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二章・管理人

久しぶりの世界樹

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「久しぶりだね世界樹くん!!」

 僕は植物に語りかけて知能を育ませる系の精霊王である。
 まあ、その当の世界樹はしゃべらないんだが。悲しい独り言だね。

「、うっ、、、すっ」 

 「なぜ木に話しかけてるのですか?」みたいなツッコミを期待していたのだが。

「、、え?なんで泣いとるん?」
 
 びっくり仰天。  
 なぜか、世界樹を見たいと言ったジークハルトが泣いている。

「あっ、すいません。感動のあまり。あと、自責の念に駆られまして。こんな神秘的なものに邪念を抱くなんてダメですね。」

 ?
 最初から最後まで言っている意味が分からなかった。
 僕は従者の感情までも制限するような悪徳主人じゃないよ?ご自由な思想を持ってよろしいよ?
 ただし、裏切るのは悲しいからやめてほしいね。


 そうだ。なぜ世界樹を見に来たかを説明しないとね。
 まあ、理由なんて一つしかないよね。

 そう、何となく見たくなったから。
 以前見た時は青々と茂った葉を見せてけれた世界樹くんだけど、最初に見た時は木偶の坊みたいな様子だった。そりゃ、心配にもなる。

 あと、その話をしたらジークハルトが見たいと言い出した。
 普段から自己主張を余りしないジークハルトからのお願いに、僕は迷いなく世界樹へ招待することにした。


 まあ、そうしたらジークハルトが泣いていたわけだけど。

「あの、どうしたの?」

「申し訳ございません。神秘的な光景に思わずと言ったところです。」

「そう?まあ、泣くほど嬉しいなら良かったよ。」

 よく分からないけど、従者の幸せは嬉しい。
 永遠に分からない気がするけど、まあいいや。
 いや、それよりもなぜジークハルトは世界樹を見たいと言ったんだろう?

「ジークは、何でこれが見たいって言ったの?」

 僕は世界樹にもたれながら聞く。
 よく分からないけど、世界樹とは触れ合った方がいい気がする。
 世界樹からは自然エネルギーと言うのか、精霊に近しい力が流れている。

 だからか、僕は世界樹との触れ合いに心地良さを感じている。精霊王の魔力を世界樹に渡して、世界樹からは自然エネルギーをもらっているって感じ。
 いわゆる、ギブアンドテイクだ。これ大事ね。一方的なギブも一方的なテイクも良くない。
 それに、ずっと前からこうしていた気がするし。僕の第六感かな?

「世界樹と聞いて、憧れがあったので。」

「それって、精霊が出てくる御伽話のやつ?」

「ええ。所詮は御伽話でしたし、本当に実在しているとは思ってなかったですが。」

 そう言って、ジークハルトは涙滴る顔をあげる。
 めっちゃいい感じに涙が太陽光を反射し、木々の木漏れ日の光も合わさり、後光のように見えてしまう。

 羨ましい!!
 イケメンであれば、泣いていてもカッコよく見えるなんて!!
 僕の容姿は、母親の影響が強いのか、果てしなく女顔だ。既に体は成長し切っており、僕の容姿は可もなく不可もなくみたいな感じである。

 異世界転生あるあるの、イケメンになっていることを期待して何度川を鏡がわりにして、自分の容姿をチェックしたものか。

 やってることはみみっちいが、この顔は一生の付き合いだ。
 だから、しっかりと査定をしてあげないと。

 まあ、その査定結果が、女顔ってことなんだけど。

 
 僕も「転移したらイケメンになってしまいました」みたいなシチュエーションがあって欲しかった。そうすれば、ジークハルトみたいに、水滴を使った後交がさす演出をできるのに。

 おっと、僕のイケメンへの嫉妬が現れてしまった。
 失礼失礼。これは、また今度の機会にしよう。
 それよりも今は、ジークハルトの話だね。

「で、どう?生の世界樹は?」

「何というか、素晴らしいですね。私にも満ち満ちたエネルギーが感じられます。」

 エネルギーが感じられるね。精霊になっている影響かね。
 何となくだけど、この世界において精霊は自然界にあるべきしてあると言うか、あって当たり前みたいな感じだね。

 表現は最悪だけど、日本においてはあの黒くテカテカして、カサカサしている、よく台所に出現するGは、世界において必要だけど、人間はあくまで異物だって言うから、精霊もGみたいなものってこと?

 うん最悪だわ。何で、そんなこと考えたんだろ?
 
「ラント様」

 僕が精霊=Gと言う最悪な等式を成立させてしまい参っていると、ジークハルトが片膝をついて、僕の手を握っている。

 何だろう。よく少女漫画でありそうな、王子様がお姫様にプロポーズをするような、ありきたりなシチュエーションだ。
 まあ、僕がお姫様側であることは予想外だけど。

 もしや、告白かな?
 もしかして、僕は結構美人さんってことかな?

「私の忠誠を貴方様に。」

 そのまま、ジークハルトは僕の手の甲に彼の形のいい唇を落とした。

 僕は思ったね。
 告白じゃないんかーい!!ってね。
 
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