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前編
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私の婚約者ロイド・クルウェスは英雄だ。
私が生まれる前から続いていた戦争を勝利に導いた英雄。
この国では知らない人はいない剣聖セシルと同じ加護を持ち、幼いころから戦場で戦果を挙げてきた。
その生きざまは語り継がれる剣聖そのもの。
そんな彼と結婚できる私。なんと幸せなことだろう。
かつての剣聖は聖女と結婚した。さすがに自分が聖女だというつもりはないが、負けに劣らず私は幸せなのだろう。
戦地から帰ってきた王国軍を称えた戦勝パーティーの後に私たちは結婚する。
でも気がかりが一つ……ある。
ロイドが私に挨拶に来ないことだ。
私が彼の婚約者になったのは彼が戦地へ行った後。剣聖と同じ加護を持つことから必ず英雄となる彼と直接は会えずとも毎日手紙を送ったものだ。
返信が来ることもそういえば一度もなかった。そのたびに彼の家族が慰めてくれたっけ。
もうすぐパーティーだというのにエスコートの申し出もない。さすがに不安になってクルウェス家に問い合わせてみるとなんと実家にすら帰ってきていないのだという。
私の両親は怒り心頭でならばパーティーはどうするのかと問い詰めた。
戦勝パーティーは伯爵家以上の貴族は全員出席する。
一人でパーティーに行くわけにもいかず、結局ロイドの兄・レイドがエスコートしてくれることになった。
レイドは申し訳なさそうに
「愚弟が申し訳ありません」
と謝罪してくれた。レイドが悪いわけではないのだというのに。全くロイドはどういうつもりなのかしら。
せめてロイドも一人だったらよかったのに。
「ロイド師団長とララティア・ユーステル子爵のご入場です」
他の女を連れているなんて……。
絶句する私など視界にも入れずに、ロイドは主催者である国王陛下に挨拶する。
「ロイドよ。此度の功績、大儀であった」
「有難きお言葉にございます。それも私とともに死地を潜り抜けてくれた同胞と支えてくださった王侯貴族様方のおかげと思っております」
「うむ。謙虚だな。兼ねてよりの約束通りおぬしとユーステル子爵との結婚を認め、お主に辺境伯の爵位を……」
「お待ちください!」
無礼なのはわかっていた。でもここで口を出さなければ泣き寝入りするしかない。
「なんだ無礼だぞ!」
宰相が叱咤するが、私はそれでも前へ出る。
震えて竦みそうになる私をレイドがそっと支えてくれる。
「ご無礼をお許し下さい! ですが、陛下、ロイド様の婚約者はこの私なのです!」
国王陛下は不愉快そうに眉を潜めながら私の名を聞いてきた。
「そなたは?」
「フールル伯爵が娘、リンフェル・フールルと申します」
「ふむ……。ロイドの婚約者……といったか? であればその隣の男は誰だ?」
陛下は私の不義でも疑っているのだろうか。
「御前を失礼いたします。私はレイド・クルウェス。ロイドの兄です。今回はロイドがエスコートを放棄したためにリンフェル嬢のエスコートを務めております」
「クルウェス? はははっははっ」
クルウェスの名を聞くと突然陛下は声をあげて笑った。
「ロイド! お前はいつから伯爵家の子になったのだ? はっはっははっは」
「冗談はおよしください陛下」
ロイドは困ったように頬を人差し指で掻く。
隣の女は心配そうに彼の腕を引く。私がその女を睨みつけると彼は女を庇うように前へ出る。
「えっと……どちらさまでしたか」
「フールル伯爵令嬢よ」
「あぁ、そうだ。えっと、ご令嬢? 何か勘違いを為されてはいませんか?」
「勘違いなものですか! 私とあなたは8年以上婚約を交わした仲です。確かに戦争で会えませんでしたが、だからと言って不義の言い訳にはなりません」
「私はあなたの婚約者のロイドではありません」
……は?
