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十六話 道具屋のおっさん、痴漢になる。
しおりを挟む「おはよー、愛しいエレネ。チュッ」
「……むにゃ。おはようです、愛しいモルネトさん。ちゅっ……」
嫁との濃厚なキスから始まる素敵な朝……ってなんかおかしいぞ。こいつ、普通に俺の唇を受け入れやがった。全裸で。
やはり女という生き物は荒々しく扱ったほうがちょうどいいのかもしれない。今まで遠慮してたときは散々白い目で見てきたくせによー、調子いいぞメスガキが。
「裸で縛られてんのに、お前マゾか? さすがに引くわ。きもちわりいぞ豚がよー!」
「ぎっ……」
むかついたから唐突に腹パンを入れてやった。
「エレネ、お前がこの世で一番好きなのは誰だ?」
「げほっ、おぐぇ……」
「あ?」
「……しょっ、それは、モルネトさんです。愛してます……。モルネトさんの子供を産みたいです……」
「……」
こいつ目がトロンとしてやがる……。ヤッベ。ちょろすぎだろ。
『おはよう、父さん』
ん? 早速俺の息子がおはようの挨拶をしてきたから、朝のミルクをエレネと一緒にご馳走してやろう。濃厚一番搾りだ。
「――ウッ! オラッ、一滴も零すな!」
「んぅ、コクッコク……」
『父さん、ありがとう』
フゥゥ、いいってことよ。息子も大喜びだ……っと、こうしちゃいられない。
昨日すげーでかい雷を叩きこまれて俺はかなり頭にきてるからな。一刻も早くあの娘にお仕置きしてやらねば……。というわけでエレネの縄を外した。っていうか結構緩めだから外そうと思えば外せるんだよな。それだけ俺の躾が行き届き始めた証拠か。
「エレネ、とっとと服を着ろ。今から武器屋に行くぞ」
「もしかして、先回りってやつですか?」
「そうだ。やつに迅雷剣を奪われてからでは遅い」
「なるほど……あの、おでかけのチューはしなくてもいいんですか……?」
「ん? したいのか? まだいい。アレ飲ませたばかりだしな」
「……ウププッ」
何が面白かったのか、エレネが噴き出しそうになって口を押さえた。しかし俺が飲ませたとはいえ、よくあんなものが飲めるものだ。めっちゃ美味しそうにコクコクと飲んでいただけに、余計にそう思う。あ、でも健康にはいいんだっけ? けど逆の立場なら絶対吐く……。
おっといかんいかん。ぐずぐずしてたら勇者パーティーが道具屋に来てしまう。その前に出発しないとな。
エレネと仲良く手をつないで出発したわけだが、やはり徒歩はだるい。というわけで途中で駅馬車をぶんどってやった。またあの家族が乗ってて、ガキを殴り飛ばしてやった。
「おい御者! 飛ばせ! 飛ばさなかったらこのメスガキの首を切断する!」
「ど、どうかお慈悲を……」
お慈悲を……じゃねえよ糞爺。エレネも隣で笑ってるよバカ。
――お、あっという間に着いた。やるじゃねえか爺さん。って、動かねえと思ったらこれ心肺停止してるっぽいな。ま、いっか。
店の中に早く着いたこともあって、あの巨乳銀髪のハーフエルフはまだ来てなかった。
……ん、あれ……展示されてる迅雷剣を取ろうとしたが、ダメだ。エレネと二人でなんとか開けようとするが、びくともしない。
「おい、どういうことだよエレネ」
「あれぇ……」
ま、まさか……ループの輪から外れたことで、鍵が掛かった状態に戻ったんじゃ?
「ご、ごめんなさい……」
すぐに全裸になるエレネ。察しがいい。それがなければ問答無用でボコボコにするところだった。
「まあ特別に許してやろう。あのハーフエルフにも迅雷剣は盗まれないってことだからな。いつもどれくらいの時間帯に来るんだ?」
「えっと、あと1時間くらいだと思います」
「そうかあ。早く着きすぎたな」
「ですね……」
時計の針は午前九時を回ったところだった。今頃俺の道具屋が勇者パーティーに燃やされてる頃だろう。胸糞悪いが何度でも復活するしな。精々今のうちに暴れておけ。俺は現在進行形でどんどんパワーアップしている。
「んじゃ、エレネ。喉乾いただろ。ドエキ飲むか」
「はい」
ドエキとは、口内で精製される透明なポーションのことだ。一定時間興奮状態になる効果がある上、免疫力を高める効果もあるんだ。
しかしエレネのやつ、随分素直になったなあ。俺たちが愛し合ってる間、誰か客が来るかもしれないが、そんなの別に構わなくてもいいだろう。占う必要すらないな。来たら来たでいいのだよ。
「くちゅくちゅ……ぺっ」
「あむあむ。んんっ……ごくっ。おいしいです……」
ドエキを美味しそうに味わってから飲むエレネ。いやー、実にいい光景だ。今度は黄色ポーションでも飲ませてやろうか。
結局出すもの出してかなり疲れてしまった……やっぱ出しまくると疲れるな。ということで休憩中だ。道具屋から普通のポーション一本持ち出してきたから助かった。これを不味いと言ったあの女戦士ライラは味覚障害だろ。ちなみにエレネは達したあと、そのまま店内でスヤスヤと寝てしまったから、服を勝手に着せておいた。なんとも幸せそうな顔だなあ……。
お、誰か店に入って来た……って思ったら、あのハーフエルフのクソガキだ。
「いらっしゃい」
「ど、どうも……」
おっぱいをこれでもかと揺らしながら笑顔で入ってくる少女。なんだこいつ。いかにも痴漢してくださいといわんばかりだな。
倒れたエレネを不思議そうに見たあと、例の剣が飾られているケースの前に立った。おっぱいも顔もべったりくっつけちゃってスゲー欲しそう。お尻がまたエロい。触ってくださいと喋りかけているようだ。それなら要求に応えねばなるまい。
「お客さん、それ欲しいの?」
「あ、はい。ですが、非売品かと……あっ……」
俺に乳と尻をわしづかみにされるも、抵抗しない。うあ、やわらけー。
もみもみ、もみもみ、ももみみ、みみもも。
「……ん、あ、あの……」
「ん、なんだ?」
「う……な、何故私にこのようなことを……」
「何故って……そりゃ可愛いからだよ」
「……んぅ。嬉しいが、どう考えてもそれは嘘だ……」
「……へ?」
「そうやって油断させて私の命を奪うつもりだろう……!」
「ごはっ!?」
気付いたときには、俺は飛んでいた。店を突き破り、割れた硝子ごと道路を転がる。
「……な、なんだ、あいつ……」
俺は破片によって体のあっちこっちが切れて血まみれになっていた。沸々と怒りがこみあげてくる。
「おのれえぇ、小娘ぇ……許さん……許さんぞおぉぉ……」
「も、申し訳ない。つい興奮してしまって……」
心配そうに出てきやがったが、もう遅い。絶対許さん……。
ぶち殺せ、ナイフで首を、切断だ。
「死ねやおらあああああああああぁぁぁぁぁ!」
「申し訳ない!」
「……ごふっ……」
あれ……? やつの姿が迫ってきたと思ったときには、腹部の痛みとともに俺はうつ伏せに倒れていた。
……あっさりかわされた挙句、蹴りを食らったんだ。速すぎる……。
いくらなんでも強すぎだろ……。やつは申し訳なさそうに時々こっちを振り返りつつ走り去ってしまった。
あ、あんのメスガキ……ちょっとくらい強いからって調子に乗りやがって……。いつか絶対俺の奴隷にしてやる……。
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