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第3章
第176.5話 幕間 アリーナ視点1
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学園が終わった放課後、私たちいつものメンバーは街へ繰り出していた。元気のないリリスのためだ。しかし、私たちは途中でネージュを見かけた事で、目的が探偵まがいの聖獣の尾行へと変わった。
ネージュの跡をつけると、街を出る門までやって来た。これから楽しくなりそうな予感に私は胸を躍らせていたが、リリスの頼みでそれは叶わなかった。
「アリーナ、エリーゼ、お願いがあるの。すぐにヘンリーとアルバス先生を呼びに行ってちょうだい。ヘンリーが事情を全部知ってるから」
正直迷ったけど、彼女の必死な様子に何か事情があることを悟った私は承諾した。ヘンリー様が知ってると言うなら、尚更。
リリスは決して意味もなく我儘は言わない。あっ、でも最近たまーに我儘になるわね。なんの前触れもなく本当に突然。最初は何かの病気かと心配したけど、そうじゃない。彼女は昨年から色々と苦労してるから、また何か厄介事に巻き込まれてなきゃいいけど。
私は未練を心の奥に押し込め、未だ状況を理解してないエリーゼを連れて、急ぎヘンリー様の屋敷へ向かった。何か用があると言ってたけど、屋敷にいるかしら。
途中、エリーゼが何度も何が起こってるのか聞いてきたけど、私も分からないので答えようがなかった。せめてネージュたち聖獣の存在を説明しようかとも思ったけど、エリーゼが聖獣の姿を確認できなければ信じないだろうと考えると「後で全部説明するから。信じて・・」としか言えなかった。
セルジュ家を訪ねると、ヘンリー様が在宅しているというので客間へ通された。待つ時間がとても長く感じられた。今か今かと待っていた私は、ヘンリー様が部屋へ入るやいなや立ち上がり、口を開いた。
「ヘンリー様!リリスに頼まれて呼びに来ました。彼女はヘンリー様はすべて事情を知ってると言ったんです!」
思えばいくら急いでいるとはいえ、貴族令嬢らしからぬ行動だった。ヘンリー様に落ち着くよう言われた私は一度深呼吸をすると、さっきまでの出来事を順を追って説明した。私の話を聞くにつれ、ヘンリー様の眉間にはシワがより、やたら身に着けるピアスに触れていた。
そして私の話を聞き終えた彼は「手紙を書くからアルバス先生に持っていってほしい」と言った。ヘンリー様が手紙を書いてくれるなら、それをエリーゼに任せて、私は彼と一緒に行っても問題ないかと思ったけど、当初の予定通り先生の元へ行くことになった。ヘンリー様は先生を呼びに行くことがすごく重要なことみたいに言ってたけど、あれ絶対誤魔化されたわね。
夕方だから先生はまだ学園にいるとにらんで、エリーゼと学園へ急ぎ向かった。結果、私たちはツイていた。校舎へ入ったところで、バッタリ先生に出くわしたのだ。探す手間も時間も節約できた私に、その時の先生が輝いて見えたのは言うまでもない。
人気のない場所へ移動すると、先生はヘンリー様からの手紙の封を開け、読んだ。読み進めるうちに先生の表情は、真剣なものへと変化した。そんなに一大事なんだろうか。
手紙を読み終えた先生は、私たちを連れてアルミーダさんの所へ向かった。店で出迎えた彼女は先生の表情を見るなり、何かを察したのか「奥で待ってな」と言うと、店じまいを始めた。初めて見た魔法を使った店じまいの様子にじっくり見たいと私の好奇心はくすぐられたが、ぐっと我慢した。それはまたの機会にしよう。
奥で待っていると、思っていたより早くアルミーダさんが戻ってきた。やっぱり魔法って便利。椅子に腰掛けると、早速彼女は口を開いた。
「何かあったんだね」