何を言っているのだろうこの人は。
「厳密にいうのであれば、クルウェス伯爵家の者でもないただの平民ですよ私は。そのため貴族令嬢であるあなたと婚約することもなければ、年下の兄がいることもないのです」
「な、なにを言って……お前はロイド・クルウェスだろう! 剣聖と同じ加護を持った英雄の!」
レイドが声を上げて抗議する。まさか戦争に行かせた家族を恨んで絶縁したというの? そんなご両親がどれだけ心配していたか知らないで。
「剣聖と同じ加護……」
パタンとこれまで沈黙していた王妃が扇子を閉じた。
「そういえば15年前に話題になりましたわ。クルウェスの次男が剣聖と同じ加護・『適応』を授かったと」
「あぁ、そういえばあったなそんなこと」
「そんなこと……ですと」
近くで見守っていたレイドの両親はその言葉に絶句する。
クルウェス家にとってロイドが授かった加護にどれだけ誇りに思っていたことか。それをそんなことの一言で片づけられた衝撃は想像を絶するものだっただろう。
「つまりはこういうことでしょうか。戦争へ送ったご子息の顔を伯爵ご一家とその婚約者は覚えておらず、英雄と呼ばれる同じ名前をしたロイドがそうだと誤解した、と。
剣聖と同じ加護を授かった程度で英雄になれるわけもないでしょうに」
「そうだな。そのような甘い力ではないだろうあの加護は」
加護とは一部の選ばれたものにのみ授かる特別な力。
神からの寵愛の象徴とも言われ、どのようなものであろうと持っているだけで偉人になれる力だ。
「呆れたな。死地へ送っておきながら顔も覚えておらぬとは」
「そんなわけ! 見てください! この髪と目の色を! 戦地でもまれ顔つきは似ていないかもしれませんが、間違いなく彼は私の弟ロイドのはずだ!」
「お主は会話を聞いていなかったのか? ロイドが言っておっただろう。年下の兄などいないと」
「と、年下?」
「俺そんなに若く見える?」
「うーん、まあ言われなくちゃ誰も40手前だと思わないわね」
嘘……。
ロイドは今年20歳のはず。それが二倍近く違うなんて。
本当に彼はロイドではないの?
「馬鹿な。加護を持ったものが英雄となるはず……」
「物語じゃあないんですよ」
打ちひしがれる私たちにロイドは追い打ちをかける。
「だ、だとしたら……私たちの息子のロイドはどこに?」
レイドの両親がうろたえながら口を開く。
「うむ……元帥よ。知っておるか?」
陛下に聞かれ、初老の元帥は唸りながら記憶を探っている。
「人事は儂の管轄ではありませんからの……そもそも伯爵のご子息の入隊はいつですかの?」
「15年前です」
「15年!?」
レイドの父の返答にララティア嬢は驚きの声を上げ、すぐさま申し訳ありませんといった。
「し、失礼ながら伯爵令息はおいくつなのでしょうか」
「今年で20になりますわ」
「は、伯爵は五歳の子供を戦地に送ったのですか!?」
同様の声が周囲の軍人や貴族たちに広がっていく。
「わ、私は『適応』の加護を持ったあの子に強くなって欲しくて」
「別に誰も聞いておらんわ」
飽きてきたような声で陛下がレイドの父の言葉を遮った。
「15年前の人事担当は……」
「私です」
元帥と同い年くらいの老人が声を上げた。
「国王陛下、御前を失礼いたします」
「もうこのような事態だ。気にすることはない。して、そなたはクルウェス伯爵の次男を知っておるか?
「朧気ながら記憶しております。『英雄になるまでクルウェスを名乗ること、クルウェス家に帰還することを禁ず』というほぼ絶縁状に近い紙のみを手に前線に送られてきた五歳くらいの少年でしょう」
「伯爵? 今の話は本当なのですか?」
いくら何でも五歳のころから戦場に? でも伯爵は『適応』の加護の持ち主であるロイドに強くなって欲しいと送り出したといっていた。剣聖と同じ加護なわけだし大丈夫なはずだ。
「そ、そんなことよりロイドはどこに?」
「存じませんな」
「そんな! 軍の責任者ともあろう方がなんと無責任な!」
「生憎と私は何年も前に現役を退いておりましてな。誰か、『適応』の加護持ちのロイドを知る者はいないか?」
老人は会場内の全員に尋ねるが私たちが求める答えを出してくれる人はいない。
「これ以上は不要だな」
陛下は話を打ち切ろうとする。
「お待ちください! まだロイドの行方が!」
「煩わしい」
低い声で一蹴する。
「それはここでせねばならぬ話か? 軍属の人間の行方を知りたいのであれば軍の人事課に問い合わせればよいだろう。
