も彼もが褒めるからね。まあ、怒られることがないのは良いことだけど、子どもはある程度怒ることも折り込みで接さないと捻くれると思うんだよね。または、超絶の我儘に育つ。
という結論に達したので、俺はバーウィンをビシバシ教育することにする。
知識面は知らないのはしょうがないので特にビシバシもクソもないのだが、剣術魔法に関してはスパルタ中のスパルタで行く。
死なない程度に扱く。
それが俺の鍛え方だ。
ふっふっふっ、俺の訓練は逃げ出したいほど辛いだろうが、逃しはせぬ。
そちらが俺を家庭教師に任命したのだ、俺が満足するまで訓練してやる。
それに、楽しみなこともある!!
今日は、ハーウェザーと人目を気にすることなく話せることが嬉しくてテンションマックスだよ!!自分で言っておいてなんだけど、兄弟なのに人目を気にして会話しないといけないなんて不遇じゃね?
まあ、俺は不遇も逆境も武力でねじ伏せるが。
と、朝からハーウェザーに会える嬉しさからハイテンションな俺は、貴族間のやり取りが「ちょっと今から遊びに行くわ」みたいな感覚では無いことに、王城に着いてから気が付いた。そして、本来の目的はバーウィンへの教育であることは一切記憶になかった。
さっきの反動で、今の俺は超ローテンションだ。
何もやる気が起きない。そもそも目的地も分からずに、城に入った。
あれ?なんで来たんだっけ?
帰ろっかなぁ。うん、そうだ、帰ろう。
「リュー。君は私の家庭教師だろう?」
バーウィンに呼び止められた。そして、思い出した。
家庭教師、、、家庭教師?
そうだ、家庭教師だ!!
「申し訳ございません。すっかり忘れておりました。」
「言葉は丁寧だけど、随分な言い草だね。」
うるさいやい!
ほんとに、今まで家庭教師のこと忘れてたよ。
そうだ。それよりも、重要な質問があったんだった。
「ハーウェザーはいつ来ますか?!」
「い、いや、それ以外に何かないのか?」
「あっ、そうですね。ハーウェザーに会えないから動揺してた。今日からビシバシ鍛えていきます。ついでに、剣術と魔法の訓練もするので、ぶっ倒れる準備をしておいてね。」
「結構恐怖心を煽る言い方をするんだね。君、不敬って言葉知ってる?」
ええ、もちろん。知っててやってますから。
とは言えない。バーウィンと二人きりなら言えるが、今俺たちがいるのは廊下。他のものの目がある状況で不敬な態度を取ると、俺への批判が天元突破してしまう。
そんなこんなで始まった家庭教師生活。勉強に関しては、基本的なことは全て習得できていたようなので、細かいところを教えている。本当に基礎だけなんだけど。
それも、古い時代の内容になるほど基礎しかない。まるで、その内容をもともと知らなかったみたい。
それでも、王子教育の賜物か、元々の頭の良さなのか、教えたことはすんなり覚えるし良いね。
すんなり覚えるのだが、流石に知らないことが多すぎやしないだろうか?
俺が家庭教師やる必要あるかな?とか最初は思ったが、これなら俺の存在意義も見出せる。
しかも、俺は今日のために、以前ハーウェザーに勉強を教える時に作った教科書を持ってきた。
自分で言うのもなんだが、結構良くできたと思う。屋敷にいる孤児の子たちにも人気な教科書である。
俺のめんどくさがりが反映されているのか、覚えるのに苦労しないように書いたからね。魔法陣を仕込んで、教科書上で絵が動くようにしたり、結構工夫した。
無事、初日の家庭教師兼護衛騎士の役目を終えた。まあ、護衛のようなことはほとんどしてないんだけどね。一日中侍ってただけだよ。そして、めっちゃ疲れた。
主に、第一王子の護衛騎士の役目は、内側からの攻撃ではなく、外側からの攻撃を守ることである。
第一王子たるバーウィンは優秀であるし、王族ではあるが家族仲も良好。
王子は現在バーウィンを含めて3人いる。第二と第三王子は第二王妃の子供だが、彼女に権力欲はなく、バーウィンが皇太子、また次期王であることを認めている。彼女が第一王妃と幼ない頃から仲が良く、主従の関係はないが彼女が第一王妃を慕っていたことが理由であろう。
これに関しては、バーウィンの安全に関わるため、使用人の噂話を聞きまくった。
おかげで、使用人とか仲良くなれた。
ただし、第一王妃は四年前の毒殺が原因で既に亡くなっている。
それを理由に、バーウィンは荒れた。
しかし、彼は分かりやすい荒れ方をしなかった。表面上は、母の死を機に自分を叱咤し、より勉学に励むように見えただろう。
でも、俺はそうは見えなかった。別に、俺は神じゃないし、この世界を俯瞰できるわけでも、他人の心情を読み取れるわけでもない。でも、彼のあの目は、己の母を守れなかったものへの侮蔑がある気がする。その瞳の向ける方向が、無差別なのはいかがなものだろうかとは思うが。当時第一王妃の護衛をしていた近衛への態度は絶対零度だけどね。
そして今、王と王妃はそんな団長の縁で他国に挨拶に行っている。
訃報なんて聞きたくないんだけどねぇ。
もちろん、その侮蔑は自分にも向かっているからこそ、勉学に励んだのだろう。
その侮蔑が、やがて相手を馬鹿にすることも含み出したのは、彼の優秀さ故であろう。
だって、誰も彼もが褒めるからね。まあ、怒られることがないのは良いことだけど、子どもはある程度怒ることも折り込みで接さないと捻くれると思うんだよね。または、超絶の我儘に育つ。
という結論に達したので、俺はバーウィンをビシバシ教育することにする。
知識面は知らないのはしょうがないので特にビシバシもクソもないのだが、剣術魔法に関してはスパルタ中のスパルタで行く。
死なない程度に扱く。
それが俺の鍛え方だ。
ふっふっふっ、俺の訓練は逃げ出したいほど辛いだろうが、逃しはせぬ。
そちらが俺を家庭教師に任命したのだ、俺が満足するまで訓練してやる。
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