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後日談 リーナストーリー ピンクエンド - Ⅱ
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ビクトリアによってニセ転移者に作り上げられたシリウスは、その役をリーナの想像以上にこなす。
翌日、登校し馬車から降りたリーナをさっそうと現れたシリウスが出迎えた。
「おはよう、リーナ嬢」
そう言って少し照れた彼の笑顔は、リーナの心を撃ち抜く。
(ゔ・・・カッコイイ。硬派なイケメンのはにかんだ笑顔は、朝から心臓に悪いわ)
「おはようございます」
リーナはタジタジになりながらも、彼の隣に立ち歩き出す。この光景に周囲は、驚愕と好奇の眼差しを向けた。
その反応は当然だ。ついこの間、セドリックに抱きかかえられていた彼女が、今日はシリウスから笑顔の出迎えをうけているのだから・・・
そしてシリウスの横にいると、あることに気付く。それはシリウスが通ると、女生徒たちが控えめに頬を染めることだ。
ベタ恋ではヒーローの影に隠れていた地味キャラも、現実では硬派イケメンとして、ちゃ~んと女性のハートを掴んでいたことにリーナは今更ながら気付いた。
リーナは、自分が数々の・・といってもセドリックとシリウスだけだが・・それでもイケメンたちを手玉に取る悪女キャラに自分がなってることに戦々恐々とする。
(ビクトリア~、これ大丈夫~?私、ヒロインから悪役令嬢の座に格下げかもしれないわよ・・)
そんなリーナの気持ちや周囲の反応など気にもとめない・・いや、気付いていないだろうシリウスは、リーナを教室まで送り届けると「それじゃあ、また昼休みに迎えに来るよ」と言葉を残して自分の教室までへと去って行った。
そして昼休み、リーナは迎えに来たシリウスによって、中庭へ案内される。そこには、芝生に敷かれたシートの上に美味しそうな軽食が並んでいた。
「今日は天気が良かったからね。朝、急遽用意させたんだ。あまり手の込んだものはないが、美味しいよ」
(惚れる・・・これは惚れる。これやられて惚れない女は、女にあらず!何故これをビクトリアにやらない!?私のような雑魚なんかに勿体ない!)
リーナは内心焦れったさ爆発させながらも、笑顔で「ありがとうございます!」と礼を言った。どれも料理は、美味しかった。伯爵家の食事も美味しかったが、さらにその上をいった。
美味しい食事で腹を満たしたリーナは、幸福感で満たされていた。そんなリーナにシリウスは「満足してくれたみたいだね」と笑顔を向けた。
リーナはそんな彼に、演技とは分かっていてもこそばゆくなり、セドリックとは違う種類のイケメンにその胸はドキドキさせられた。
(“上手くできるか分からない”とか言ってたけど、とんでもない!成績表をつけるなら、文句なしの最高評価ね)
リーナが恐れ多くも勝手に採点していると、シリウスがポツリと尋ねてきた。
「リーナ嬢は、転移者という役柄をどう捉えている?私はまだ分からずに演技しているのだが、これでは中途半端になってしまわないかと、危惧している」
実は、シリウスにはリーナも転移者だという設定にしていた。まさか、本当に“異世界から転生してきて、本当は三十路前で~す”と明かすわけにもいかず、あくまでも設定上の転移者だ。リーナは、シリウスが真剣にこの演技に取り組んでくれていることに、チクリと胸が痛む。そして、自分の安易な相談で彼を巻き込んでしまったことに申し訳さを感じていた。
「シリウス様、私もどうしていいのかまだ分かりません。でも演技だと考えては、騙せるものも騙せません。自然体でいきましょう。上手くいったらラッキーぐらいでいいんです。なんて巻き込んだ張本人が言っても、何だよって感じでしょうが・・」
リーナの正直な言葉にシリウスは、「プハッ」と破顔した。その少年のような笑顔にリーナの胸はキュンとする。
(あのビクトリアが、この人を前にして好きになっしまうのも頷けるわね。あの王子がいなけりゃ、シリウスがベタ恋のヒーローにピッタリだもの)
