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???視点
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~???視点~
「また……」
私は木漏れ日の森ダンジョン前の物陰に身を潜めていた。
何故私が身を潜めているかと言うと、その事の発端は数時間前に遡る。
「今日こそは危険度2ダンジョンをクリアするぞ」
私はこの木漏れ日の森ダンジョンをクリアしようと思い、いつもより早くここへと足を運んでいた。
既に冒険者になってから1年が経過し、危険度1ダンジョンは10個クリアしたものの危険度2ダンジョンはクリアできず。身近に潜む死という恐怖に恐れて、毎回途中まで攻略して逃げて帰る日々を送っていた。
何故私が危険度2ダンジョンを攻略したいかというと、自分の夢でもあるサポータ職。皆のアイテムを背負い、パーティーが狩ったモンスターのアイテムを拾い集める縁の下の力持ちになりたいからである。そのためには、最低でも危険度2のダンジョンぐらい一人で攻略できるほどの力を持っていなければ足手まといになる事が多く、誰もパーティーに入れてくれないのだ。
そこで、私は危険度2ダンジョンでも簡単な部類に属する木漏れ日の森ダンジョンに足を運び、ダンジョン攻略しようと考えていたんだけど……
うん? 帰還ポータルが開いた。
いつもは誰一人いないダンジョンの帰還ポータルが開いたのだった。
「こんな美味しくないダンジョン。一体だれが……」
気になった私は、身を潜めている物陰へと隠れる。
すると出てきたのは丁度20歳ぐらいの男の人だろうか。
黒髪の背丈は180くらいあり。顔はいい見た目をしているが……
「はっ?」
帰還ポータルから出てきた男の人は何も考えてなさそうな顔でもう一度ダンジョンへと入っていったではないか。
あの人……馬鹿なのかな? あのダンジョンにもう一度入るの?
レベル上げにも適さず、報酬もまずいダンジョン。
もっと報酬が美味しくてレベル上げもしやすい危険度1ダンジョンは他にもたくさんあるのに。
そう考えながら、何故かそこでその男の人の帰りを待ち続け始めてしまった私。
「はぁ、私は一体何をやっているんだろう。少なくともあと数時間は出てこないはずなの……まただ」
それから20分後。またも帰還ポータルが出現した。
「今日はあの男の人以外にも潜ってたのか……え?」
その時だった。
「あの男の人は……さっき潜っていった人じゃない?」
先ほど潜っていったばっかりの黒髪の男の人が20分もしないうちに帰還ポータルから出てきたのだ。
前に入った時は確か、最速クリアタイムは1時間を超えていたはず。いくらあの男の人が早いと言っても……20分は可能なの?
開いた口が閉じない私。
一体何者……
そうして私があの男の正体を考えていたその時だった。
「え、えぇー!」
またしても何も考えていない表情でダンジョンに潜っていく黒髪の男の人。
ヤバイ! 大声を出してしまった。
直ぐに私は両手で口を塞ぎ、地面にしゃがみ込む。
それにしてもあの人……一体何周するつもりなの?
全く知らない赤の他人に興味を持ってしまった私。
こんな事、一度も無かったのに……
「……決めた。あいつが周回を終えるまでここに居てやる」
それから私は黒髪の男の人が周回を終えるまでここで隠れている事を決めたのだった。
~それから数時間後~
「あぁ……やっと帰っていった」
それからあの男の人は計16回もの木漏れ日の森ダンジョン攻略を行い、最後には見たことも無い笑みを浮かべながらその場を後にしていったのだ。
私が来た時には既に何度か攻略してきた可能性もある。多くて20回かな?
