106 / 202
第2章
第96話 リリス13歳 商会訪問2
しおりを挟む
開かれた扉の先は薄暗い部屋だった。昼間なのに暗いのはカーテンが閉められているからだった。アシュリーは明かりをつけると、皆を中へ招き入れた。
部屋の真ん中には、大きなテーブルが置いてあった。ベイガーとアシュリーがテーブルを回り込み、そのテーブルを挟んでみんなの向かいに立つ。
そしてベイガーが「さあ、ご覧なさぁい」と言うと、何もなかったテーブルの上に突然パッと3つの品が現れた。現れたのは、右からツボ、ラペルピン、生地だった。突然現れた品にリリスたち女性陣は驚きの声を上げた。
「えっ?どこから現れたの?」
「何もなかったのに!」
「どんな仕掛け?!」
「みんな驚かせちゃったよね。すごく貴重な品だから、普段は魔法で見えないようにしてるんだ」
「そうなのよぉ。一応、貴重な商品は厳重に保管してるんだけどぉ、これは特に珍しい商品だから、部屋に結界張って、さらに魔法で隠してるのよぉ。万が一、盗まれたなんてことになったら、もうたいへーん。うち潰れちゃうわぁ」
アシュリーとベイガーが説明した。
「あっ、さっきボタンを押していたのは、結界ですか?」
リリスの問に「御名答」と上機嫌でベイガーが答えた。
(へえ、魔法でなくあんなボタンで結界を操作できるなんて、凄いわね。なんか他にもいろいろ仕掛けがありそうね)
そう考えたリリスは、部屋の中を見回した。そんなリリスにスタイラスは「リリス嬢、探しても簡単には見つからないと思うよ」と小声で言った。それにリリスは「へっ?!なんで分かったの?」と顔を赤くした。
(相変わらず、スタイラス様に思考がダダ漏れかぁ。ホントに彼は鋭いわね。アルミーダさんにも分かりやすいって言われた前科あるし、これは本格的に貴族の仮面を被る練習が必要かしら)
リリスが考えてる横でエリーゼが「私たちにそんなこと言っても大丈夫なんですか?」と聞いた。それにベイガーが微笑むと、言った。
「大丈夫。息子が信用してるお友達だしぃ、それにアルバート公爵家にマリアセレン公爵家はもちろん、サマリー侯爵家とサラマンカ伯爵家、どの家もとーっても信用のおける貴族だし、お客様ですものぉ・・ねっ?だからぜーんぜん平気なの。
さあ、それより今日はこれを見に来たんでしょ?さあさあ、近くに来て見てみなさい」
ベイガーに促されたリリスたちは前へ出て、テーブルに並ぶ品を珍しそうに見る。ツボと生地は淡いブルーをしており、ラペルピンにはやはり淡いブルーの宝石が付いていた。
「手に取っても大丈夫だよ。光の角度によって色が変わるから、やってみて」
アシュリーの言葉にリリスたちは各々手に取る。ラペルピンを手にしたリリスは目の高さにかざし、角度を変えてみる。すると噂通り淡いブルーの宝石がピンクに見えたり、グリーンに見えたりした。
「うわぁ、すごくきれい」
思わず感嘆の声を上げたリリスに、ベイガーが言った。
「そうでしょう?その石はアクアマリンなんだけどぉ、ミレドールで採れる石だけは、そうやって色が変化して見えるのよぉ。不思議よねぇ。
ちなみにそれはさる高貴なお方がご購入済みだからぁ、もう買えないわよぉ」
(へえ、高貴なお方・・・こんなの買えるなんて、王族か公爵、侯爵ぐらいよね。まあうちじゃないわね。スタイラス様のところでもなさそうだし・・・まあ、関係ないか。それより・・)
リリスはここへ来る途中に見かけた物が気になっていたため、ベイガーに聞いた。
「あの、さっきここへ来る途中に見かけた商品を買うことはできますか?」
「あらぁ、何かリリス様のお眼鏡に叶う商品があったかしらぁ」
「テーブルの上にアクセサリーが沢山置いてあったうちの1つです」
「あぁ、あそこね。もちろんだーい歓迎よぉ。後で案内するわね」
ベイガーはそう言うと、ウインクした。
(おっおう、おじさまのウインクはなかなかの破壊力ね。でもやった。どうしてもあれが気になるのよ)
リリスはあれをもう一度見られることに心が躍った。
部屋の真ん中には、大きなテーブルが置いてあった。ベイガーとアシュリーがテーブルを回り込み、そのテーブルを挟んでみんなの向かいに立つ。
そしてベイガーが「さあ、ご覧なさぁい」と言うと、何もなかったテーブルの上に突然パッと3つの品が現れた。現れたのは、右からツボ、ラペルピン、生地だった。突然現れた品にリリスたち女性陣は驚きの声を上げた。
「えっ?どこから現れたの?」
「何もなかったのに!」
