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第2章
第72話 リリス13歳 失くし物は何ですか?
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その数日後・・・
「あれ?・・・ない」
アリーナが呟き、鞄の中を確認している。リリスがどうしたのか聞くと、鞄に入れたはずのノートが失くなったと言った。
「屋敷に忘れてきたってことは、ないの?」
「そんな筈は・・確かに朝、鞄に入れたのよ」
とアリーナは否定した。そしてその様子に気付いたスタイラスが、近寄ってきて言った。
「そう言えば、隣のクラスで失くなった物がうちのクラスで見つかったらしいよ。なんか最近同じような事が多いんだよ」
「あっ、それ・・前にヘンリーが言ってたわ。確か夏休みに入る前よ。失くなった物が、全然別の場所から見つかるんだって言ってた」
「へぇ、そんなに前から」
「うん、生徒会でも問題になってるって言ってたから、調査してるんじゃないかな」
「それより私のノートはどこへいったのよぉ」
ちょうどその時、アリーナがアリスに声をかけられた。声のする方を見ると、アリーナとレイリーが揃っていた。
リリスに緊張が走り、体が強張る。何事もないのですっかり油断していたが、まだ何も解決してないのだ。
「アリーナ様、あの・・レイリーが話があるというので少しいいですか?」
「ええ、もちろん。何?」
するとアリスは、横の緊張した面持ちのレイリーを肘で小突いた。小突かれたレイリーは、後ろ手に持っていた物を前に差し出した。一冊のノートだった。
「あの・・このノート、アリーナ様の物ですよね?」
アリーナは差し出されたノートを手に取ると、パラパラと中を確認し「えっ、私のノートだ。どこにあったの?」とレイリーに訊ねた。するとレイリーはなぜか深々と腰を折ると、謝った。
「そのノート・・私の机に入ってました。本当にごめんなさい。あの・・決して私が盗ったわけではありません!どうか信じてください!」
「ちょっとレイリー様。そんな事しなくても、誰も疑わないからっ!」
アリーナが慌てて、レイリーに駆け寄り言った。スタイラスも「大丈夫だよ」と宥める。そうしてレイリーはやっと頭を上げた。
「ありがとうございます・・でもなぜ私の机にあったのか本当に分からなくて・・」
「最近、こういう事が多いから、気にしなくても大丈夫だよ。この間も隣のクラスの物がうちのクラスで見つかったばかりだよ」
「まあ、そんな事が・・」
驚いた様子でレイリーが言った。
「そう、それに生徒会もこの件で動いてるみたいだし・・ねっ、リリス嬢?」
いきなり話を振られたリリスは、「えっ、ええ。そうみたいね」と返すのが、精一杯だった。
(あぁ、ダメね。あの夢が怖くてレイリー様を目の前にすると、緊張しちゃって)
「そうですか。早く解決するといいですね。それでは失礼します」
レイリーはそう言うと、教室を出ていく。アリスが途中「返せて、良かったね」と言うと、レイリーは安堵したように頷いた。
そんな二人の後ろ姿をリリスはじっと見つめていた。
(あんなに素直なレイリー様を悲しませないようにしないとダメ!何も起きないからって、すっかり油断してたわ。しっかりしないと・・)
リリスは新たにそう決意すると、アリーナに言った。
「早速見つかって、良かったね」
それに対し、アリーナは「本当にね」と肩をすくめた。リリスはアリーナに微笑むと自分の席に戻る。するとスタイラスが小さな声で聞いてきた。
「やっぱり彼女を目の前にすると緊張する?」
リリスはハッとして、スタイラスを見る。そして心配そうな眼差しの彼に微笑むと、小さな声で返した。
「あらっ、分かってしまったの?ずっと何もなかったから、油断してただけ。でも、もう大丈夫よ」
リリスの返事にスタイラスは
「そうか・・大丈夫。みんな味方だから」
と言って、安心させるように微笑んだ。
「あれ?・・・ない」
アリーナが呟き、鞄の中を確認している。リリスがどうしたのか聞くと、鞄に入れたはずのノートが失くなったと言った。
「屋敷に忘れてきたってことは、ないの?」
「そんな筈は・・確かに朝、鞄に入れたのよ」
とアリーナは否定した。そしてその様子に気付いたスタイラスが、近寄ってきて言った。
「そう言えば、隣のクラスで失くなった物がうちのクラスで見つかったらしいよ。なんか最近同じような事が多いんだよ」
「あっ、それ・・前にヘンリーが言ってたわ。確か夏休みに入る前よ。失くなった物が、全然別の場所から見つかるんだって言ってた」
「へぇ、そんなに前から」
「うん、生徒会でも問題になってるって言ってたから、調査してるんじゃないかな」
「それより私のノートはどこへいったのよぉ」
ちょうどその時、アリーナがアリスに声をかけられた。声のする方を見ると、アリーナとレイリーが揃っていた。
リリスに緊張が走り、体が強張る。何事もないのですっかり油断していたが、まだ何も解決してないのだ。
「アリーナ様、あの・・レイリーが話があるというので少しいいですか?」
「ええ、もちろん。何?」
するとアリスは、横の緊張した面持ちのレイリーを肘で小突いた。小突かれたレイリーは、後ろ手に持っていた物を前に差し出した。一冊のノートだった。
「あの・・このノート、アリーナ様の物ですよね?」
アリーナは差し出されたノートを手に取ると、パラパラと中を確認し「えっ、私のノートだ。どこにあったの?」とレイリーに訊ねた。するとレイリーはなぜか深々と腰を折ると、謝った。
「そのノート・・私の机に入ってました。本当にごめんなさい。あの・・決して私が盗ったわけではありません!どうか信じてください!」
「ちょっとレイリー様。そんな事しなくても、誰も疑わないからっ!」
アリーナが慌てて、レイリーに駆け寄り言った。スタイラスも「大丈夫だよ」と宥める。そうしてレイリーはやっと頭を上げた。
「ありがとうございます・・でもなぜ私の机にあったのか本当に分からなくて・・」
「最近、こういう事が多いから、気にしなくても大丈夫だよ。この間も隣のクラスの物がうちのクラスで見つかったばかりだよ」
「まあ、そんな事が・・」
驚いた様子でレイリーが言った。
「そう、それに生徒会もこの件で動いてるみたいだし・・ねっ、リリス嬢?」
いきなり話を振られたリリスは、「えっ、ええ。そうみたいね」と返すのが、精一杯だった。
(あぁ、ダメね。あの夢が怖くてレイリー様を目の前にすると、緊張しちゃって)
「そうですか。早く解決するといいですね。それでは失礼します」
レイリーはそう言うと、教室を出ていく。アリスが途中「返せて、良かったね」と言うと、レイリーは安堵したように頷いた。
そんな二人の後ろ姿をリリスはじっと見つめていた。
(あんなに素直なレイリー様を悲しませないようにしないとダメ!何も起きないからって、すっかり油断してたわ。しっかりしないと・・)
リリスは新たにそう決意すると、アリーナに言った。
「早速見つかって、良かったね」
それに対し、アリーナは「本当にね」と肩をすくめた。リリスはアリーナに微笑むと自分の席に戻る。するとスタイラスが小さな声で聞いてきた。
「やっぱり彼女を目の前にすると緊張する?」
リリスはハッとして、スタイラスを見る。そして心配そうな眼差しの彼に微笑むと、小さな声で返した。
「あらっ、分かってしまったの?ずっと何もなかったから、油断してただけ。でも、もう大丈夫よ」
リリスの返事にスタイラスは
「そうか・・大丈夫。みんな味方だから」
と言って、安心させるように微笑んだ。
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