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第2章
第89話 リリス13歳 家族が揃う幸せ
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驚きの連続だったアルミーダの店の訪問から数日後、昼休みの学園の中庭にはリリスとアリーナ、スタイラスの3人の姿があった。
「どうやらしばらく続いていた物の紛失事件、アルバス先生は騒ぎが下火になるのを待つみたいだよ。今後、何も起こらなければ、そのうちみんな忘れるでしょ」
スタイラスはメイルが学園で起こしたちょっとした騒ぎについて教えてくれた。
「あー、だよね。まさか魔女に操られた聖獣のせいだったなんて言えないもの ね。で、ねえリリス、その当のメイルたちはどこにいるの?」
「それが分からないの。まあ、あのメイルたちだから、無邪気にどこかで遊んでるんじゃないかな」
「メイルの魔法も解いたし、これでリリスの夢も心配しなくていいんだよね?」
アリーナがリリスの手を握り、顔を覗き込んできた。それにリリスは頷くと「心配かけてごめんね」と、スタイラスには「本当にありがとう」と言った。そして「今度、みんなにお礼させてね」とも言った。それにスタイラスは「お礼なんて・・何もできなかったし」と言い、アリーナは「そうよねぇ。なにお礼してもらおうかなぁ。アルミーダ2号を見せてもらう協力してもらおうかなぁ」とイタズラっ子ぽく笑いながら言った。
ちょうどそこにネージュとメイルがやって来た。ネージュは近くの木をいとも簡単に登り、メイルはそれを下から眺めてぴょんぴょん飛び跳ねていた。
(うん・・なんか和むよねぇ。本当にあの騒ぎが嘘みたい)
リリスがそう思いながら眺めていると、「ねぇ、メイルもリリスが面倒見るのよね?」とアリーナが聞いてきた。
「そうねぇ。ネージュと仲良いしねぇ。でも別にネージュも勝手に付いてきてるだけで、ご飯をあげてるわけでもないし私もなーんにも面倒見てないんだよね」
「そっかぁ。あー、メイル私に鞍替えしないかなぁ」
(アリーナ、貴女まだ諦めてなかったの。こればっかりは私があげられるものじゃないしねぇ)
リリスは苦笑した。
「そもそも、ネージュはなんでリリス嬢に懐いたんだろうね」
スタイラスが疑問を投げかけた。
「うーん、それが分からないんだよね。先生も前に分からないって言ってたし・・第六感でなにかを感じたとか?!あっ、私が優しそうだから、付いてきちゃた・・とか?!」
「それとも、実はネージュは男の子でリリスに惚れちゃったとか?!」
アリーナの冗談にリリスはあははっと笑い、スタイラスは「ヘンリーに怒られるよ」と言った。
こうしてリリスたちの平和な昼休みは過ぎていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
リリスが帰宅すると、屋敷が賑やかだった。ローズたちが領地から出てきたのだ。毎年の出来事だが、今年はアーウィンの学園への入学手続きもあった。
リリスは鞄を侍女のマリーに預けると、早くみんなの顔を見たくて制服のままローズたちに挨拶に行った。
「お母様、お久しぶりです。無事に到着されて、良かったですわ」
「まあ、リリス!すっかりお姉さんになって。元気そうね」
リリスはローズに駆け寄り、抱きついた。それにローズは笑い「リリスもまだまだ子供ね」と嬉しそうに言った。
「あー、お姉様わたしも!」
セシリアの声がして、リリスの足に彼女が抱きついてきた。そして、そんな二人の姿に「まったく姉さんもセシリアも子供だなぁ」というアーウィンの言葉が投げられた。リリスは冗談で片手をアーウィンの方へ伸ばし「ほらっ、アーウィンもおいでっ」と言うと、アーウィンは「いっ、行かないよ!」と顔を赤くしていた。
(あー、楽しい!やっぱりみんな一緒っていいわね。今日の夕食は賑やかになりそう!)
