3 / 9
第三 アルク王子と恋に落ちる
しおりを挟む
国境を越えた飛行船は、揺らぐことなく真っ直ぐにサンドリア城を目がけて飛んでいく。
「すごいな。まさかここまで来るとは」
クールなサラだが、流石に興奮してくるようで、声が高調している。
「すげえ、すげえ!俺、国から出るの初めてだ!綺麗な星々だなああ」
「騒ぎすぎだ」
サラは冷静さを取り戻すように、少年のようにはしゃぐランドンをたしなめる。
「コツコツ浮遊石を合成してきた苦労が、報われていくわ。ふりかえれば、もう5年になるわ。長い道だったわ」
カトレアは、達成感に酔いながら、自画自賛する。
「余韻にひたる時間はなさそうだよ。あそこ!見てみて!この前襲ってきたガルーラ鳥に見つかった!」
サラは南の方角けら襲ってくる野鳥の大群を発見すると、胸元から銃を取り出し、狙い撃ちの姿勢をとった。
「まじか!ここまでは、見つからずにきたのに、、。しかも、前より数が多いぞ」
ランドンは冷や汗をかきながら、背中にくくりつけた鞘から大剣を引き抜いた。
「サンドリア城付近まで、もう少し!城から少し離れた砂漠の荒野に目星はつけてるの。なんとか追い払って、着地しましょう」
カトレアも腰に納めた鞘から剣を抜いて、戦闘体制に入った。
「了解!」
ランドンとサラは、同時に応答すると、素早く飛び散った。襲ってくるガルーラ鳥を、サラは確実に狙い撃ちし、ランドンは大剣を振り回し、何匹もの野鳥が切り落とされていく。
カトレアが作ってきた飛行船は、五人乗れるか乗れないかの小型船であり、中は剥き出しで壁はなかった。
飛行船の真ん中で稼働し、円炉液という浮遊石を燃やす焼却炉が攻撃されれば、ひとたまりもなく船は墜落してしまう。
それだけは避けなければいけないと、ぎりぎりまでデッキの端まで足を踏み込み、剣を振っていたのが凶とでた。
カトレアは、剣を奮っているときに足を踏み外し、船から落下してしまった。
「カトレア姫!」
サラとランドンが、カトレアの手を掴もうとしたが、遅かった。
カトレアは、真っ逆さまに地上へと落下していく。
(ヤバいわ、このままだと本当に死んでしまう)
流石のカトレアも冷や汗をかき、ウエストポーチに常に常備している浮遊石とをだした。
浮遊石は、炉液がないと効果がなかった。カトレアは飛行船から落下する想定は考えていたので、炉液はビンに詰めてポーチに入れている。
カトレアは落下しながらも、器用に浮遊石をビンに入れてふるった。
すると、浮遊石は聖なる光を瞬かせ始め、カトレアの落下スピードを極端に遅めた。
浮遊石は一つしかなかったので、カトレアを浮かせるまでは、できなかった。
カトレアはゆっくりと地上へと落ちていく。着地点は、どうやらサンドリア城の庭のあたりだった。
「よし、これなら、木に捕まれば大丈夫そうだわ!」
カトレアは、庭木に近づくと、太そうな枝に手をかけようとした、そのとき、
「おい!何者だ!?」
ちょうどカトレアが木の枝に捕まった瞬間に、木の下から声がした。
(しまった、見つかった)
カトレアは声に驚き、足元を滑らせて、するりと落下してしまう。
(落ちる!!!)
カトレアは、地面へと落ちる覚悟をもって、目を閉じたが、落ちた場所は、男の腕の中だった。
「君は、恐れなしの勇者みたいだな」
男は、カトレアを優しく抱きとめると、苦笑して言った。
「!?あなたは?」
「アルクだ、見回りをしていたら、空から人が降ってくるから、びっくりした」
「アルク?サンドリア国のアルク王子?」
「そうだ。君は?」
「メリムダ国のカトレアよ。助けてくれて、ありがとう」
「ああ、おてんば姫のカトレアか。隣国からその名前は風の噂で、よく聞くよ。そうか、君がカトレア姫か」
アルクは、カトレアを抱いたまま、そのオレンジ色の瞳をのぞいた。
アルクに見つめられたカトレアは、心臓が″とくん″と高鳴った音が聞こえた。
薄黒い肌に、漆黒の瞳。パーマをかけているようなくせ毛にフェロモンの匂い、カトレアはセクシーな色気を感じていた。
ドラゴン伝説の因縁もあるのだろうか。金のドラゴンの後継者であるカトレアと、銀のドラゴンの後継者のアルクは、そのときお互いに恋に落ちていた。
「すごいな。まさかここまで来るとは」
クールなサラだが、流石に興奮してくるようで、声が高調している。
「すげえ、すげえ!俺、国から出るの初めてだ!綺麗な星々だなああ」
「騒ぎすぎだ」
サラは冷静さを取り戻すように、少年のようにはしゃぐランドンをたしなめる。
「コツコツ浮遊石を合成してきた苦労が、報われていくわ。ふりかえれば、もう5年になるわ。長い道だったわ」
カトレアは、達成感に酔いながら、自画自賛する。
「余韻にひたる時間はなさそうだよ。あそこ!見てみて!この前襲ってきたガルーラ鳥に見つかった!」
サラは南の方角けら襲ってくる野鳥の大群を発見すると、胸元から銃を取り出し、狙い撃ちの姿勢をとった。