……うん。化け物ね。
私はその場に居続けたせいで重く固まってしまった腰をさすりながら立ち上がり、通りへと出ていく。
「あの化け物……いや、彼の名が知りたい」
必ず彼は有名になる。例え、彼が望んでいなくとも。
私の直感がそう告げていた。
「……うん。決めた。私は……あの男のパーティーに入る」
これは運命。神が私に授けてくれた運命なのだ。
そうと決まれば……
そうして、茶髪の少女は何かに導かれるようにその場から去っていくのであった。
「また……」
私は木漏れ日の森ダンジョン前の物陰に身を潜めていた。
何故私が身を潜めているかと言うと、その事の発端は数時間前に遡る。
「今日こそは危険度2ダンジョンをクリアするぞ」
私はこの木漏れ日の森ダンジョンをクリアしようと思い、いつもより早くここへと足を運んでいた。
既に冒険者になってから1年が経過し、危険度1ダンジョンは10個クリアしたものの危険度2ダンジョンはクリアできず。身近に潜む死という恐怖に恐れて、毎回途中まで攻略して逃げて帰る日々を送っていた。
何故私が危険度2ダンジョンを攻略したいかというと、自分の夢でもあるサポータ職。皆のアイテムを背負い、パーティーが狩ったモンスターのアイテムを拾い集める縁の下の力持ちになりたいからである。そのためには、最低でも危険度2のダンジョンぐらい一人で攻略できるほどの力を持っていなければ足手まといになる事が多く、誰もパーティーに入れてくれないのだ。
そこで、私は危険度2ダンジョンでも簡単な部類に属する木漏れ日の森ダンジョンに足を運び、ダンジョン攻略しようと考えていたんだけど……
うん? 帰還ポータルが開いた。
いつもは誰一人いないダンジョンの帰還ポータルが開いたのだった。
「こんな美味しくないダンジョン。一体だれが……」
気になった私は、身を潜めている物陰へと隠れる。
すると出てきたのは丁度20歳ぐらいの男の人だろうか。
黒髪の背丈は180くらいあり。顔はいい見た目をしているが……
「はっ?」
帰還ポータルから出てきた男の人は何も考えてなさそうな顔でもう一度ダンジョンへと入っていったではないか。
あの人……馬鹿なのかな? あのダンジョンにもう一度入るの?
レベル上げにも適さず、報酬もまずいダンジョン。
もっと報酬が美味しくてレベル上げもしやすい危険度1ダンジョンは他にもたくさんあるのに。
そう考えながら、何故かそこでその男の人の帰りを待ち続け始めてしまった私。
「はぁ、私は一体何をやっているんだろう。少なくともあと数時間は出てこないはずなの……まただ」
それから20分後。またも帰還ポータルが出現した。
「今日はあの男の人以外にも潜ってたのか……え?」
その時だった。
「あの男の人は……さっき潜っていった人じゃない?」
先ほど潜っていったばっかりの黒髪の男の人が20分もしないうちに帰還ポータルから出てきたのだ。
前に入った時は確か、最速クリアタイムは1時間を超えていたはず。いくらあの男の人が早いと言っても……20分は可能なの?
開いた口が閉じない私。
一体何者……
そうして私があの男の正体を考えていたその時だった。
「え、えぇー!」
またしても何も考えていない表情でダンジョンに潜っていく黒髪の男の人。
ヤバイ! 大声を出してしまった。
直ぐに私は両手で口を塞ぎ、地面にしゃがみ込む。
それにしてもあの人……一体何周するつもりなの?
全く知らない赤の他人に興味を持ってしまった私。
こんな事、一度も無かったのに……
「……決めた。あいつが周回を終えるまでここに居てやる」
それから私は黒髪の男の人が周回を終えるまでここで隠れている事を決めたのだった。
~それから数時間後~
「あぁ……やっと帰っていった」
それからあの男の人は計16回もの木漏れ日の森ダンジョン攻略を行い、最後には見たことも無い笑みを浮かべながらその場を後にしていったのだ。
私が来た時には既に何度か攻略してきた可能性もある。多くて20回かな?
……うん。化け物ね。
私はその場に居続けたせいで重く固まってしまった腰をさすりながら立ち上がり、通りへと出ていく。
「あの化け物……いや、彼の名が知りたい」
必ず彼は有名になる。例え、彼が望んでいなくとも。
私の直感がそう告げていた。
「……うん。決めた。私は……あの男のパーティーに入る」
これは運命。神が私に授けてくれた運命なのだ。
そうと決まれば……
そうして、茶髪の少女は何かに導かれるようにその場から去っていくのであった。
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