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城神麗奈お嬢様は、おちんぽに感心がおありです
しおりを挟む城神麗奈お嬢様の前の席をゲットしたことは嬉しいけれど、
それを表には出さず、かといって、不愛想でもなく、イイ感じのお嬢様の引き立て役(通称モブ生徒)を演じないといけない。
鹿島新次郎17歳童貞は、そう心に秘めた。
3時限目が終わり、休憩時間。
席替えの興奮も収まり、新次郎はトイレを済ませ、自分の教室に戻ってきた。
窓際の一番後ろが城神麗奈の席である。
静かに文庫本に目を落としている彼女の黒髪は、秋の陽の光を受けてキラキラ輝いている。
妖精のようだなと感じた。
ドキドキしながら、憧れの彼女の横を進んで、その前の自分の席に腰を下ろす。
ふぅ~。
分からないよう深呼吸。
よし、手はちゃんと洗った。
トイレの臭いは学生服に付いていないはず。
トイレを出てから、臭いを飛ばす為、両手で学生服をしっかり叩いたのだ。
だから彼女には、匂わない。大丈夫。
やがてチャイムがなり、授業が始まった。
臭いのことなどすっかり忘れて、黒板に集中していると、小さな声が聞こえてきた。
聞き間違えなんじゃないかと、思ったが。
『おちんぽ、右だったわね』
そう届いたのだ。
確かに。女の子の声で。
おちんぽ?
なにそれ……。
今は数学の授業中である。
教師の声とシャーペンを打つ音だけで、他の雑音は全くない。
俺の幻聴だったのか?
もし本当に女の子の声がしたのだったら、俺だけじゃなく、隣の席の生徒も耳にしたはずなのだが。
周囲を見渡してみても、驚いた感じの生徒はいない。
やっぱり、思い過ごしか。
最近、夜遅くまでゲームやって寝不足だからだろう。
そう自分を納得させ、黒板に目をやっていると再び女の子の声がした。
今度ははっきりと聞こえた。
『2時限のときは、おちんぽは左だったのにぃ。
きっと、さっきの休憩時間に行ったトイレの個室で移動させたのね』
ななな、なに言ってんのっ?
しかも、『さっきの休憩時間に行ったトイレ』って、それ俺?
俺のことかっ!?
声は、俺の後ろの席に座る城神麗奈さんの声にそっくり。
てか、麗奈さんだ。
大好きな麗奈さんの声を、俺が聞き間違うわけがない。
でも。
でもだ。
それはない。
絶対にない!
あるはずがない。
華憐で美しい女神が、おちんぽについて堂々と楽しそうに語るだと?
バカな、わけがないだろ。
「どうした鹿島。そんなに私の授業で興奮するのか?」
教師に注意され、クスクスと生徒たちに笑われる。
すっかり動揺していた俺は、自分でも立ち上がっていたことに今、気が付いたのだ。
「な、なんでもないです」
「精力有り余ってるんだな、鹿島」
今度は大爆笑だ。
照れ笑いしながら着席して、小さくなるしかない。
くそぉ~。
確かに聞こえたお嬢様の衝撃発言だけど、俺以外の誰一人、それには触れていない。
俺が立ち上がった事なんかより、お嬢様のエロ発言のほうが大問題のはずなのにだ!
お嬢様の声は、皆には聞こえていないのか?
俺だけに聞こえる声なのか?
俺だけに……。
首を捻りながら、そっと後ろを振り返ると、
城神麗奈さんが、にっこりと女神のような笑顔を見せてくれた。
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