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第3章

第114話 リリス14歳 魔女の手紙2

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(ついにディファナさんとご対面しちゃう日も近いの?!うわぁぁ、どんな人だろう。すっごく気になる!)

「なぁに、嬉しそうにしてるんだい」

アルミーダはリリスに残念そうな視線を送る。その視線にリリスは引き攣った笑顔を貼り付けた。

「その・・ディファナさんはどんな魔女かなぁと思いまして」

「相変わらずあんたの頭の中はお花畑かい?あんたが、いちばん用心しなくちゃいけないんだよ」

「えっと・・・用心ですか?私が?」

「あんた、去年あの操られた聖獣にエライ目にあわされたのを、もう忘れたのかい?」

「もちろん覚えてますよ。でも私、ディファナさんに恨まれる覚えないし・・」

「あいつは理由なんてどうでもいいんだよ。ただ面白ければいい。そういう奴だ。あたしを巻き込んだのも、理由はないのさ。ディファナにとっては、ただの暇つぶしなんだよ。
あいつの狙いはあんただ。これだけはハッキリしてるからね」

顎でリリスを指したアルミーダは、そう断言した。その言葉にヘンリーは「それはどういうことですか?」と動揺した様子で尋ねた。 
アルミーダはゆっくり瞬きするとさっき目の前に置いた巻手紙を手に取り、隣に座るアシュリーに渡した。何も言わずに手紙を渡されたアシュリーは戸惑っていたが、アルバスに「読んで」と言われ恐る恐る封印をとく。そしてアシュリーの声が部屋に響いた。

「精霊を従えし者。森に来たれ。
汝失われた過去を求めよ。さすれば与えられん」

手紙を読み終えると、一瞬で小さな炎があがり手紙はパッと消え去った。その光景をみんな固唾をのんで見守っていた。
リリスも緊張から喉が鳴る。

「なんだか予言みたい」とアリーナが呟き、リリスを見る。リリスは彼女と視線を合わせ、頷いた。

「今の手紙をどうしてアルミーダさんが持っていたんですか?」とスタイラスが聞いた。

「そりゃあ、店に置いてあったからだよ」

「それでは、ディファナと会ったということですか?」

「いいや、あたしが店に居ない時を狙って来たようだから、会っちゃいないね。だいたい会ってたら、逃がしゃしないよ。
あれは、店に置いてあったんだ。ご丁寧にあたしが現れると、出てくるように魔法で隠されてな。
全く有り難くない迷惑千万な置き土産だよ」

アルミーダはそう言うと、ため息ついた。そして顎に手を当て何か考えていたヘンリーが質問した。

「ディファナはなぜここに手紙を置いたんでしょうか。直接、リリィに届けたほうが確実ですよね。
ディファナにとってアルミーダさんや先生は、間違いなく厄介な相手ですよ。それなのに態々アルミーダさんを巻き込むようなことをしますか?
そもそもあの手紙はディファナからのもので間違いありませんか?」

「そりゃあ・・」

質問に答えようと口を開いたアルミーダを、アルバスが手を上げ制止した。そして代わりに口を開く。

「手紙は間違いなくディファナからのものだ。おそらくはアルミーダへの挑戦状だろう。彼女を守れるものなら守ってみろという」

「そういうこった。あいつは昔からあたしを目の敵にするんだよ。さっきも言ったが、理由なんてどうでもいいことだ。知りたきゃ、捕まえて吐かせりゃいいんだよ」

アルミーダは迷惑そうに言うと、肩をすくめた。そしてアルバスが真剣な眼差しでリリスを見て、忠告した。

「手紙に書かれていた森というのは、間違いなく西の森だ。
いいかい・・森には近付かないこと。絶対にだ。分かったね?」

アルバスの言葉にヘンリーたちの緊張する様子を感じたリリスは、これに頷くしかなかった。

「分かりました・・」
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