その言葉に先生はヘンリー様の手紙を見せ、彼女は目を通した。そして手紙から目を上げたアルミーダさんに、先生は私達に街での出来事を話すように言った。私は順を追って、説明した。
話を聞き終えた彼女は「出番だよ」と天井に向けて言った。すると、何もなかった空間から突然フクロウが現れた。私とエリーゼは突然現れた鳥に驚きを隠さなかった。
そんな私たちを気にすることなく「それじゃあ準備するから、後は頼むよ」と先生に言い残して、アルミーダさんは部屋の奥へと消えた。そして、先生は肩にとまったフクロウに喋りかけた。
「いいかい、ホーホー。彼の所へ伝言を届けてくれ。伝言は”アルミーダの準備ができたらすぐに行く”だ。分かったね?」
そう言った先生は、”ホーホー”と呼んだフクロウの頭に手を当てる。ほんの数秒そうしてから手をどかすと「じゃあ、よろしく頼むよな」と言った。フクロウは『ホー』と一度だけ鳴くと、肩から飛び立った。そのまま飛んでいき壁にぶつかるかと思ったが、ぶつかる直前にその姿はフッと消えた。
目の前の光景に信じられないといった表情のエリーゼと顔を見合わせた私は、口を開いた。
「先生・・今のは・・・」
先生は、笑って話を始めた。
「ああ、びっくりしたよね。今のはアルミーダの使い鳥だ。名前はホーホー。真面目だし可愛くて、いいヤツだよ」
フクロウの名前に”ホーホー”ってどうなの・・と思ったけど、それは赤の他人の私が言うことじゃない。それよりも気になったことを私は尋ねる。
「フクロウに伝言なんてできるんですか?それに”彼”って、ヘンリー様のことですよね。ホーホーは、ヘンリー様の居場所が分かるんですか?そもそもヘンリー様を知ってるんですか?」
私の矢継ぎ早の質問に先生は苦笑すると、頭をかいた。私は、つい早口に捲し立てるように聞いたことに恥ずかしさを覚えたが、先生はいつもの優しい声で教えてくれた。
ホーホーは話すことができるし、人間の言葉を理解できる。しかも先程、先生が手を当てた時にヘンリー様の顔を念じたため、彼の顔も分かるし、その対象がどこに居るのかも察知できるそうだった。
すごいじゃないの!ホーホー!”たかがフクロウ”なんて侮ってしまってごめんなさい。今度、好物でも差し入れようかしら。
ネージュの跡をつけると、街を出る門までやって来た。これから楽しくなりそうな予感に私は胸を躍らせていたが、リリスの頼みでそれは叶わなかった。
「アリーナ、エリーゼ、お願いがあるの。すぐにヘンリーとアルバス先生を呼びに行ってちょうだい。ヘンリーが事情を全部知ってるから」
正直迷ったけど、彼女の必死な様子に何か事情があることを悟った私は承諾した。ヘンリー様が知ってると言うなら、尚更。
リリスは決して意味もなく我儘は言わない。あっ、でも最近たまーに我儘になるわね。なんの前触れもなく本当に突然。最初は何かの病気かと心配したけど、そうじゃない。彼女は昨年から色々と苦労してるから、また何か厄介事に巻き込まれてなきゃいいけど。
私は未練を心の奥に押し込め、未だ状況を理解してないエリーゼを連れて、急ぎヘンリー様の屋敷へ向かった。何か用があると言ってたけど、屋敷にいるかしら。
途中、エリーゼが何度も何が起こってるのか聞いてきたけど、私も分からないので答えようがなかった。せめてネージュたち聖獣の存在を説明しようかとも思ったけど、エリーゼが聖獣の姿を確認できなければ信じないだろうと考えると「後で全部説明するから。信じて・・」としか言えなかった。
セルジュ家を訪ねると、ヘンリー様が在宅しているというので客間へ通された。待つ時間がとても長く感じられた。今か今かと待っていた私は、ヘンリー様が部屋へ入るやいなや立ち上がり、口を開いた。
「ヘンリー様!リリスに頼まれて呼びに来ました。彼女はヘンリー様はすべて事情を知ってると言ったんです!」