リリスは久しぶりに家族が揃う喜びを噛み締めていた。
「どうやらしばらく続いていた物の紛失事件、アルバス先生は騒ぎが下火になるのを待つみたいだよ。今後、何も起こらなければ、そのうちみんな忘れるでしょ」
スタイラスはメイルが学園で起こしたちょっとした騒ぎについて教えてくれた。
「あー、だよね。まさか魔女に操られた聖獣のせいだったなんて言えないもの ね。で、ねえリリス、その当のメイルたちはどこにいるの?」
「それが分からないの。まあ、あのメイルたちだから、無邪気にどこかで遊んでるんじゃないかな」
「メイルの魔法も解いたし、これでリリスの夢も心配しなくていいんだよね?」
アリーナがリリスの手を握り、顔を覗き込んできた。それにリリスは頷くと「心配かけてごめんね」と、スタイラスには「本当にありがとう」と言った。そして「今度、みんなにお礼させてね」とも言った。それにスタイラスは「お礼なんて・・何もできなかったし」と言い、アリーナは「そうよねぇ。なにお礼してもらおうかなぁ。アルミーダ2号を見せてもらう協力してもらおうかなぁ」とイタズラっ子ぽく笑いながら言った。
ちょうどそこにネージュとメイルがやって来た。ネージュは近くの木をいとも簡単に登り、メイルはそれを下から眺めてぴょんぴょん飛び跳ねていた。
(うん・・なんか和むよねぇ。本当にあの騒ぎが嘘みたい)
リリスがそう思いながら眺めていると、「ねぇ、メイルもリリスが面倒見るのよね?」とアリーナが聞いてきた。
「そうねぇ。ネージュと仲良いしねぇ。でも別にネージュも勝手に付いてきてるだけで、ご飯をあげてるわけでもないし私もなーんにも面倒見てないんだよね」
「そっかぁ。あー、メイル私に鞍替えしないかなぁ」
(アリーナ、貴女まだ諦めてなかったの。こればっかりは私があげられるものじゃないしねぇ)
リリスは苦笑した。
「そもそも、ネージュはなんでリリス嬢に懐いたんだろうね」
スタイラスが疑問を投げかけた。
「うーん、それが分からないんだよね。先生も前に分からないって言ってたし・・第六感でなにかを感じたとか?!あっ、私が優しそうだから、付いてきちゃた・・とか?!」
「それとも、実はネージュは男の子でリリスに惚れちゃったとか?!」
アリーナの冗談にリリスはあははっと笑い、スタイラスは「ヘンリーに怒られるよ」と言った。
こうしてリリスたちの平和な昼休みは過ぎていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
リリスが帰宅すると、屋敷が賑やかだった。ローズたちが領地から出てきたのだ。毎年の出来事だが、今年はアーウィンの学園への入学手続きもあった。
リリスは鞄を侍女のマリーに預けると、早くみんなの顔を見たくて制服のままローズたちに挨拶に行った。
「お母様、お久しぶりです。無事に到着されて、良かったですわ」
「まあ、リリス!すっかりお姉さんになって。元気そうね」
リリスはローズに駆け寄り、抱きついた。それにローズは笑い「リリスもまだまだ子供ね」と嬉しそうに言った。
「あー、お姉様わたしも!」
セシリアの声がして、リリスの足に彼女が抱きついてきた。そして、そんな二人の姿に「まったく姉さんもセシリアも子供だなぁ」というアーウィンの言葉が投げられた。リリスは冗談で片手をアーウィンの方へ伸ばし「ほらっ、アーウィンもおいでっ」と言うと、アーウィンは「いっ、行かないよ!」と顔を赤くしていた。
(あー、楽しい!やっぱりみんな一緒っていいわね。今日の夕食は賑やかになりそう!)
リリスは久しぶりに家族が揃う喜びを噛み締めていた。
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