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1章
完食
しおりを挟むラミアフィッシュ完食。
SSたち肥大化。
「……俺より大きくなっちゃって」
俺の1.5倍だな。
「「「……ごめんなさい」」」
「分裂する?」
またもや分裂することでサイズダウンしたよ。
「増えちゃったなー。まあいいか」
俺より二回り小さいスライムが6匹になった。
「「「よろしくおねがいします」」」
新しく増えたSSレア・スライムたちが上半身をペコッと折り、お辞儀をしたよ。
内訳を説明すると、
ボーンキラー・ウルフのときに分裂したスライム3匹がレベル3。
いま分裂で生まれた3匹がレベル1。
8レベの俺を含め、総勢7匹のチームだよ。
どうやら、SSがいくら分裂してもSにはならないみたいだし、俺が全員の親みたい。
試しにレベル3とレベル1のSSたちのステータスを見てみたら、どちらも能力は『変形』『分裂』『ステータス確認』だけ、俺に比べて制約があるみたい。
「せっかくだから、レベル1の新人さんたちに、この池の宝箱を探してもらおうかな」
中央の宝箱以外にも、まだありそうな予感がするんだよね。
「「「はーい!」」」
素直だな。
そうだよ、みんな俺の分身だもん素直で優しくてあたり前。
俺が人間のときもそうだった。
嫌なこと苦手なこと、困ったこと。友人や仕事仲間がよく俺に頼んできたっけ。
俺って断り切れないから、友人の借金の保証人になったんだけど、友人が夜逃げしちゃって。
残った200万を完済せずに俺死んじゃったけど、アレどうなったんだろう……。
もう良いよね、俺死んで日本にいないんだもん。
スライムたちは下半身を笹舟状にし、上半身の一部をオールにして宝箱にまっしぐらだよ。
こっちのスライムは身体を蛇みたいにして、くねくね泳いでいるね。
あっちのはカエルに変身して、スイスイ泳いでいる。
同じSSでも個性があるみたい。
「ヘイヘイホー!」
見つけたらヘイヘイホーと叫ぶように言っている。
宝箱を開ける楽しみは、親である俺だよ。
開けた途端、中身が襲って来るかもしれないしね。
行こうと海底を蹴ったら、ビュンッ! と風切音がして、宝箱の前に移動していた。
慌てて急ブレーキ。
勢い余って停止すると、俺の身体がぶるるんと揺れたよ。
「び、ビビった……なに今の?」
後ろを振り返ると、俺が通った海面部分だけが白くざわめき、波が遅れてやって来る。
俺、いま……海面スレスレを飛んだ……と言うより、まるで瞬間移動。
素早さが11392だから?
「す、すごい……」
スライムが呟く。
「スライムの神さま」
ぞくぞくとSSたちが集まってくる。
「「「「スラ神さま……」」」」
一同礼。
ペコッ。
なんだか照れるなあ。
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