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最終審査 

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 キキン城・王の間。

 ロアンくんと報告に来ていらいだな。
 二次審査も合格し、いよいよ最終審査に残った5品から優勝が決まるよ。

 でも、俺を除いた4品のうち、刺し身が3品。
 それも、全部店で出しているカルパッチョ風刺し身と全く同じとは。

 まあ、仕方がないかな。
 あれだけ毎日毎日、魚屋店主の店で刺し身を大量販売して、売上も以前の20倍。
 今、キキン国は刺し身が大ブームだもんね。
 大金と名誉が一気に手に入る大会だもん、みんなが刺し身を出品しないわけないよね。

 二次審査のとき、それに気付いたので、この最終審査には刺し身を出してないよ。

 キキン国王から15メートル手前の大理石テーブル(審査台だね)に、大きな銀ボールが逆さまに5つ並んでいる。
 最終審査の5品が入っているよ。
 審査員は、おなじみの10名に加えて、キキン国王も味見するみたいだね。

「まだかのお。の腹は、とっくに鳴っておるぞ」

「準備が整いましたので、まずは、我らから審査させていただきます」

「楽しみじゃのう。今年はどんな絶品が出てくるか」

 キキン国王は美食家らしいよ。
 珍しい食べ物、噂の料理。
 外国だろうと、海外だろうと、食べるためにわざわざ部下を派遣して取り寄せるそうだ。
 
 いよいよ、召使いが銀ボールを取り除く。
 
「「「「おおお……な、なんだ、あれ?」」」」

 参加者5名と審査員が立ち上がり眼を見開いたよ。
 カルパッチョ風刺し身が4つ並ぶ一番端っこには、大きめの朱塗りの陶器に盛られた、リング状の一品。
 俺の品だね。

「前の審査品と違うが、ヒジカタよ」

「ああ、そうですね。変えました。大会規定に『出品の途中変更OK』って記載されてたんで」

 俺の一つ隣に座る料理人が「いいわけねーだろ、クソがッ!」と呟いたよ。

 言葉遣い悪いなあ。
 見れば、ヤンキーぽい男がイラついていたよ。
 両耳はピアスだらけ。長い茶髪を後ろで結わえ、白衣が滅茶苦茶黄ばんでるんだけど。
 ばっちいなあ。洗濯してよね。

 俺をギロリと睨んだよ。
 一瞬、サキュバットかと思ったけど、ステータスを見たらただの人間。

 名前はアシダダム・ロイトイ……、レベル2、攻撃力8か。
 うちの店主さんより弱い数値なんだけど。

 無視だね。
 相手にしないのが1番だね。

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