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3章

スタート

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 ドンッッッ――――――!!

 大太鼓を打ち鳴らしたような重低音が俺の頭に聞こえたよ。
 視界に色がつき始めてゆく。

 感じる。
 感じていく。
 炎の音も、焼ける匂いも、全身に走る痛みも、大勢の個体意識も。

 俺の周りには、燃え上がる小さなしずく型ビトスライムが群がり、
 その5メーターほど奥に、竜の頭と人間の胴体をしたSSSレアエインシェントがいた。

 俺は死んだはずなのに……。
 たしか、……そうだ。
 暗闇で、えっと、思い出せないぞ。

「…………ん?」

 腕組みしたオボスが、小首をかしげる。 

「ヒジカタさん……レベル1に戻っているが……」

 レベル1だって?
 自身のステータスを展開させ、俺は細胞を震わせた。
 も、戻っている……本当に戻っている。
 あれは夢だと、俺は夢を見ていたのかと思ってたけど。
 いや、違う。スキル欄にも『走馬灯』があるじゃないか。

「戻っているが、その異常すぎる数値……」
 
 オボスが俺を睨みつけている。 

 オボスの生命力値16桁『千兆』には程遠いが、俺は死ぬ以前の10桁『億』だった。

 はっきりと、思い出したぞ!
 俺は『777777』で大当たりして、ビッグボーナスで『開始』を選択したんだっ!
 それがこれ?
 スロットマシンで遊ぶんじゃないの?

 そう思ったら金色の文字が浮かび、先程の女性の声がしたよ。



 走馬灯スキル  自動スタート

 
 ご理解されていないようなので、
 走馬灯スキル・ラストオプションについて、詳しくご説明致します


 チャレンジは1回だけ

 ゾロ目以外 ハズレ 
 
 大当たり景品は以下になります


『 ゾロ目 (下記以外) 』
 Sレアスライム レベル1 再スタート


『333333』
 SSSレアスライム レベル1 再スタート


『777777』
 SSSSレアスライム レベル1 再スタート
 前世能力引き継ぎ


 以上


 え……。
 再スタートしてるんだ、俺。
 
 SSSSレアスライム・レベル1で再スタート。
 SSSSレアってなに?
 しかも、前世能力を引き継いでるって……。

「……むむむむ……」

 オボスが唸り、首を横に振る。

 そうか!
 それで、俺がレベル1なのに死ぬ間際のレベル30の数値。
 幸運だからと一言では言い表せないような自分状況を、呆気に取られ、素直に飲み込めない。
 そんなだから、SSレアエインシェントたちが放った爆炎を避けきれなかった。
 数十匹の業火を一度に浴びた俺と仲間たちの身体は、一気に燃え上がる。

「……な、なにっ!?」
「……ば……馬鹿な……」
「信じられん……コイツ……」
 
 エインシェントたちは攻撃を止めた。
 唖然として、俺たちを――、
 本来なら灰も残らず、一瞬で蒸発して当然の俺たちを観察している。不思議がっている。

「ぜんぜん熱くないんだけど、どうなってんのヒジカタ?」

 俺の細胞に包まれたランちゃんが言うと、仲間たちも似たような事を言い出したよ。
 それに、さっきまで浮かんでいた小さな数字『3180℃』はなんだろう。
 急速に下がってゆき今は『68℃』だ。
 身体の表面温度か?

  

 ご説明致します

 SSSSレア・スライム細胞

 火 光 雷 氷 耐性100%

 以上



 耐性が100%って、
 攻撃を完全に受け付けないって事?
 ねえねえ、お姉さん、そう言うわけだよね。

 美しいソプラノボイスで『 はい 』と返事をしてくれたよ。

「うおりゃーっっ!」

 1匹のエインシェントが鋸輪波のこりんぱを吐きながら突っ込んできたよ。
 SSSSレアの能力を試したかったのもあって、
 軽く、ほんとに軽く触手を放ったら、エインシェントの胸部内に触手が出現し、遅れて本体から胸部内まで触手が実体化した。
 体内の触手先を傘状に開きロックし、手綱を引くように俺自身も戦士の体内に入り、内部から溶解吸収してみた。

 触手を放ってから吸収まで、0,1秒。
 襲ってきた戦士は1メーター進んだだけで身体は消え、代わりに戦士の体積分大きくなったしずく型SSSSレアスライム――――、俺が身体をぶるんと揺らしている。
 
 直ぐに経験値が流れ、たちまちレベルアップのファンファーレが鳴った。 

 ポンポ――――ン!!
 
 レベルアップ レベル1 → 2

 生命力 ☓ 10

 攻撃力 ☓ 10 

 素早さ ☓ 10

 知能 ☓ 2

 運 ☓ 2


 レベルアップ レベル3
     ・
     ・
     ・

 レベルアップ レベル4
     ・
     ・
     ・

 レベルアップ レベル5
     ・
     ・
     ・

 レベルアップ レベル6


「…………、あ、あのう……なに、これ?」

 次々と流れるテロップに、唖然としちゃったよ、俺。

 まあ、ロールプレイングゲームで遊んだ事があるから分かるよ。
 レベル1のキャラが、強い敵を1匹倒しただけで、レベルがどんどん上がるのは。
 でも、なんで数値上昇が10倍なわけ?
 
 疑問を抱いたら、走馬灯スキルお姉さんボイス登場。



 SSSSレア・スライム仕様
 
 レベルアップのたび
 
 生命力、攻撃力、素早さ 10倍。

 知能、運 2倍。

 以上



「…………はあ」

 はあ、としか言えない。
 1分間、続々と上がり続けた俺のレベルは、12でやっと停止した。
 あのオボスすら口を開けて両眼を震わせているよ。

 だって……、こんなんだもん。
 そりゃあねえ。



 SSSSレア・スライム LV 12  

 生命力 5,368,709,120,000,000,000,000 / 5,368,709,120,000,000,000,000   

 攻撃力  1,610,612,736,000,000,000,000
 素早さ  47,781,511,168,000,000,000,000 
 知能                   102,400,000,000
 運                     102,400,000,000

『変形』
『ステータス確認』
『分裂』
『走馬灯』 

 その他スキル 現在展開不可
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