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第3章
第138話 リリス14歳 王子に邪魔される2
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「いいのかい?リリス嬢の姿が見えたからね。君に話があったんだよ。ヘンリーもいるし、ちょうどいいな」
「「キャー」」
後ろの集団がアーサーが動くたび、何か言うたびにいちいちキャーキャー黄色い歓声をあげている。
(もう・・モブがキャーキャーうるさいわぁ。どこぞのアイドルかってのよ!)
リリスは心の声を飲み込み、微笑みを浮かべて言った。
「殿下、私たちに何か御用でしょうか?」
リリスたちのやり取りにエリーゼは口をおさえ、アシュリーは黒縁メガネを上げ眉を上げた。そしてヘンリーは相変わらずリリスの横で何も言わずににこやかに立っている。
「以前、リリス嬢は招いたが、僕は君ともぜひ話がしたいと思ってね」
そう言ったアーサーはヘンリーに視線を送る。そして続けて言った。
「二人揃って、城においでよ。歓迎する。早いほうがいいな・・・よし!今日の放課後だな」
(あっ・・この話って、以前約束してくれたやつ・・)
噂を収束させるためアーサーが約束を守ってくれることは嬉しかったが、今日の放課後とか急すぎる。横のヘンリーを見ると、彼もアーサーの意図に気付いているようだ。しかし生憎今日の放課後は、アルミーダを訪ねる予定だった。アルミーダと約束をしてる訳ではないので、アーサーの申し出を受けることに問題はなかったが、彼の言いなりになるのも癪に障るので、リリスは少しゴネてみようと口を開く。
「殿下、恐れながら放課後は私もヘンリー様も先約がございます」
「そうか・・そうなると私も暇ではない。次はいつになるか分からないが・・・」
するとアリーナがリリスの上着の裾を後ろから引っ張る。リリスは何事かと振り返ると、彼女は「受けなさいよ」と小声で言った。その横でエリーゼも大きく頷いている。
「えっ!でも本当に用があるのよ」
「何言ってるのよ。殿下のお誘いよ。何をおいても受けるのが当然でしょっ」
「でも、急す・・・」
リリスの反論を遮り、エリーゼが「行きましょうっ!」と横から口を挟み、もの凄い眼力を飛ばしてくる。リリスたちがゴチャゴチャしていると、何も言わずに立っていたヘンリーが口を開いた。
「城へお誘いいただけるとは、光栄にございます。ぜひとも伺わせていただきます」
リリスは「ヘンリー・・・」と呟き、彼に視線を送るが「せっかくのお誘いだよ」とニッコリと微笑まれてしまった。するとアーサーはリリスたちの後ろにいるアリーナたちにも声をかける。
「君たちはリリス嬢の友人だろう?君たちも歓迎するよ。スタイラスとも久しぶりにゆっくり話したい」
アーサーのセリフにスタイラスは「畏まりました」と言い、アリーナとエリーゼは驚きお互い顔を見合わせた後「はい!」と返事をした。二人の頬は赤く、興奮している。その時、アシュリーが横のスタイラスに「僕は貴族じゃないよ」と言った。その言葉にアーサーが反応する。
「僕はリリス嬢の友人を誘ってるんだ。君もそうなんだろう?」
「はい」
「それなら遠慮することはない。僕は相手の身分でかける言葉を選んだりしないよ」
ホッとした表情でアシュリーは「ありがとうございます!」と礼を言った。
こうして話がまとまると、皆は食事をするためカフェテリアへと入って行った。
「先生の予定は、また明日だね」
苦笑して言ったヘンリーに、リリスは「そうね」と短く返した。そして後ろをチラッと振り返ると、アーサーの後ろにいた生徒たちがその場でまだ騒いでいた。
(これで噂が収まるといいんだけど・・・)
「「キャー」」
後ろの集団がアーサーが動くたび、何か言うたびにいちいちキャーキャー黄色い歓声をあげている。
(もう・・モブがキャーキャーうるさいわぁ。どこぞのアイドルかってのよ!)
リリスは心の声を飲み込み、微笑みを浮かべて言った。
「殿下、私たちに何か御用でしょうか?」
リリスたちのやり取りにエリーゼは口をおさえ、アシュリーは黒縁メガネを上げ眉を上げた。そしてヘンリーは相変わらずリリスの横で何も言わずににこやかに立っている。
「以前、リリス嬢は招いたが、僕は君ともぜひ話がしたいと思ってね」
そう言ったアーサーはヘンリーに視線を送る。そして続けて言った。
「二人揃って、城においでよ。歓迎する。早いほうがいいな・・・よし!今日の放課後だな」
(あっ・・この話って、以前約束してくれたやつ・・)
噂を収束させるためアーサーが約束を守ってくれることは嬉しかったが、今日の放課後とか急すぎる。横のヘンリーを見ると、彼もアーサーの意図に気付いているようだ。しかし生憎今日の放課後は、アルミーダを訪ねる予定だった。アルミーダと約束をしてる訳ではないので、アーサーの申し出を受けることに問題はなかったが、彼の言いなりになるのも癪に障るので、リリスは少しゴネてみようと口を開く。
「殿下、恐れながら放課後は私もヘンリー様も先約がございます」
「そうか・・そうなると私も暇ではない。次はいつになるか分からないが・・・」
するとアリーナがリリスの上着の裾を後ろから引っ張る。リリスは何事かと振り返ると、彼女は「受けなさいよ」と小声で言った。その横でエリーゼも大きく頷いている。
「えっ!でも本当に用があるのよ」
「何言ってるのよ。殿下のお誘いよ。何をおいても受けるのが当然でしょっ」
「でも、急す・・・」
リリスの反論を遮り、エリーゼが「行きましょうっ!」と横から口を挟み、もの凄い眼力を飛ばしてくる。リリスたちがゴチャゴチャしていると、何も言わずに立っていたヘンリーが口を開いた。
「城へお誘いいただけるとは、光栄にございます。ぜひとも伺わせていただきます」
リリスは「ヘンリー・・・」と呟き、彼に視線を送るが「せっかくのお誘いだよ」とニッコリと微笑まれてしまった。するとアーサーはリリスたちの後ろにいるアリーナたちにも声をかける。
「君たちはリリス嬢の友人だろう?君たちも歓迎するよ。スタイラスとも久しぶりにゆっくり話したい」
アーサーのセリフにスタイラスは「畏まりました」と言い、アリーナとエリーゼは驚きお互い顔を見合わせた後「はい!」と返事をした。二人の頬は赤く、興奮している。その時、アシュリーが横のスタイラスに「僕は貴族じゃないよ」と言った。その言葉にアーサーが反応する。
「僕はリリス嬢の友人を誘ってるんだ。君もそうなんだろう?」
「はい」
「それなら遠慮することはない。僕は相手の身分でかける言葉を選んだりしないよ」
ホッとした表情でアシュリーは「ありがとうございます!」と礼を言った。
こうして話がまとまると、皆は食事をするためカフェテリアへと入って行った。
「先生の予定は、また明日だね」
苦笑して言ったヘンリーに、リリスは「そうね」と短く返した。そして後ろをチラッと振り返ると、アーサーの後ろにいた生徒たちがその場でまだ騒いでいた。
(これで噂が収まるといいんだけど・・・)
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