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「ある興味深い話?」

 ミネアは、眉を傾げ、肩を振るわせた。

「ああ。隣町の酒場の、ある女からの情報だ」

「ある女?」

「その女は、15年前、カルデア王国の王妃に仕えていたみたいだ。それで、ダメもとで、女に、カリューシャについて聞いてみた」

「ええ」

「するとな、女は、カリューシャの名を知っていたんだ。昔、カリューシャは、カルデア王国の侍者だった。その頃、カルデアの王の愛人、サリーンが死んだ。」

 ミネアには、急にランビーノが昔の話を始めたことの意図がわからなかった。

「そのサリーンと王の間に、娘がいたんだ。王の本妻は、嫉妬に狂い、まだ赤子だった娘を、侍者に殺すように命令した」

 ミネアは、ランビーノの話に耳を傾ける。

「しかし、侍者は殺すことができず、隣国に赤子を連れて、捨てた。本妻には、殺したと嘘をついてな。だが、嘆き悲しむ王には、娘が生きていることを話したらしい。王は、娘を探すように、侍者に命令を下した」

 ミネアの胸の鼓動が速くなる。

「それって、まさか。。」

「そう、その侍者は、カリューシャで、捨てられた姫は、ミネア、お前だと思う」

 ランビーノの口は、重く開かれる。

(そんな、こんなところで、自分の生い立ちを聞かされるなんて)

 ミネアは、闇に潜む天井裏で、泣きたい思いだった。場の空気など気にしない、ランビーノらしいと言えば、それまでだった。

「私は、カルデア王国の王と愛人の間に生まれた子なの?」

「ああ、ミネアがイカダに捨てられて、布に包まれて、金の札が首にかけられていた。そこに、ミネアと刻まれていた。きっと、カリューシャは、お前を探している」

「私を?だって、カリューシャの目的は、タンジア王子殺害よね?」

 ミネアは、情報が多く、整理することに追いつかない。ランビーノは、ミネアの気持ちを慮り、頷く。

「これは、俺の予想だが、カリューシャはタンジア王子殺害と、娘探し、二つの命令が下されている」

「なるほど。でも、カルデア王は、一体、何を考えているのかしら、、」

 ミネアは、カルデア王国の目的は、サーリャの地に沸いた石油だけの話ではないような予感があった。それは、ランビーノも同じ予感がしていた。

「どうやら、今回の件は、裏がありそうだな。タンジア王子も、一枚絡んでいるかもしれない。サーリャの地とは、一体、何なんだ??」

 ランビーノは、頭を捻り首を傾げる。

「石油だけではない、何かがあり、そこに私も絡んでいるということ?」

 ミネアは、話が大きくなり過ぎて、一瞬、天井裏の闇が近づいてくるように感じられ、恐怖感をに襲われた。

「そうだな。まだ、全体像が、見えてこない。一回、サーリャの地に、行ってみようと思う」

「サーリャに?」

「ああ、山の民の長は、古い知り合いなんだ。何か話してくれるかもしれない。」

「古い知り合い?どんな?」

 ランビーノの過去をあまり知らないミネアは、興味を持って、目をくるりと回した。

「まあ、それは長くなるから、また今度な。とりあえず、3日もあれば帰って来れると思うが、その間、お前一人で大丈夫か?」

 ランビーノは、心配そうにミネアを伺って聞く。

「わかった。その間、タンジア王子は、私に任せて」

「カリューシャが、いつ来るかわからない。この前の夜から2週間たった。音沙汰なさすぎる。気をつけてな」

 ランビーノは、できればミネアを一人にしたくなかったが、今は堪えてもらうより他はなかった。

「とにかく、今日は俺が王子の護衛をするから、お前は寝なさい」

 ランビーノは、有無を言わさない、力強い口調で言った。

「わかった、休ませてもらうね」

 ミネアは、今度は素直に頷いた。タンジア王子の寝姿を確認し、音を立てないよう注意をして天井裏から移動し、自室へと戻った。

(王子の告白、自分の生い立ち、国々の思惑。。この何日かで、あまりにも色々あり過ぎて、ついていけない。一回、情報を整理して、気持ちを立て直さないと。。)

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