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1章
城壁都市
しおりを挟む門に戻るとするかな。
さっき気づいたんだけど、俺が高速で走ると、周囲に衝撃波(乱流みたいなの)が起きてしまうんだよね。
砂埃が舞うし、物は飛ぶし、近くにお年寄りがいたら、よろけたりコケたり、女性だとローブがめくれ上がったりして、かなり迷惑をかけるんだよね。
キキンの街を高速移動するときは、空がいいかな。
だから、魚屋店舗の3階から思いっきり跳躍して、身体を紙飛行機みたいにしたんだけど――。
ほらほら、けっこう早く飛ぶよ、これ。
風が気持ち良いね。
下の人たちは意外と気づかないもんだよ。
スライム空を飛ぶ。
未確認飛行物体か、俺って。
あ……、SSたちに飛ぶとこ見られちゃったぞ。
マネしなきゃいいけど。
おっといけない。
屋根の草ぶきがバサバサざわめいてる。
低空飛行はダメだね。
翼の角度を変えて上昇するよ。
キキンの中心部に入る門に近づいたので減速し、手前の納屋に着地して人間化。
ちょうどタイミング良く、控え所で、うたた寝をしている門番がいるんだけど。
さっき斬りつけようとした人だな。
……よし!
びゅうううっ!!
「げっ! どうしたんだお前?!」
目覚めた門番が、下着姿になっているのに気がつく。
「ふえぇ……? あ! あああああ!」
貸してもらったよ。
ファーストくんたちが入った舎内は、軍服姿の人たちばかりなんだよね。
ごめんね。後で返すから。
さっそく軍服を着る。
顔は見つかった時のことを考えれば、ヒジカタじゃないほうが良いね。
そうだなあ、イケメンがいいや。
アイドル歌手を思い浮かべて顔を変化させる。
うまく作れたかなあ。
自分で自分の顔は見えないから、指先に眼を作って確認したら、どことなくロアンくん似のイケメンに仕上がっていたよ。
満足満足。
ファーストくんの話しだと自衛軍は2000人もいるそうだから、見知らぬイケメンが混じっても分からないよね。
さっそく侵入だ。
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