「まじか!ここまでは、見つからずにきたのに、、。しかも、前より数が多いぞ」
ランドンは冷や汗をかきながら、背中にくくりつけた鞘から大剣を引き抜いた。
「サンドリア城付近まで、もう少し!城から少し離れた砂漠の荒野に目星はつけてるの。なんとか追い払って、着地しましょう」
カトレアも腰に納めた鞘から剣を抜いて、戦闘体制に入った。
「了解!」
ランドンとサラは、同時に応答すると、素早く飛び散った。襲ってくるガルーラ鳥を、サラは確実に狙い撃ちし、ランドンは大剣を振り回し、何匹もの野鳥が切り落とされていく。
カトレアが作ってきた飛行船は、五人乗れるか乗れないかの小型船であり、中は剥き出しで壁はなかった。
飛行船の真ん中で稼働し、円炉液という浮遊石を燃やす焼却炉が攻撃されれば、ひとたまりもなく船は墜落してしまう。
それだけは避けなければいけないと、ぎりぎりまでデッキの端まで足を踏み込み、剣を振っていたのが凶とでた。
カトレアは、剣を奮っているときに足を踏み外し、船から落下してしまった。
「カトレア姫!」
サラとランドンが、カトレアの手を掴もうとしたが、遅かった。
カトレアは、真っ逆さまに地上へと落下していく。
(ヤバいわ、このままだと本当に死んでしまう)
流石のカトレアも冷や汗をかき、ウエストポーチに常に常備している浮遊石とをだした。
浮遊石は、炉液がないと効果がなかった。カトレアは飛行船から落下する想定は考えていたので、炉液はビンに詰めてポーチに入れている。
カトレアは落下しながらも、器用に浮遊石をビンに入れてふるった。
すると、浮遊石は聖なる光を瞬かせ始め、カトレアの落下スピードを極端に遅めた。
浮遊石は一つしかなかったので、カトレアを浮かせるまでは、できなかった。
カトレアはゆっくりと地上へと落ちていく。着地点は、どうやらサンドリア城の庭のあたりだった。
「よし、これなら、木に捕まれば大丈夫そうだわ!」
カトレアは、庭木に近づくと、太そうな枝に手をかけようとした、そのとき、
「おい!何者だ!?」
ちょうどカトレアが木の枝に捕まった瞬間に、木の下から声がした。
(しまった、見つかった)
カトレアは声に驚き、足元を滑らせて、するりと落下してしまう。
(落ちる!!!)
カトレアは、地面へと落ちる覚悟をもって、目を閉じたが、落ちた場所は、男の腕の中だった。
「君は、恐れなしの勇者みたいだな」
男は、カトレアを優しく抱きとめると、苦笑して言った。
「!?あなたは?」
「アルクだ、見回りをしていたら、空から人が降ってくるから、びっくりした」
「アルク?サンドリア国のアルク王子?」
「そうだ。君は?」
「メリムダ国のカトレアよ。助けてくれて、ありがとう」
「ああ、おてんば姫のカトレアか。隣国からその名前は風の噂で、よく聞くよ。そうか、君がカトレア姫か」
アルクは、カトレアを抱いたまま、そのオレンジ色の瞳をのぞいた。
アルクに見つめられたカトレアは、心臓が″とくん″と高鳴った音が聞こえた。
薄黒い肌に、漆黒の瞳。パーマをかけているようなくせ毛にフェロモンの匂い、カトレアはセクシーな色気を感じていた。
ドラゴン伝説の因縁もあるのだろうか。金のドラゴンの後継者であるカトレアと、銀のドラゴンの後継者のアルクは、そのときお互いに恋に落ちていた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ある公爵令嬢の生涯
ユウ
恋愛
伯爵令嬢のエステルには妹がいた。
妖精姫と呼ばれ両親からも愛され周りからも無条件に愛される。
婚約者までも妹に奪われ婚約者を譲るように言われてしまう。
そして最後には妹を陥れようとした罪で断罪されてしまうが…
気づくとエステルに転生していた。
再び前世繰り返すことになると思いきや。
エステルは家族を見限り自立を決意するのだが…
***
タイトルを変更しました!
【完結】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか?
曽根原ツタ
恋愛
「クラウス様、あなたのことがお嫌いなんですって」
エルヴィアナと婚約者クラウスの仲はうまくいっていない。
最近、王女が一緒にいるのをよく見かけるようになったと思えば、とあるパーティーで王女から婚約者の本音を告げ口され、別れを決意する。更に、彼女とクラウスは想い合っているとか。
(王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは身を引くとしましょう。クラウス様)
しかし。破局寸前で想定外の事件が起き、エルヴィアナのことが嫌いなはずの彼の態度が豹変して……?
小説家になろう様でも更新中
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる