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四三話

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 名称 絶影剣

 効果 攻撃力+50
    絶対に壊れない
    持ち主の攻撃力が大幅に上昇
    持ち主のスピードが大幅に上昇
    殺気を込めて振ると強力無比な剣風が発生
__________________________


「…………」

 いやー、これは驚いた。【慧眼】で確認してみると、絶影剣の???の部分が全て解放され、超強い武器に生まれ変わっていたからだ。これなら魔法だけじゃなく、物理でも無双できそうだな。

 ちなみに、インヴィジブルジャケットもキーンに叩いてもらうことにしたが、+9の時点でやめてもらうという約束だ。俺の防御力は【防御力上昇・大】スキルのおかげで元々高いし、鎧が+10になってもそんなに変わらないだろうしな。

「うおりゃあああぁぁっ!」

【鍛冶師】スキル持ちのキーンが立て続けにハンマーを振り下ろし、そのたびに彼の雄叫びと鉄を打つ小気味いい音が交差する。

「――ふう……。ユートよ、この見えない鎧も遂に+9までいったぞい」

「そりゃよかった。ありがとう、キーン」

「…………」

「キ、キーン?」

 なんだ、キーンの様子がおかしいぞ、ハンマーを持つ手が震えちゃってるし、目も真っ赤に充血してる。ま、まさか……。

「も……もういっちょおおおぉっ!」

「ちょっ……!?」

 キーンが+9のインヴィジブルジャケットを叩いてしまった。しかも、彼はやってしまったと言わんばかりの厳しい顔つきだ。おいおい……もしかして失敗したのか? この鎧、透明だから折れたかどうかわかんないんだよ。

「「「「「……」」」」」

 重苦しい沈黙の中、なんとも気まずい空気が漂うが、キーンは一転してニカッと笑ってみせた。

「成功、じゃあああああぁっ!」

「は、ははっ……」

 心臓に悪すぎ……。成功したからよかったものの、失敗してたらと思うとゾッとするな。確認すると、鎧の防御力が+200だったのが、+900になっていた。すご。

「成功したとはいえ、わりいな、ユート。キーンはいつもこうなんだよ。精錬狂ってやつで、やりすぎるから俺たちの武具は幾つもぶっ壊されてる」

「な、なるほど。ファグ、いい勉強になったよ」

「よかったぁ……って、キーンったら、もし折れちゃったら、ユートが怒って傭兵を辞めてたかもだよ!? ぷんぷんっ」

「う……わ、わしが悪かったから、ミアよ、許しとくれ……コホッ、コホッ……」

「もー。こんなときだけ弱ったお爺ちゃんになるんだから。それにしても、二つとも+10になるなんて、凄い運の持ち主でもあるんだね、ユートって」

「ミアよ、わしの腕のおかげでもあるじゃろ!」

「あら、キーン。それを言うなら、貸してもらったそのハンマーのおかげでしょ?」

「うっ……そ、それはそうじゃが、リズは相変わらず毒舌じゃのー。しかし、今日は最高の日じゃった。この調子でわしの毛根も精錬したいもんじゃ!」

「いやいや、キーン、それはいくらなんでも無理ってもんだぜ、なあ、みんな?」

「「「「「わははっ!」」」」」

 自虐ネタだったのかキーンまで笑ってるし、彼が色んな意味で場を明るくするってのは本当だったらしい。

「――お、おい、みんな逃げろおぉぉーっ!」

「「「「「っ!?」」」」」

 どこからともなく叫び声がして、俺たちは驚いた顔を見合わせる。どうやらまたこの村で何かあったようだが、あの様子だと只事じゃなさそうだな……。
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