外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~

名無し

文字の大きさ
上 下
82 / 93

82話 暗闇

しおりを挟む

『『『『『ビビビッ……!』』』』』

「うわ――ゴポッ……!?」

 モンスターの群れから一斉に放たれる電撃を、僕は慌てて回避する。あ、危なかった……。

 あれから、水の神殿ダンジョンの最下層である地下五階まで僕は降り立つことができたわけなんだけど、構造自体に変化が見られない分、青い蛇みたいなモンスターが厄介すぎて苦労してたんだ。

 なんせ、やたらと素早い上に【殺意の波動】で動きを止めると強烈な電撃スキルを放ってくるもんだから、逆方向ギミックに慣れてなかったら直撃を食らうところだった。

 今の自分には【難攻不落】のような物理耐性スキルはあっても、こうした電撃を防げる魔法耐性スキルはまだないわけだからね。

『『『『『ビビビッ――』』』』』

 ――今だっ……!

 もちろん、次に雷を出してきたときは【進化】によってパワーアップした僕のオリジナルスキル【削除&復元DX】でまとめて削除してやったけど。

 スキル名:
【サンダースピアー】
 効果:
 手元から直線的な魔法の雷を発生させる。威力や射程は術者のステータスに依存。

 これは……【ウィンドブレイド】と同じく風魔法系統のスキルだね。まさか水の神殿ダンジョンでこんなものを獲得できるとは思わなかった。

「――あっ……ゴポッ……」

【鬼眼】スキルに導かれて、僕はそれまでとはまったく違うに辿り着いた。

 そこは、このダンジョン内へ初めて入ったときの衝撃を思い出すような、とにかく広々とした奥行きのある空間で、天窓から淡い光が射し込み、真下にある祭壇付近を慎ましく照らし出していた。

 その後ろに、分厚い本を手に持った法衣姿の髑髏が立っているのがわかる。微動だにしないからただのミイラにも見えるけど、雰囲気でわかる。きっとあれがボスだ……。早速あいつのステータスを確認してみるとしよう。

 名前:ダークプリースト
 レベル:87
 種族:アンデッド
 属性:闇
 サイズ:中型

 能力値:
 腕力SS+
 敏捷SS
 体力S+
 器用B
 運勢A
 知性S

 装備:
 聖書
 効果:
 聖なる力が宿っており、所持することで魔法攻撃力がかなり上がる。とにかく分厚いので打撃にも有効。

 スキル:
【二重攻撃】
 効果:
 自身が攻撃する際、意識すると一度に二回攻撃できる。
 
 特殊攻撃:
 完全なる闇
 効果:
 広範囲に渡ってしばらくの間、決して照らすことのできない完全な暗闇を作り出す。

「……」

 ステータスを見た感じ、かなり厄介なボスモンスターだと思えた。

 アンデッドだから【瞬殺】が効かないのはもちろん、レベルがタコのガーディアンには及ばずとも高いので【殺意の波動】の効き目も期待できない上、能力にしても腕力や敏捷が驚異的な数値だ。

 この【二重攻撃】も地味に強力な効果だね。受動的パッシブ効果っぽいし余裕があれば欲しいところ。さあ、今のうちに回避力や防御力を上げるスキルを使ってブーストしておかないと。

 まだ【鬼眼】の効果が残ってるうちに戦いたいので、僕は準備が整ってすぐボスに向かって【混合】+《跳躍・大》+《裁縫・大》を使って飛び込んでいく――

「――ゴポッ……!?」

 急に視界が真っ暗になり、あっという間にボスに迫られつつ攻撃されるのがわかって回避しようとしたけど、ダメだ。こ、これが特殊攻撃の完全なる闇……。

「っ!?」

 僕は肩口を押さえながら、水中を縫うような跳躍の連続で慌ててその場から退避する。

 異常すぎるスピードとパワーでしかも【二重攻撃】による攻撃だからか、肩口に聖書の角が一度に二回命中したとき激痛が走って骨が折れたかと思うレベルだった。

 もし自分に【亜人化】+熊の力+【武闘家】+【難攻不落】がなかったら、脳天に命中して二発目で脳みそ飛び出ちゃってたと思う。

 真っ暗な中でも、唯一見えていた髑髏がぼんやりとしか見えないことから【鬼眼】スキルの効果が切れかかってるのがわかるし、このままだとまずそうだ。

 まず、あれだけ素早いと物理攻撃を当てるよりは魔法系のスキルがいいだろうってことで、【ストーンアロー】で応戦する。何気にこれって細かい石つぶてが大量に発生するし、周囲に満遍なく発生するので確実に当てるなら一番いいスキルだと感じたんだ。

 とにかく真っ暗な上、いちいち逆に動かなきゃいけないっていうのもきつい。これらはちょっとした反応速度にもかなり影響していて、今の自分は薄れかかってる【鬼眼】だけが頼りだった。

 この、完全なる闇とかいう特殊攻撃の効果が切れてくれたらかなりマシになるはずだし、それまでの我慢だ。

 というか、色んな意味でお先真っ暗なヤバすぎる状況だっていうのに、危機感があまり湧いてこないのが不思議だった。

【鬼眼】がまだ持続してるからってのもあるだろうし、それだけ今まで様々なことを経験してきて、いつの間にか精神的にタフになってるってのもあるんじゃないかな。それと、むしろ苦境が快感になってきてることも確かなんだ。ギルドの係員たちに話したら変態扱いされそうだけど……。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

外れスキル【転送】が最強だった件

名無し
ファンタジー
三十路になってようやくダンジョン入場試験に合格したケイス。 意気揚々と冒険者登録所に向かうが、そこで貰ったのは【転送】という外れスキル。 失意の中で故郷へ帰ろうとしていた彼のもとに、超有名ギルドのマスターが訪れる。 そこからケイスの人生は目覚ましく変わっていくのだった……。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...