「どんな仕掛け?!」
「みんな驚かせちゃったよね。すごく貴重な品だから、普段は魔法で見えないようにしてるんだ」
「そうなのよぉ。一応、貴重な商品は厳重に保管してるんだけどぉ、これは特に珍しい商品だから、部屋に結界張って、さらに魔法で隠してるのよぉ。万が一、盗まれたなんてことになったら、もうたいへーん。うち潰れちゃうわぁ」
アシュリーとベイガーが説明した。
「あっ、さっきボタンを押していたのは、結界ですか?」
リリスの問に「御名答」と上機嫌でベイガーが答えた。
(へえ、魔法でなくあんなボタンで結界を操作できるなんて、凄いわね。なんか他にもいろいろ仕掛けがありそうね)
そう考えたリリスは、部屋の中を見回した。そんなリリスにスタイラスは「リリス嬢、探しても簡単には見つからないと思うよ」と小声で言った。それにリリスは「へっ?!なんで分かったの?」と顔を赤くした。
(相変わらず、スタイラス様に思考がダダ漏れかぁ。ホントに彼は鋭いわね。アルミーダさんにも分かりやすいって言われた前科あるし、これは本格的に貴族の仮面を被る練習が必要かしら)
リリスが考えてる横でエリーゼが「私たちにそんなこと言っても大丈夫なんですか?」と聞いた。それにベイガーが微笑むと、言った。
「大丈夫。息子が信用してるお友達だしぃ、それにアルバート公爵家にマリアセレン公爵家はもちろん、サマリー侯爵家とサラマンカ伯爵家、どの家もとーっても信用のおける貴族だし、お客様ですものぉ・・ねっ?だからぜーんぜん平気なの。
さあ、それより今日はこれを見に来たんでしょ?さあさあ、近くに来て見てみなさい」
ベイガーに促されたリリスたちは前へ出て、テーブルに並ぶ品を珍しそうに見る。ツボと生地は淡いブルーをしており、ラペルピンにはやはり淡いブルーの宝石が付いていた。
「手に取っても大丈夫だよ。光の角度によって色が変わるから、やってみて」
アシュリーの言葉にリリスたちは各々手に取る。ラペルピンを手にしたリリスは目の高さにかざし、角度を変えてみる。すると噂通り淡いブルーの宝石がピンクに見えたり、グリーンに見えたりした。
「うわぁ、すごくきれい」
思わず感嘆の声を上げたリリスに、ベイガーが言った。
「そうでしょう?その石はアクアマリンなんだけどぉ、ミレドールで採れる石だけは、そうやって色が変化して見えるのよぉ。不思議よねぇ。
ちなみにそれはさる高貴なお方がご購入済みだからぁ、もう買えないわよぉ」
(へえ、高貴なお方・・・こんなの買えるなんて、王族か公爵、侯爵ぐらいよね。まあうちじゃないわね。スタイラス様のところでもなさそうだし・・・まあ、関係ないか。それより・・)
リリスはここへ来る途中に見かけた物が気になっていたため、ベイガーに聞いた。
「あの、さっきここへ来る途中に見かけた商品を買うことはできますか?」
「あらぁ、何かリリス様のお眼鏡に叶う商品があったかしらぁ」
「テーブルの上にアクセサリーが沢山置いてあったうちの1つです」
「あぁ、あそこね。もちろんだーい歓迎よぉ。後で案内するわね」
ベイガーはそう言うと、ウインクした。
(おっおう、おじさまのウインクはなかなかの破壊力ね。でもやった。どうしてもあれが気になるのよ)
リリスはあれをもう一度見られることに心が躍った。
0
お気に入りに追加
580
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
運命の歯車が壊れるとき
和泉鷹央
恋愛
戦争に行くから、君とは結婚できない。
恋人にそう告げられた時、子爵令嬢ジゼルは運命の歯車が傾いで壊れていく音を、耳にした。
他の投稿サイトでも掲載しております。
【完結】悪役令嬢エヴァンジェリンは静かに死にたい
小達出みかん
恋愛
私は、悪役令嬢。ヒロインの代わりに死ぬ役どころ。
エヴァンジェリンはそうわきまえて、冷たい婚約者のどんな扱いにも耐え、死ぬ日のためにもくもくとやるべき事をこなしていた。
しかし、ヒロインを虐めたと濡れ衣を着せられ、「やっていません」と初めて婚約者に歯向かったその日から、物語の歯車が狂いだす。
――ヒロインの身代わりに死ぬ予定の悪役令嬢だったのに、愛されキャラにジョブチェンしちゃったみたい(無自覚)でなかなか死ねない! 幸薄令嬢のお話です。
安心してください、ハピエンです――
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる