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4.真価
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「お、終わりましたあ……」
「……」
司祭様の発言で緊張がさらに高まる。鑑定の儀式が終わったみたいだし、僕のスキルはやっぱり平凡なのか、あるいはそうでないのか、これではっきりわかるってわけだ……。
「わたくしの予想通り、見落としていたみたいです……」
「見落とし……?」
「はい。あなたにスキルを付与した方は、見落としてしまっていたのですよお。セインさんのスキル【スコップ】の真の力を……」
「え、えぇっ……!?」
「神スキルといってもいいくらいの効果でしたよお」
「か、神スキル……」
ただのゴミスキルだと思ってたものが、まさか神スキルだったなんて……。
「それについて、これからセインさんに詳しくお話しますねえ……」
「は、はい……」
そういうわけで、僕は司祭様にスキルについての説明を受けることに。楽しみだなあ。まさか自分のスキルについてワクワクする瞬間が来るなんて夢にも思わなかった。
「――と、こういうわけなんですよぉ」
「……」
想像以上の効果だった。驚きのあまり、開いた口が塞がらないとはこのことか。司祭様の説明によると、僕のスキル【スコップ】は七つのことができるらしい。
まず一つ目は、以前からやっていた、念じるだけで地面を普通に掘るというもので、二つ目は同じ要領で埋めることができる、というもの。
僕ができると思っていたのはここまでで、これから先は未知の領域だ。
三つ目はランダム掘りといい、色んなものを無作為に掘り出せる効果で、四つ目は関連掘りといって、掘り出したものに関係する様々なものを発掘できるんだそうだ。
五つ目はクオリティ掘りといって、確率は低くなるけど掘り出した何かの質の高いバージョンを発掘できる。六つ目は封印といい、掘り出したものを無効にすることができ、七つ目は封印解除という名称で、封印させたものを即座に復活させられるんだとか。
いやー、これは凄い。まさに神スキルじゃないか……。
「じゃあ、早速ランダム掘りを――」
「――ダメです……」
「えっ……?」
「セインさんは生き埋めにされちゃったんですよぉ? スキルは精神力を消耗しますし、今日くらいはゆっくりとお休みして、明日からにするべきです……」
「な、なるほど……」
確かにそうだよね。司祭様の言う通り今日はゆっくり休んで、【スコップ】スキルを試すのは明日からにしようか……。
「――う、うーん……」
それから僕は風呂に入ったあと、司祭様にキノコご飯をご馳走してもらってから床に就いたわけなんだけど、彼女と同じベッドで寝るってことで興奮しまくったせいかすぐに目覚めてしまった。そりゃ美人だし胸も大きいしで、僕も一応男だからね……。
「ふわあ……」
ろくに眠った感じがしない上、窓から見える外はまだ薄暗いけど、早くスキルを使ってみたいしもう起きちゃおうかな。体はあっちこっち痛むものの、司祭様が看病してくれたおかげかもう普通に動けるし。
あと少しだけ寝てからにしようかとも思ったけど、もういいや。早速試してやろう。
「くうぅ、くうぅ……」
「……」
気持ちよさそうに寝ている司祭様を起こさないよう、僕はそっと小屋の外へ出る。大きいものとか掘り出した場合、小屋の中だと迷惑になるだろうし。
「すー、はー……」
いざ【スコップ】スキルを使おうとすると緊張してきたので、深呼吸してリラックスする。よーし、そろそろ始めるとしようか。逆転人生への第一歩だ……。
ちなみに、何かを掘り当てるのに特別なことをする必要はないみたいで、とにかくなんでもいいので掘り出したいと念じてみることに。多種多様のものを偶然に任せて発掘できるというランダム掘りってやつだ。
「……」
あれ、中々出てこないな。やり方が間違ってたんだろうか? それとも、司祭様に嘘をつかれちゃったとか……。で、でもそんな出鱈目を言うような人には見えなかったし、その必要も――
「――あっ……」
そこで僕ははっとなる。もし司祭様が少年愛好家とかだったら……。い、いや、助けてもらっておいてそんなことは考えたくない。きっと試行回数が足りないんだ。そう思って掘っていくと、まもなく足元にヤカンが出現した。傷跡や凹みが目立つ古いヤカンだ。
「お、おおおっ……」
本当に掘り出せたので、こんなものでも僕は頬ずりしてしまうほど感動していた。よし、次に試すのは関連掘りだ。ヤカンを足元に置き、これに関連するものを掘ることにする。さあ、出てこい……!
「――はあ……」
いくらやっても何も出てこないこともあって、溜め息が代わりに僕の口から出てきた。
うーん、かなり頑張ったんだけどなあ。多分、百回は掘ったと思うんだけど、疲れるだけでそれ以外の変化は訪れなかった。
関連掘りに関しては、低確率とは聞いてないんだけどね。なんでだろう……。まさか、これくらいの確率でも普通とか、あるいはこのヤカンは最初から足元にあったもので、僕が気付かなかっただけとか……。
いや、それだけはないと思いたい。とにかく疲れたし、二度寝しようかな。このヤカンも、あとで関連掘りするために小屋の中に持っていこう……って、あれ? めっちゃ重い……。
「……」
妙だ。最初に頬ずりしたときより明らかに重くなってる。まさかと思って傾けてみると、水らしき液体が勢いよく出てきた。
ということは、僕は知らずに水を掘り出していて、ヤカンの中にたっぷりと溜まっていたのか……。休もうかと思ったけど、成功してたってことで嬉しくて眠気が覚めてきた。
これは、確実に流れが来てるね。水を発掘しただけに……。
さらに頭も冴えてきたのか、僕はあることを思いついて小屋の中に走ると、コップを取り出してヤカンの水を入れてやった。これに関連掘りをすれば、可能性がグッと広がっていくんじゃないかって思ったんだ。
「……」
司祭様の発言で緊張がさらに高まる。鑑定の儀式が終わったみたいだし、僕のスキルはやっぱり平凡なのか、あるいはそうでないのか、これではっきりわかるってわけだ……。
「わたくしの予想通り、見落としていたみたいです……」
「見落とし……?」
「はい。あなたにスキルを付与した方は、見落としてしまっていたのですよお。セインさんのスキル【スコップ】の真の力を……」
「え、えぇっ……!?」
「神スキルといってもいいくらいの効果でしたよお」
「か、神スキル……」
ただのゴミスキルだと思ってたものが、まさか神スキルだったなんて……。
「それについて、これからセインさんに詳しくお話しますねえ……」
「は、はい……」
そういうわけで、僕は司祭様にスキルについての説明を受けることに。楽しみだなあ。まさか自分のスキルについてワクワクする瞬間が来るなんて夢にも思わなかった。
「――と、こういうわけなんですよぉ」
「……」
想像以上の効果だった。驚きのあまり、開いた口が塞がらないとはこのことか。司祭様の説明によると、僕のスキル【スコップ】は七つのことができるらしい。
まず一つ目は、以前からやっていた、念じるだけで地面を普通に掘るというもので、二つ目は同じ要領で埋めることができる、というもの。
僕ができると思っていたのはここまでで、これから先は未知の領域だ。
三つ目はランダム掘りといい、色んなものを無作為に掘り出せる効果で、四つ目は関連掘りといって、掘り出したものに関係する様々なものを発掘できるんだそうだ。
五つ目はクオリティ掘りといって、確率は低くなるけど掘り出した何かの質の高いバージョンを発掘できる。六つ目は封印といい、掘り出したものを無効にすることができ、七つ目は封印解除という名称で、封印させたものを即座に復活させられるんだとか。
いやー、これは凄い。まさに神スキルじゃないか……。
「じゃあ、早速ランダム掘りを――」
「――ダメです……」
「えっ……?」
「セインさんは生き埋めにされちゃったんですよぉ? スキルは精神力を消耗しますし、今日くらいはゆっくりとお休みして、明日からにするべきです……」
「な、なるほど……」
確かにそうだよね。司祭様の言う通り今日はゆっくり休んで、【スコップ】スキルを試すのは明日からにしようか……。
「――う、うーん……」
それから僕は風呂に入ったあと、司祭様にキノコご飯をご馳走してもらってから床に就いたわけなんだけど、彼女と同じベッドで寝るってことで興奮しまくったせいかすぐに目覚めてしまった。そりゃ美人だし胸も大きいしで、僕も一応男だからね……。
「ふわあ……」
ろくに眠った感じがしない上、窓から見える外はまだ薄暗いけど、早くスキルを使ってみたいしもう起きちゃおうかな。体はあっちこっち痛むものの、司祭様が看病してくれたおかげかもう普通に動けるし。
あと少しだけ寝てからにしようかとも思ったけど、もういいや。早速試してやろう。
「くうぅ、くうぅ……」
「……」
気持ちよさそうに寝ている司祭様を起こさないよう、僕はそっと小屋の外へ出る。大きいものとか掘り出した場合、小屋の中だと迷惑になるだろうし。
「すー、はー……」
いざ【スコップ】スキルを使おうとすると緊張してきたので、深呼吸してリラックスする。よーし、そろそろ始めるとしようか。逆転人生への第一歩だ……。
ちなみに、何かを掘り当てるのに特別なことをする必要はないみたいで、とにかくなんでもいいので掘り出したいと念じてみることに。多種多様のものを偶然に任せて発掘できるというランダム掘りってやつだ。
「……」
あれ、中々出てこないな。やり方が間違ってたんだろうか? それとも、司祭様に嘘をつかれちゃったとか……。で、でもそんな出鱈目を言うような人には見えなかったし、その必要も――
「――あっ……」
そこで僕ははっとなる。もし司祭様が少年愛好家とかだったら……。い、いや、助けてもらっておいてそんなことは考えたくない。きっと試行回数が足りないんだ。そう思って掘っていくと、まもなく足元にヤカンが出現した。傷跡や凹みが目立つ古いヤカンだ。
「お、おおおっ……」
本当に掘り出せたので、こんなものでも僕は頬ずりしてしまうほど感動していた。よし、次に試すのは関連掘りだ。ヤカンを足元に置き、これに関連するものを掘ることにする。さあ、出てこい……!
「――はあ……」
いくらやっても何も出てこないこともあって、溜め息が代わりに僕の口から出てきた。
うーん、かなり頑張ったんだけどなあ。多分、百回は掘ったと思うんだけど、疲れるだけでそれ以外の変化は訪れなかった。
関連掘りに関しては、低確率とは聞いてないんだけどね。なんでだろう……。まさか、これくらいの確率でも普通とか、あるいはこのヤカンは最初から足元にあったもので、僕が気付かなかっただけとか……。
いや、それだけはないと思いたい。とにかく疲れたし、二度寝しようかな。このヤカンも、あとで関連掘りするために小屋の中に持っていこう……って、あれ? めっちゃ重い……。
「……」
妙だ。最初に頬ずりしたときより明らかに重くなってる。まさかと思って傾けてみると、水らしき液体が勢いよく出てきた。
ということは、僕は知らずに水を掘り出していて、ヤカンの中にたっぷりと溜まっていたのか……。休もうかと思ったけど、成功してたってことで嬉しくて眠気が覚めてきた。
これは、確実に流れが来てるね。水を発掘しただけに……。
さらに頭も冴えてきたのか、僕はあることを思いついて小屋の中に走ると、コップを取り出してヤカンの水を入れてやった。これに関連掘りをすれば、可能性がグッと広がっていくんじゃないかって思ったんだ。
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