私のいなくなった世界

プロローグ

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　人はいつ死ぬのかわからない。
　寿命、事故、殺害と死ぬ時はそれぞれ違うが、人が人生の最後に行きつく先は皆同じ、死――である。しかし、それがいつ訪れるか誰にもわからない。明日かもしれないし、一週間後かもしれないし、いや、一年後、十年後、百年後かもしれない。遅かれ早かれ、行きつく先がわかっていても、それがいつ来るのかは誰にもわからない。
「〇〇するくらいなら死んだほうがマシだ」とか「死ぬほど〇〇」と、人はよく言うが、本当に死のうなんてする人はいないだろう。　
　だって死んだらなにもかも終わりなのだから。楽しい事、嬉しい事、悲しい事やいろいろな感情が消えることは自らしようとは思わない。時に自分を捨てて、自らの命を絶つ者も中にはいるだろう。　　　だが、生まれてきたからにはなんらかの意味がある。生きているうちにその意味を知ることが生まれてきたものの責任なのかもしれない。自分の最後にその答えを見つけたものこそ、最高の人生を終えたと言えるだろう。逆に未練を残してこの世を去った者は心苦しいだろう。未練から後悔に変わる。それが死んでも死にきれないと言うことになる。
　人は死んだらどうなるのだろうか。
　天国？　地獄？　無の世界？　想像ではそのような事を言われているが、実際、どうなるのかは誰にもわからない。だって、死なないとわからないのだから――。だからと言って、どうなるのか知りたいから一度死んでみようなんて人はいない。生きているものには一生わからないことだ。
 死ぬことは誰でも怖い。だから、皆必死に生きている。それが生命の証だ。食べて寝て起きての繰り返しで人は生きている。そのスタイルは変わらない。
　しかし、私はある日突然それができなくなる。普通に生きてそれなりに楽しく過ごせたらそれでいいと思っていた。なのに、生まれてきた意味を考える間もなく、私はこの世を去ることになる。まだまだ、これから楽しい事も嬉しい事も時には悲しい事、悔しい事も待っているかもしれないが、この先、輝かしい未来があると思っていた。ずっとずっと、あると思っていた。
　なのに、私はそれができなくなる。だって、私は今日死ぬことになるのだから。誰にも予想ができないこの展開――。死ぬのは先の事だと思っていたが、まさかこんなにも早いお迎えが来るなんて誰が予想していただろうか。私自信も突然過ぎて理解に苦しむ。
　そう、ここはもう私がいなくなった世界なのだから――
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