我々が何故このような茶番に付き合ったと思う? そこの小娘が今宵の主役たるロイドを不名誉になることを口走ったからだ。
ロイドが婚約者? そのような妄言・虚言最初から見抜いておったわ。そのうえで貴様らの失態だとこの場の全員にわからせるためだ。
して、この騒動を引き起こしたクルウェス伯爵家とフールル伯爵家は謝罪の一つもできぬときた」
その言葉にはっとする。
戦争の立役者たちを祝福する場を壊す騒動を私たちは起こしてしまった。
最初はロイドが悪いのだと思っていた。だが、それは私たちの身勝手な勘違いだった。
これは私たちに完全に非がある。
慌てて頭を下げる私たちを無視して陛下は近衛兵に私たちを捕らえるように命じる。
「しばらく頭を冷やすがいい」
貴族牢に投獄された私たちが保釈金を払って出るころには二週間の時間が過ぎていた。
だが、私たちは知らない。
これはまだまだ序盤の話なのだと。
私が生まれる前から続いていた戦争を勝利に導いた英雄。
この国では知らない人はいない剣聖セシルと同じ加護を持ち、幼いころから戦場で戦果を挙げてきた。
その生きざまは語り継がれる剣聖そのもの。
そんな彼と結婚できる私。なんと幸せなことだろう。
かつての剣聖は聖女と結婚した。さすがに自分が聖女だというつもりはないが、負けに劣らず私は幸せなのだろう。
戦地から帰ってきた王国軍を称えた戦勝パーティーの後に私たちは結婚する。
でも気がかりが一つ……ある。
ロイドが私に挨拶に来ないことだ。
私が彼の婚約者になったのは彼が戦地へ行った後。剣聖と同じ加護を持つことから必ず英雄となる彼と直接は会えずとも毎日手紙を送ったものだ。
返信が来ることもそういえば一度もなかった。そのたびに彼の家族が慰めてくれたっけ。
もうすぐパーティーだというのにエスコートの申し出もない。さすがに不安になってクルウェス家に問い合わせてみるとなんと実家にすら帰ってきていないのだという。
私の両親は怒り心頭でならばパーティーはどうするのかと問い詰めた。
戦勝パーティーは伯爵家以上の貴族は全員出席する。
一人でパーティーに行くわけにもいかず、結局ロイドの兄・レイドがエスコートしてくれることになった。
レイドは申し訳なさそうに
「愚弟が申し訳ありません」
と謝罪してくれた。レイドが悪いわけではないのだというのに。全くロイドはどういうつもりなのかしら。
せめてロイドも一人だったらよかったのに。
「ロイド師団長とララティア・ユーステル子爵のご入場です」
他の女を連れているなんて……。
絶句する私など視界にも入れずに、ロイドは主催者である国王陛下に挨拶する。
「ロイドよ。此度の功績、大儀であった」
「有難きお言葉にございます。それも私とともに死地を潜り抜けてくれた同胞と支えてくださった王侯貴族様方のおかげと思っております」
「うむ。謙虚だな。兼ねてよりの約束通りおぬしとユーステル子爵との結婚を認め、お主に辺境伯の爵位を……」
「お待ちください!」
無礼なのはわかっていた。でもここで口を出さなければ泣き寝入りするしかない。
「なんだ無礼だぞ!」
宰相が叱咤するが、私はそれでも前へ出る。
震えて竦みそうになる私をレイドがそっと支えてくれる。
「ご無礼をお許し下さい! ですが、陛下、ロイド様の婚約者はこの私なのです!」
国王陛下は不愉快そうに眉を潜めながら私の名を聞いてきた。
「そなたは?」
「フールル伯爵が娘、リンフェル・フールルと申します」
「ふむ……。ロイドの婚約者……といったか? であればその隣の男は誰だ?」
陛下は私の不義でも疑っているのだろうか。
「御前を失礼いたします。私はレイド・クルウェス。ロイドの兄です。今回はロイドがエスコートを放棄したためにリンフェル嬢のエスコートを務めております」
「クルウェス? はははっははっ」
クルウェスの名を聞くと突然陛下は声をあげて笑った。
「ロイド! お前はいつから伯爵家の子になったのだ? はっはっははっは」
「冗談はおよしください陛下」
ロイドは困ったように頬を人差し指で掻く。
隣の女は心配そうに彼の腕を引く。私がその女を睨みつけると彼は女を庇うように前へ出る。
「えっと……どちらさまでしたか」
「フールル伯爵令嬢よ」
「あぁ、そうだ。えっと、ご令嬢? 何か勘違いを為されてはいませんか?」
「勘違いなものですか! 私とあなたは8年以上婚約を交わした仲です。確かに戦争で会えませんでしたが、だからと言って不義の言い訳にはなりません」
「私はあなたの婚約者のロイドではありません」
……は?
