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2章・地位確立

俺は金が欲しかっただけなのに

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みなさまお久しぶりです。
今話も読んでいただきありがとうございます。
新章を書くにあたって、話を読み返していたのですが、やはり前章では主人公の年齢が低すぎなのでは?と思うようになり、基本的に3歳分年齢を引き上げております。
話が更新されいると思っても新話がない場合には、既存の話が更新されたと思ってください。
主人公のみ年齢をあげたので、弟の年齢は変わっていません。その代わり、弟との年齢差が1歳から4歳になっています。
話の流れで大きく変わることは無いですが、ここに報告をさせていただきます。

今後もよろしくお願いします。

—————————————————————


 馬車に揺られること二時間、俺、王都上陸!!
 初めて、まともな手段で王都に来たよ。いつも、転移魔法で来てたからね。


 ブランド領は辺境にあるのに、なんでそんなに早く王都に着くんだ?と思う人もいるだろう。理由は簡単、王都とブランド公爵領には転移ゲートがある。まあ、これが使えるのは王族がいる時か、王命によるものかだけなんだけどね。それを使ったので、こんなにお早い到着となってしまったのだ。行きたくないなーぁ。


 あぁー、メンドクサッ。
 しかし!!、めんどくさい王族対処法が俺の家の図書室にはあった。
 まず、最上級に敬っておく。そして、死ねとか以外は、喜んで肯定の意思を伝える。
以上!!!
 いや、ダメだ。このやり方で行くと、絶対に後々めんどくさいことになる。
 やはり、信じるべきは己の頭脳である。


 終始高圧的かつ己の自慢話しかしない宰相に案内されながら、歩く。彼の話は大体が嘘っぱちだから、逆に本当の話はあるのかと思いしっかりと話を聞いてしまった。まじで時間の無駄だね。
 

 王城といっても、俺の屋敷を幾分か大きくして、煌びやかにした感じだね。俺の屋敷を質実剛健と評するなら、王城は豪華絢爛と評するのが良いね。


 案内されたのは、部屋だね。執務室かな?扉の前に着いたら宰相が話しかけてきた。

「第一皇子殿下が執務室でお会いになるそうだ。くれぐれも、粗相を犯すなよ。」


 扉の両脇にいる騎士に宰相が声をかけて、入室した。
 部屋には部屋の主人らしき金髪の青年以外、使用人も護衛もいなかった。年は、俺より4つ下、ハーウェザーと同い年の10歳だっけ?
 俺の中の固定概念かもしれないが、第一王子はザ王子様みたいな金髪と微笑めば令嬢令息区別なく恋に落とせそうな顔《かんばせ》てである。しかし、剣術や魔術も嗜み、自分から魔物狩りに行くこともあるようだ。そのためか、全体的にしっかりと筋肉がついていることが分かる。それ故に、王子様に少し野生性をプラスしたような容貌である。
 俺なんて、全く胸板が厚くならないのに、羨ましい限りだ。
 こいつ、既に俺より背が高いかもしれない。
 彼は、勉強中だったのだろうか?本を開きながら、書き物をしていた。

「お初にお目にかかります、ブランド公爵家リューイ=ブランドでございます。」

「ああ、よく来たね。今回は私的な用事だからね。立ってくれて構わないよ。」

 ということで、俺は立った。そして、第一王子バーウィンを見る。この時、視線によって自分の視界情報を相手に与えないように注意する。そして、諜報活動で身につけた、観察しているけど相手には分からないやつ。そう、原理はよく分からんが、頑張って練習してできるようにした。観察すると、不機嫌になる奴がいるからね。ちなみに、俺は不機嫌になる奴です。


 バーウィンを見るたびに、毎度毎度思っていたが、俺は彼が嫌いだ。
 王族に嫌いとか不敬じゃねと思うかもしれないが、どうしても不敬という言葉があるか考えて欲しい。
 それは、不敬をするために不敬というワードが誕生したことに他ならないら。つまり、せっかく作った言葉はたくさん使わなとねってことだ。


 彼の噂はよく聞く。とても優秀だと。 
 勉学だけでなく、剣術や魔法も。それで、このチヤホヤは、彼を有頂天にしなかった。
 そんなこともできないのかよって考えになった。直接的に言ったり、態度で表したりはしない。そこは、曲がりなりにも優秀な王子だ。でも、相手を見る目が、蔑むような目が見える。
 俺は人の悪意に結構晒されてきたから、人の目から感情を読み取ることも得意なんだよね。
 まあ、蔑む目には毒殺された第一王妃が一番関わっているかもしれないけど。


 まあ、少なくとも彼は井の中の蛙であることは間違いない。俺だって、かなりの知識を持っている。でも、知識なんて毎日更新しなければいけない。剣術や魔法も同様。日々研究を重ね、より効率的に、より素早く。
 彼は、限られた知識のみを吸収し、それを全てだと思っている。
 知識を吸収した後は自己研鑽、自己探究をしなければ、知識をものにしたとは言わないのに。
 そんな第一印象をバーウィンに抱いていると、彼は話し始めた。まあ、彼を見たのは初めてではないが。

「それで、私は君がドラゴンを倒すところを見たんだよ。そんな人材、野放しにするわけにはいかないだろ。だから、私の護衛騎士に任命しようと思ったんだよ。」

 なるほど。お前の怪しい力を監視すると言いたいのだろう。まあ、ドラゴンを単騎で倒すなんて、前代未聞であることはよく分かっている。
 てか、こいつと俺を繋ぐ赤い糸は、ドラゴンだったんだね。マジで覚えてねぇー。ドラゴンなんて日常的に狩ってるから、分からんよ。

「誉高き名誉をありがとうございます。拝命させていただきます。」
  
 そう言って、契約をささっと結ぶ。前もやった、精霊を通しての契約ね。


「そう。ありがとう。じゃあ、次は質問だ。どうして私が出した手紙を無視したのかな?」 

 きたよ、この質問。これを聞かれたら、なんて答えようかずっと悩んでたんだよね。でも、俺はバーウィンに会った時から返答を決めていた。
 さあ、ビシッというのです、俺よ!!

「その、嘘くさい、人を貶した笑顔を止めるなら、答えます。」

「は?お前、何言って、、、」

 決まったね。
 結構驚いてるみたいだね。でも、どんな驚きだろうね。自分の完璧だと思っていた笑顔を見破られた驚きか、王族たる自分に生意気な態度をとってきた驚きか。
 彼の蔑む目がただ単に周りを馬鹿にしているだけでなく、「母を守れなかったくせに」という感情が宿っているのは憶測できるが、彼の周りに彼より優秀なものがいないために蔑みがより助長されたのは間違いない。


 しょうがない。自分が住んでいる国なんだ。その長になる王子を徹底的に教育してやる。
 不敬と言われようがなんと言われようが、やってやる。


 まず最初の不敬をやります!!

「お話はもう終わったようですので、退出させていただきます。私も忙しいので。」

 ふっふっふっ、どうだ。王族の許可がないのに、勝手に退出する!!それに最後、私も忙しいので、どうでも良いことに呼ばないでくださいってことを伝えて見た!!
 伝わっているかわ知らないが、王族だから、分かるだろう。知らんけど。

 
 俺は部屋を出て、廊下に誰もいないことを確認して、転移魔法で屋敷に帰った。
 明日から大変だわ。
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