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出店場所 その2

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「ダメだ! ダメだ!」

 国王に会うどころか、城の衛兵に門前払いを食らったよ。
 高速移動すれば、俺だけ城に侵入することもできるけど、止めとこう。 
 俺が国王に会えたとしても、『どうやってここまで来たのだ?』と訊ねられたら返答に困るしね。

「やっぱり、ダメだ……。店を失った私は、借金だけ残ってしまって……、家族にどう話せば良いだろうか」

「せめて、ロアイドさんも刺し身対決に参加できれば」

「いや、私なんか、ヒジカタさんみたいな腕はありません。運良く参加できたとしても、とても勝てませんから」

「そんな……」

「いや、見て知っていますよ。東商店街で売れない魚屋を大繁盛させた風変わりな男って、キキンで有名ですから」

 肩を落とし、寂しそうなロアイドさん。

「ありがとう、ヒジカタさん。料理対決、アシダダムなんかに負けないで下さいね」

 そう言い、滲む夕日を背に、帰って行った。
 
 後日、あの火事を調べてみると、不思議な事が多い。
 ロアイドさんが経営していた居酒屋と民宿の80坪(約264㎡)だけ、線で引っ張ったみたいに全焼していて、その両隣と後ろの宿屋は焦げすらない、全くの無傷だということ。

 まるで、測って燃やしたみたいなんだよね。
 そして、偶然か、両隣と後ろの宿屋は全部アシダダムの店という。

「出来過ぎてるよ」

 店主に相談してみると、キキン国の役人は大なり小なり賄賂を受け取り、汚い行為を裏でやっていると言ったよ。

「だけど、ビンソン。アイツは裏で特別ひどい行為を平然としてるって話しだな」

 そうだったのか。
 人間の欲望が1番汚いのかもな。 
 俺なんかじゃ、なんとも出来そうにないね。

 ならば、刺し身対決で俺が勝利して、あの土地をロアイドさんと二人で使うのはどうだろう。
 なにせ80坪(平均的なコンビニ2店舗分)もあるわけだし。

 3階建の店舗にして――、
 1階が俺の魚屋さんとロアイドさんの居酒屋。
 2階が俺の寿司屋と、ロアイドさんの宿屋。
 3階は全部ロアイドさんの宿屋。
 
 どうだ、悪い話しじゃないぞ。
 今度ロアイドさんに相談してみよう。
 

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