何を言っているのだろうこの人は。
「厳密にいうのであれば、クルウェス伯爵家の者でもないただの平民ですよ私は。そのため貴族令嬢であるあなたと婚約することもなければ、年下の兄がいることもないのです」
「な、なにを言って……お前はロイド・クルウェスだろう! 剣聖と同じ加護を持った英雄の!」
レイドが声を上げて抗議する。まさか戦争に行かせた家族を恨んで絶縁したというの? そんなご両親がどれだけ心配していたか知らないで。
「剣聖と同じ加護……」
パタンとこれまで沈黙していた王妃が扇子を閉じた。
「そういえば15年前に話題になりましたわ。クルウェスの次男が剣聖と同じ加護・『適応』を授かったと」
「あぁ、そういえばあったなそんなこと」
「そんなこと……ですと」
近くで見守っていたレイドの両親はその言葉に絶句する。
クルウェス家にとってロイドが授かった加護にどれだけ誇りに思っていたことか。それをそんなことの一言で片づけられた衝撃は想像を絶するものだっただろう。
「つまりはこういうことでしょうか。戦争へ送ったご子息の顔を伯爵ご一家とその婚約者は覚えておらず、英雄と呼ばれる同じ名前をしたロイドがそうだと誤解した、と。
剣聖と同じ加護を授かった程度で英雄になれるわけもないでしょうに」
「そうだな。そのような甘い力ではないだろうあの加護は」
加護とは一部の選ばれたものにのみ授かる特別な力。
神からの寵愛の象徴とも言われ、どのようなものであろうと持っているだけで偉人になれる力だ。
「呆れたな。死地へ送っておきながら顔も覚えておらぬとは」
「そんなわけ! 見てください! この髪と目の色を! 戦地でもまれ顔つきは似ていないかもしれませんが、間違いなく彼は私の弟ロイドのはずだ!」
「お主は会話を聞いていなかったのか? ロイドが言っておっただろう。年下の兄などいないと」
「と、年下?」
「俺そんなに若く見える?」
「うーん、まあ言われなくちゃ誰も40手前だと思わないわね」
嘘……。
ロイドは今年20歳のはず。それが二倍近く違うなんて。
本当に彼はロイドではないの?
「馬鹿な。加護を持ったものが英雄となるはず……」
「物語じゃあないんですよ」
打ちひしがれる私たちにロイドは追い打ちをかける。
「だ、だとしたら……私たちの息子のロイドはどこに?」
レイドの両親がうろたえながら口を開く。
「うむ……元帥よ。知っておるか?」
陛下に聞かれ、初老の元帥は唸りながら記憶を探っている。
「人事は儂の管轄ではありませんからの……そもそも伯爵のご子息の入隊はいつですかの?」
「15年前です」
「15年!?」
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「し、失礼ながら伯爵令息はおいくつなのでしょうか」
「今年で20になりますわ」
「は、伯爵は五歳の子供を戦地に送ったのですか!?」
同様の声が周囲の軍人や貴族たちに広がっていく。
「わ、私は『適応』の加護を持ったあの子に強くなって欲しくて」
「別に誰も聞いておらんわ」
飽きてきたような声で陛下がレイドの父の言葉を遮った。
「15年前の人事担当は……」
「私です」
元帥と同い年くらいの老人が声を上げた。
「国王陛下、御前を失礼いたします」
「もうこのような事態だ。気にすることはない。して、そなたはクルウェス伯爵の次男を知っておるか?
「朧気ながら記憶しております。『英雄になるまでクルウェスを名乗ること、クルウェス家に帰還することを禁ず』というほぼ絶縁状に近い紙のみを手に前線に送られてきた五歳くらいの少年でしょう」
「伯爵? 今の話は本当なのですか?」
いくら何でも五歳のころから戦場に? でも伯爵は『適応』の加護の持ち主であるロイドに強くなって欲しいと送り出したといっていた。剣聖と同じ加護なわけだし大丈夫なはずだ。
「そ、そんなことよりロイドはどこに?」
「存じませんな」
「そんな! 軍の責任者ともあろう方がなんと無責任な!」
「生憎と私は何年も前に現役を退いておりましてな。誰か、『適応』の加護持ちのロイドを知る者はいないか?」
老人は会場内の全員に尋ねるが私たちが求める答えを出してくれる人はいない。
「これ以上は不要だな」
陛下は話を打ち切ろうとする。
「お待ちください! まだロイドの行方が!」
「煩わしい」
低い声で一蹴する。
「それはここでせねばならぬ話か? 軍属の人間の行方を知りたいのであれば軍の人事課に問い合わせればよいだろう。
我々が何故このような茶番に付き合ったと思う? そこの小娘が今宵の主役たるロイドを不名誉になることを口走ったからだ。
ロイドが婚約者? そのような妄言・虚言最初から見抜いておったわ。そのうえで貴様らの失態だとこの場の全員にわからせるためだ。
して、この騒動を引き起こしたクルウェス伯爵家とフールル伯爵家は謝罪の一つもできぬときた」
その言葉にはっとする。
戦争の立役者たちを祝福する場を壊す騒動を私たちは起こしてしまった。
最初はロイドが悪いのだと思っていた。だが、それは私たちの身勝手な勘違いだった。
これは私たちに完全に非がある。
慌てて頭を下げる私たちを無視して陛下は近衛兵に私たちを捕らえるように命じる。
「しばらく頭を冷やすがいい」
貴族牢に投獄された私たちが保釈金を払って出るころには二週間の時間が過ぎていた。
だが、私たちは知らない。
これはまだまだ序盤の話なのだと。
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