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50話 祝賀会

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 名前:カイン
 レベル:46
 年齢:16歳
 種族:人間
 性別:男
 冒険者ランク:S級

 能力値:
 腕力S+
 敏捷B
 体力S
 器用A
 運勢B
 知性S+

 装備:
 ルーズダガー
 ヴァリアントメイル
 怪力の腕輪
 クイーンサークレット
 活力の帯

 スキル:
【削除&復元】B
【ストーンアロー】C
【殺意の波動】B
【偽装】C
【ウィンドブレイド】C
【鑑定士】B
【武闘家】B
【瞬殺】E
【亜人化】E
【難攻不落】E
【進化】F

 テクニック:
《跳躍・大》
《盗み・中》
《裁縫・大》

 ダストボックス:
 アルウ(亡霊)
 ファラン(亡霊)
 重圧8
 緊張5

「……」

 今、僕は【鑑定士】スキルで自分のステータスを調べてるわけなんだけど、こうして眺めてるだけで放心状態になるくらい遠くまで来ちゃったんだと感じていた。

「カイン様、おめでとうございます!」

「カインどの、おめでとうなのだっ!」

「カイン君、おめでと~!」

「すげーぜっ、カイン、おめでとさん!」

「よくここまで頑張ったなぁ、カイン」

「……エリス、リーネ、ミュリア、セニア、クロードさん……みんなの応援がなかったら僕はここまで来られなかった。本当にありがとう……!」

 涙が出そうになるのをぐっと堪えて僕はみんなにお礼を言う。

 あれから、自分は猪人族を掃討してフィラルサの村を救った功績が認められてS級冒険者に昇格することになり、王城に招待されて盛大な祝賀会の真っただ中にいた。

 胸に燦然と輝く金竜の褒章こそ、S級冒険者――超一流冒険者――の証なんだ。凄く嬉しいけどその分プレッシャーとか緊張感が半端なくて、僕はちょくちょく削除していた。なんだか戦ってるときのほうがこういうのは感じなくなってきてるから不思議だね。

 これでようやくダンジョンにも一人で潜れるようになるから嬉しいけど、ここで満足するつもりはまったくなくて、S級より上のSS級、SSS級を目指していきたいところだ。

 さらに上には怪物級、英雄級、皇帝級、伝説級、神級、超神級なんていうとんでもない階級があるみたいで、しかもどのランクにも何人かいるって話だから聞いてて混乱しそうなくらい世界は広大だと感じる……。

 それでも、僕は猪人族の首領クアドラと戦ったことで、自分の立ち位置も大分見えてきた気がする。あれよりもずっと強いモンスターがダンジョンにはごろごろいるってことを考えたら、僕は世界規模ではまだ普通より少し上ってところなのかもしれない。

 なので今後は【進化】のような超強化スキルがものを言いそうだ。もちろん王位争いに巻き込まれやしないかっていう心配もあるけど、それはそれで自分なりに対処できる自信も前より出てきたしね。

「――カイン兄さん!」

「カインお兄ちゃんっ!」

「あっ……」

 聞き覚えのある子供たちの声がして振り返ると、僕が傷を縫合したあの男の子と、フィラルサの村で助けたその妹が駆け寄ってくるところだった。

 さらに、どよめきとともに現れたのは騎士然とした少女――第四王女ソフィア――で、自分を含めてみんなが一斉にひざまずくのがわかった。少し、ミュリアとクロードのいる方向から棘のある視線を感じるけど。

 こういうこともわかるようになるなんて、やっぱり【鑑定士】スキルの熟練度がそれだけ上がってるからなんだろうね。

「例のフィラルサの村を視察していたゆえ、遅れてしまった。申し訳ない、カイン……」

「い、いや、ソフィアが謝る必要なんてないよ……」

「いやいや、そこで子供たちから話を全て聞かせてもらった。あのような被害を受けていたのに、冒険者ギルドだけでなく村に駐屯している兵士たちまで、上の命令によって猪人族を避けるべく都への報告を怠っていたそうだ。そこで、あの地方にいる兵長らに厳罰を処すため、自ら向かったというわけだ……」

「なるほど……」

 ソフィアならアルウと同じように国民目線に立ったいい王様になれそうだけど、彼女自身がそれを望んでないしね……ん、例の男の子が緊張した様子で僕の前に立った。

「カ、カイン兄さん……猪人族をやっつけてくれただけじゃなくて、妹まで助けてくれて、本当にありがとう……! 俺、将来は絶対カイン兄さんみたいな冒険者になる!」

「頼もしいね。そういえば君の名前は?」

「俺、ルインっていうんだ!」

「ルイン、か。いい名前だね」

「へへっ!」

 照れ臭そうに笑うルインを見てるとこっちまで嬉しくなる。でも正直、ファランの話に出てたレインっていう人の名前にちょっと似てたからドキッとしちゃったけど。

「じゃあね、ユリイはカインお兄ちゃんの愛人になるっ!」

「あはは……」

 こんな子供が愛人っていう言葉を知ってるなんて、末恐ろしい……。

「おいおい、ユリイ。お前がカイン兄さんの愛人になるっていうなら、お嫁さんは一体誰なんだよ?」

「この人ぉー!」

「「……」」

 ユリイが迷わずソフィアを指差したので、僕たちははっとした顔で目を逸らし合った。なんか今、猛烈な熱視線を感じちゃった。むせるくらいの……。

「ユリイ……この人、じゃないだろ! この国の王女様だぞ!?」

「コ、コホンッ……それでは、我はこの辺で――っと、そうだ、カイン、これを……」

 僕はソフィアから古びた感じのロザリオを受け取った。

「ソフィア、これは……?」

「これは母上の形見でな……お守りなのだ。これを我だと思って、肌身離さず持っていてほしい。カインの働きには頭が下がるばかりだが、正直無謀すぎる。これ以上、余計な心配をかけないでくれ……」

「う、うん……」

「そ、それでは、失礼するっ……!」

 子供たちがニヤッとした顔を見合わせる中、ソフィアは逃げるように立ち去っていった……。
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