リーナはそんなことを考えながら、ある想いを胸に抱く。それは昨日、顔を覗かせた彼女の世話焼きな性格からくる、完全なお節介な想いだった。
翌日、登校し馬車から降りたリーナをさっそうと現れたシリウスが出迎えた。
「おはよう、リーナ嬢」
そう言って少し照れた彼の笑顔は、リーナの心を撃ち抜く。
(ゔ・・・カッコイイ。硬派なイケメンのはにかんだ笑顔は、朝から心臓に悪いわ)
「おはようございます」
リーナはタジタジになりながらも、彼の隣に立ち歩き出す。この光景に周囲は、驚愕と好奇の眼差しを向けた。
その反応は当然だ。ついこの間、セドリックに抱きかかえられていた彼女が、今日はシリウスから笑顔の出迎えをうけているのだから・・・
そしてシリウスの横にいると、あることに気付く。それはシリウスが通ると、女生徒たちが控えめに頬を染めることだ。
ベタ恋ではヒーローの影に隠れていた地味キャラも、現実では硬派イケメンとして、ちゃ~んと女性のハートを掴んでいたことにリーナは今更ながら気付いた。
リーナは、自分が数々の・・といってもセドリックとシリウスだけだが・・それでもイケメンたちを手玉に取る悪女キャラに自分がなってることに戦々恐々とする。
(ビクトリア~、これ大丈夫~?私、ヒロインから悪役令嬢の座に格下げかもしれないわよ・・)
そんなリーナの気持ちや周囲の反応など気にもとめない・・いや、気付いていないだろうシリウスは、リーナを教室まで送り届けると「それじゃあ、また昼休みに迎えに来るよ」と言葉を残して自分の教室までへと去って行った。
そして昼休み、リーナは迎えに来たシリウスによって、中庭へ案内される。そこには、芝生に敷かれたシートの上に美味しそうな軽食が並んでいた。
「今日は天気が良かったからね。朝、急遽用意させたんだ。あまり手の込んだものはないが、美味しいよ」
(惚れる・・・これは惚れる。これやられて惚れない女は、女にあらず!何故これをビクトリアにやらない!?私のような雑魚なんかに勿体ない!)
リーナは内心焦れったさ爆発させながらも、笑顔で「ありがとうございます!」と礼を言った。どれも料理は、美味しかった。伯爵家の食事も美味しかったが、さらにその上をいった。
美味しい食事で腹を満たしたリーナは、幸福感で満たされていた。そんなリーナにシリウスは「満足してくれたみたいだね」と笑顔を向けた。
リーナはそんな彼に、演技とは分かっていてもこそばゆくなり、セドリックとは違う種類のイケメンにその胸はドキドキさせられた。
(“上手くできるか分からない”とか言ってたけど、とんでもない!成績表をつけるなら、文句なしの最高評価ね)
リーナが恐れ多くも勝手に採点していると、シリウスがポツリと尋ねてきた。
「リーナ嬢は、転移者という役柄をどう捉えている?私はまだ分からずに演技しているのだが、これでは中途半端になってしまわないかと、危惧している」
実は、シリウスにはリーナも転移者だという設定にしていた。まさか、本当に“異世界から転生してきて、本当は三十路前で~す”と明かすわけにもいかず、あくまでも設定上の転移者だ。リーナは、シリウスが真剣にこの演技に取り組んでくれていることに、チクリと胸が痛む。そして、自分の安易な相談で彼を巻き込んでしまったことに申し訳さを感じていた。
「シリウス様、私もどうしていいのかまだ分かりません。でも演技だと考えては、騙せるものも騙せません。自然体でいきましょう。上手くいったらラッキーぐらいでいいんです。なんて巻き込んだ張本人が言っても、何だよって感じでしょうが・・」
リーナの正直な言葉にシリウスは、「プハッ」と破顔した。その少年のような笑顔にリーナの胸はキュンとする。
(あのビクトリアが、この人を前にして好きになっしまうのも頷けるわね。あの王子がいなけりゃ、シリウスがベタ恋のヒーローにピッタリだもの)
リーナはそんなことを考えながら、ある想いを胸に抱く。それは昨日、顔を覗かせた彼女の世話焼きな性格からくる、完全なお節介な想いだった。
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