思えばいくら急いでいるとはいえ、貴族令嬢らしからぬ行動だった。ヘンリー様に落ち着くよう言われた私は一度深呼吸をすると、さっきまでの出来事を順を追って説明した。私の話を聞くにつれ、ヘンリー様の眉間にはシワがより、やたら身に着けるピアスに触れていた。
そして私の話を聞き終えた彼は「手紙を書くからアルバス先生に持っていってほしい」と言った。ヘンリー様が手紙を書いてくれるなら、それをエリーゼに任せて、私は彼と一緒に行っても問題ないかと思ったけど、当初の予定通り先生の元へ行くことになった。ヘンリー様は先生を呼びに行くことがすごく重要なことみたいに言ってたけど、あれ絶対誤魔化されたわね。
夕方だから先生はまだ学園にいるとにらんで、エリーゼと学園へ急ぎ向かった。結果、私たちはツイていた。校舎へ入ったところで、バッタリ先生に出くわしたのだ。探す手間も時間も節約できた私に、その時の先生が輝いて見えたのは言うまでもない。
人気のない場所へ移動すると、先生はヘンリー様からの手紙の封を開け、読んだ。読み進めるうちに先生の表情は、真剣なものへと変化した。そんなに一大事なんだろうか。
手紙を読み終えた先生は、私たちを連れてアルミーダさんの所へ向かった。店で出迎えた彼女は先生の表情を見るなり、何かを察したのか「奥で待ってな」と言うと、店じまいを始めた。初めて見た魔法を使った店じまいの様子にじっくり見たいと私の好奇心はくすぐられたが、ぐっと我慢した。それはまたの機会にしよう。
奥で待っていると、思っていたより早くアルミーダさんが戻ってきた。やっぱり魔法って便利。椅子に腰掛けると、早速彼女は口を開いた。
「何かあったんだね」
その言葉に先生はヘンリー様の手紙を見せ、彼女は目を通した。そして手紙から目を上げたアルミーダさんに、先生は私達に街での出来事を話すように言った。私は順を追って、説明した。
話を聞き終えた彼女は「出番だよ」と天井に向けて言った。すると、何もなかった空間から突然フクロウが現れた。私とエリーゼは突然現れた鳥に驚きを隠さなかった。
そんな私たちを気にすることなく「それじゃあ準備するから、後は頼むよ」と先生に言い残して、アルミーダさんは部屋の奥へと消えた。そして、先生は肩にとまったフクロウに喋りかけた。
「いいかい、ホーホー。彼の所へ伝言を届けてくれ。伝言は”アルミーダの準備ができたらすぐに行く”だ。分かったね?」
そう言った先生は、”ホーホー”と呼んだフクロウの頭に手を当てる。ほんの数秒そうしてから手をどかすと「じゃあ、よろしく頼むよな」と言った。フクロウは『ホー』と一度だけ鳴くと、肩から飛び立った。そのまま飛んでいき壁にぶつかるかと思ったが、ぶつかる直前にその姿はフッと消えた。
目の前の光景に信じられないといった表情のエリーゼと顔を見合わせた私は、口を開いた。
「先生・・今のは・・・」
先生は、笑って話を始めた。
「ああ、びっくりしたよね。今のはアルミーダの使い鳥だ。名前はホーホー。真面目だし可愛くて、いいヤツだよ」
フクロウの名前に”ホーホー”ってどうなの・・と思ったけど、それは赤の他人の私が言うことじゃない。それよりも気になったことを私は尋ねる。
「フクロウに伝言なんてできるんですか?それに”彼”って、ヘンリー様のことですよね。ホーホーは、ヘンリー様の居場所が分かるんですか?そもそもヘンリー様を知ってるんですか?」
私の矢継ぎ早の質問に先生は苦笑すると、頭をかいた。私は、つい早口に捲し立てるように聞いたことに恥ずかしさを覚えたが、先生はいつもの優しい声で教えてくれた。
ホーホーは話すことができるし、人間の言葉を理解できる。しかも先程、先生が手を当てた時にヘンリー様の顔を念じたため、彼の顔も分かるし、その対象がどこに居るのかも察知できるそうだった。
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