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三一話

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 自分を騙っている偽仮面野郎を探すため、俺は早速『ガイド』の魔法を使う。

 すると矢印が出てきたので、それが指し示す方向へと歩き出した。もちろん、【隠蔽】スキルを使用することも忘れない。

 やがて辿り着いた場所は、薄暗い旧校舎の、それも一番端にある教室だった。こんなところにいるのか。まあいかがわしい行為が目的みたいだしな。

 ――お、話し声が聞こえてきたと思ったら……いるいる。俺と同じく制服姿で仮面を被った男が、女子たちに囲まれていた。

 やつは豪華な料理で彩られたテーブル前で飲み食いしつつ、侍らせた少女たちを弄り回していて、まさに酒池肉林といった様相を見せていた。

 俺がクソ真面目に学校を守っているっていうのに、こいつはそれを利用してこんな美味しい思いをしていたってわけだ。これは絶対に許せんよなあ。

 今すぐにでも叩き潰してやりたいところだが、どんなことを話しているか聞いてからでも遅くないと思い、俺は偽仮面に近付いて会話を聞いてみることに。

「「「「「仮面の英雄さまぁっ」」」」」

「フッ……アソコが渇く暇がないとはこのことだ……」

「…………」

 やつは髪をかき上げながら、とんでもないことをサラッと言ってのけた。もうこの時点で処刑してもいいくらいだが、まだ我慢だ……。

「だが、僕はまだ抱き足りない。もっともっと、美少女たちを浴びるように抱きたい……」

 浴びるように抱きたいって……アル中みたいな言い方すんなって。こいつ、これでもかと童貞に喧嘩売ってるな。ホント殺したい。

「ああん、もぉー、仮面の英雄さまったらぁ、スケベすぎぃー。それでも英雄なんですかぁー?」

「フッ……英雄だからこそ、だ。昔から、英雄色を好むというだろう?」

「あー、確かにねー」

「ねえねえ、英雄の証拠見せてみてー」

「あたしも見たい見たいー」

「フッ……いいだろう。今から特別に披露してやるから、窓の外を見たまえ」

 お、偽仮面が英雄の証拠を見せるために何かやるらしい。楽しみだな。

「「「「「キャーッ!」」」」」

 なっ……。

 女子たちの黄色い歓声が上がる中、俺は繰り広げられる光景に対して目を疑った。

 偽仮面野郎が右の口角を吊り上げ、窓の外へ向かって手を伸ばしたかと思うと、俺がレッドドラゴンにやった『ヘルファイヤ』そっくりの魔法が放たれたからだ。

 おいおい……まさかこいつ、無能のキザ野郎と思わせておいて、実はとんでもない実力の持ち主なのか? 仕置きする前に【慧眼】でステータスを確認してみるか。
__________________________

 名前 園田 凛太?

 HP ?3/13
 MP 2?/2?

 攻撃力  ?
 防御力 ?1
 命中力 1?
 魔法力 ?2

 所持スキル
【?覚】

 称号
《張?ぼ?の魔師?》《女?し》
__________________________

 な、なんだこいつ。所々『?』で見えなくなっている。これは一体、どういうことなんだ……?

【慧眼】でもわからない部分があるってことは、そういうスキルを持っていて隠すことができてるってことだよな。

 俺と同等の魔法力と、この『?』ばかりのステータス、これらが意味するのは一体……って、待てよ。

 見えない部分の数字が仮に高くても大したことないぞ、こいつ。なのにあの魔法……そうか、そういうことだったか。

 つまり、やつのスキルは【幻覚】で、『?』の部分はそれで隠されてるってわけか。すなわち、《女殺し》で《張りぼての魔術師》ってことだ……。
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