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旅立ち

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次の日、俺たちは3人で街に出かけた。何処で聞かれているかも分からないので、セトの店で話すことにした。

「と、こちらが話した情報屋のセトです」
「なんでここにいるんだ?」
「だって誰に話聞かれてるか分からないし…。ここなら誰にも聞かれないだろ」
「ったく…使用料とるからな」
「ありがとう。セト」

案外推しには弱いのかな?文句を言いつつも了承してくれたセトにお礼を言いライドとネルに向き合う。ライドには昨日説明をしていたが、同じことをもう一度説明する。

「スパイですか…。まぁ有り得なくもない話ですね」

お、ライドとは違って驚かないところか納得してるんだけど。これが年の功ってやつなのかな?

「それでどうやってスパイを見つければいいのか考えてるんだ」
「……1つ提案があります。この方法を使えばスパイが見つかるでしょう」
「え?もう!?」

待って、考えるのはやくないか?

「昔似たようなことがあったので。作戦自体は簡単なものですが、公爵様にも確認を取らなければなりません。しかも他の方には絶対にバレてはいけません」

ネルの言葉に何度も頷く。ライドも頷いているようだ。俺たちが了承したのを確認したネルは作戦を話してくれた。







「なるほど。そんな手があったのか。早速次の仕事の時にクリスさんにバレないよう話してみるよ」
「公爵様を危険に晒してしまうかもしれませんが、これが1番確実だと思います」
「うん。ネルに相談して良かった」

まさかこんなにも早く解決策が見つかるとは思わなかったけど…。意気込んでいたのに少し拍子抜けだ。

「話は済んだか?」


話し合いの間席を外してくれていたセトが部屋に戻ってきた。ナイスタイミング過ぎて部屋に何か仕掛けてたんじゃないかと思うほどだ。

「うん。場所を貸してくれてありがとう」
「いいってことよ。それよりほらこれ」
「なに?」

セトは手に持っていた1枚の紙を俺渡す。受け取った紙には護衛隊の数名の名前が書いてあった。

「あの中でスパイじゃないかと疑っている奴らの名前だ。今のお前らに必要だろ?」

ニヤッと笑うセト。いや、だからななんで分かるんだよ…。絶対に俺たちの話聞いていただろ。
でもこのリストはありがたい。ネルのたてた作戦もスムーズにいくだろう。

「ありがとうセト。この情報にいくら払ったら良い?」
「あー要らねぇよ。その情報はまだ未完成だ。金なんてとれねぇよ」
「でも…」
「そんな中途半端な情報で金を取るなんて
情報屋としてのプライドが許さないからな」
「分かった。ありがとう」

ここで俺がいくら言ってもセトはお金を貰ってくれないだろう。ここは有難く情報を貰っておこう。

「お前らもう帰るんだろ?ならこれ持っていけよ」

昨日と同じように本を渡しくてくるセト。今日は3人だから3冊だ。
【明日に繋がる裁縫】【君も今日から腹筋マスター】【好きな人をオトす料理】とまた変な本達ばかりだ。

「なんでこんな本ばっかりなんだよ…」
「面白いだろ?この店の本は俺の趣味で集めてるものばかりだからな。面白い本が多いから今度見てみろ」
「今度ね…。場所貸してくれてありがと。また何かあったら情報聞きに来るから」
「おう。こっちも何か分かったら教えてやるよ。まぁその前にその姉ちゃんの作戦が成功しそうだけどな」

これは絶対に俺たちの話を聞いていたな。まぁセトが敵側でない限りバレても困らないんだけど…。でも情報を売る可能性もあるな。チラッとセトをみると指で口の前でバツを作っている。言わないということなのだろうか。

「ソラ行くぞー」
「う、うん。じゃあまた」
「おー。またな」

本をアイテムボックスに収納し先に行っていたライドとネルの傍に走っていく。店を出る際に探索をして先程セトに貰った紙の人物や、俺たちを監視している人がいないか確認する。どちらもいないので安心して店を出る。

「さて、まずはアレク様に伝えることだな。その後に作戦開始だ」

俺の言葉に2人とも頷く。俺は明日仕事だから作戦は明後日から開始だ。ネルの考えてくれた作戦ならばすぐにスパイが見つかるだろう。



次の日、俺はクリスさんにバレないようにアレク様にセトから買った情報とネルの作戦を伝えた。初めは驚いていたアレク様だが、スパイを捕まえるためだと快くひきうけてくれた。作戦としては明日の夜。ネルだけがアレク様付きの護衛だけど大丈夫だろう。アレク様と簡単に明日の流れを話し合ったあと俺は仕事に戻った。




次の日………。


月明かりの照らす庭園に、アレクは1人たっていた。いつもならいる護衛も今はいない。アレクが着いてこなくていいいと命令したのだ。
今は庭園の入口で侵入者がいないか見張っている。

「誰も来て欲しくないと思っていたがそうはいかなかったみたいだな」

アレク以外誰もいなかったはずの庭園に真っ黒の服を着た人物が立っていた。手には小型ナイフを持っている。侵入者にはすぐ対応出来るように入口の2人は注意深くなっていたがそこをくぐり抜けたらしい。

「こちらも仕事なんだ。恨むなよ」

侵入者がアレクに向かって走り持っていた小型ナイフを振り上げる。
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