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闇竜討伐の旅

21.一生の思い出(1)※

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 アーサーはサフィアを抱き上げ、ベッドに下ろした。そして自分もベッドに乗り、サフィアの服の紐やボタンを外していく。
 サフィアは落ち着かない気持ちで、それを眺めていた。

――こうなる雰囲気なのは分かってたけど、どうすれば良いの……。

 サフィアは服を脱がされ、下着姿になる。自分だけ肌を晒しているのが恥ずかしくて、アーサーの服に手をかけた。

「あなたも……」
「ああ」

 アーサーが頷いたので、サフィアも起き上がり、アーサーの服のボタンを外していく。露わになるアーサーの引き締まった肉体の美しさに、サフィアはぽうっとした気分になった。サフィアも鍛えているため女性にしては筋肉がついていて引き締まっているが、やはり男性であるアーサーの体は別格だった。細身でありつつも筋肉の凹凸がはっきりとしていて、なぞりたいくらいだ。
 サフィアは、女性らしい柔らかさが少ない体を晒しているのが恥ずかしくなって、隠すようにアーサーの胸に飛び込んだ。アーサーはそれを受け止め、優しく抱きしめてくれる。互いに下着姿のため、先程よりも広く素肌が触れてどきどきした。そうしていると、アーサーの手が胸を支える下着に触れて、外そうとした。サフィアは緊張で浅い息を繰り返しながら、大人しく脱がされる。そのまままた抱き締め合って、互いの体温と鼓動を感じた。脈が速くなるのに、不思議と安心する気持ちもある。

 サフィアの肩から力が抜けると、アーサーがサフィアの頬を撫でた。キスの合図だと思ってサフィアが顔を上げると、優しい口付けをされる。触れるだけのキスを繰り返して、サフィアが薄く唇を開くと、そこからアーサーの舌が入り込んできた。やわらかく熱い舌を擦り合わせるだけできゅんきゅんして、熱に浮かされるようだ。口付けはどんどん深くなっていった。舌を絡め、その度にぴちゃ、と水音が鳴る。恥ずかしいと思うと同時に、その音にどんどん気分が高められていく。言葉を交わしていないのに、互いへの理解が深まっていっている気さえした。

「んっ……」

 アーサーの片手がサフィアの胸を掬うように触って、思わず声が漏れてしまう。本来他人に見せることも、触れられることもない場所をアーサーに触られていると思うと、それだけで倒れてしまいそうなくらいに恥ずかしかった。

「んっ……ふ、う……」

 やわやわと揉まれるだけで肩が跳ね、声が漏れる。いつの間にか唇は離れていて、サフィアの声を遮るものはなかった。アーサーがどんな顔をしているのかを見るのも恥ずかしくて、サフィアはぎゅっと目を瞑ったままだった。アーサーの指が自分の身体に触れていると思うと、それだけで電気が走るような感覚になる。

「あっ……!」

 アーサーの指が胸の突起に触れ、高い声が漏れてしまった。恥ずかしさに首を左右に振ると、手が離れる。

「すまない。嫌だったか?」
「あ、う……ううん、違うの。び、びっくりしただけ……」
「そうか。なら良かった。俺はこういうことをしたことがないから、何か変なことをしていたらすぐに教えて欲しい」
「わ、わたしだって初めてなんだけど……」
「……そうか。嫌だったり、痛かったら絶対に言って欲しい」
「分かったわ……。ありがとう……」

 結婚前に子供を作らないように、どうやったら子供ができるのか――つまり、性交がどういったものかと、避妊方法については教えられる。アーサーも教会にいるときに、同じような教育を受けているだろう。ただ、教えられるのは概要のようなもので、サフィアは詳しい内容については恋愛小説などで学んでいた。アーサーはどうなのだろう。
 お互い初めてということで、不安は尽きない。けれど同時に、自分が何か変なことをして笑われてしまうんじゃないかとか、そういう心配は減った。それに、やっぱり自分が好きな人の初めてになれるのは嬉しい。アーサーもサフィアを気遣ってくれているし、痛かったりしたら、ちゃんと言えばやめてくれるだろう。そういう安心感はあった。

「あっ……」

 再びアーサーの指先が胸の飾りに触れて、サフィアは肩を跳ねさせた。恥ずかしいけれど嫌というわけではないので、さっきのように首を振ったりしないように意識する。

「んっ、んっ……あっ……」

 胸の先を何度も撫でられて、サフィアは声を漏らした。初めての感覚に、どうして良いのか分からない。アーサーの指が動く度に、そこから鋭くも甘い電気が全身に走るようだ。胸を触られているのに、なぜかお腹がきゅうっとして、腰が抜けそうになる。きっとこれが気持ち良いってことなんだと分かるのに、どうしてか逃げ出したくなる。けれどそんな素振りを見せるとアーサーは本当にやめるだろうから、サフィアは初めての性感にじっと耐えていた。

「ふあっ、ああっ……あっ!」

 そのうち、撫でるだけではなく摘ままれて、サフィアは今までで一番高い声を上げた。さっきまでの刺激でもいっぱいいっぱいだったのに、更に大きな性感に戸惑う。こんなでは、自分はこれからどうなってしまうんだろう。みんなこうなのだろうか。もしかして自分は、すごくはしたない人間なのだろうか。

「あ、や、それだめっ……!」

 否定の言葉が口をついて出た。アーサーはすぐに手を止めて、サフィアの髪を撫でる。

「痛かったか?」
「う、ううん。違うの……」

 恥ずかしかったけれど、アーサーの勘違いをそのままにすることもできない。サフィアは目を逸らして、部屋の壁を見つめながら言った。

「えっと……気持ち良すぎ? て……だめってなっちゃったの……」
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