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第2章
第66話 リリス13歳 頼もしい仲間2
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「アシュリー、何か使えそうな物はないか?」
スタイラスの問にアシュリーはしばらく悩んだ後、口を開いた。
「うーん、そうだね。難しいかなぁ。魔道具ならあるかもしれないけど、あれはどれもかなり高価な物だしね。それよりそのアルミーダさんに何か作ってもらったほうがいいんじゃないか?」
「ああ、それが出来たらいいんだけど、無理だろうな」
スタイラスの言葉にヘンリーも頷いた。
(まあ大魔女だし、そんな私の夢如きのために気軽に頼めないよね。ネージュのこと教えてくれたし、悪い人じゃないのよ)
「そうか、まあ仕方ないか」
アシュリーはそう残念そうに言うと、スタイラススが「それじゃあ、明日からの行動だけどいろいろ決めておこうか」とみんなを見回し、作戦会議が始まった。
作戦と言っても、なるべく二人以上がリリスと一緒にいること。レイリーと仲の良いアリスとの接触はなるべく避けること。リリスがまた夢を見たときは、すぐに報告することぐらいだった。最後の報告云々については、ヘンリーはリリスに特に念押した。
ここまで話して一区切りついたところで、アリーナが目を輝かせてリリスの方へ身を乗り出してきた。
「ねえねえ、ところで魔女アルミーダに会った時のこと、もっと詳しく教えなさいよ」
「いいね。僕も非常に興味があるね」
とアシュリーも援護射撃にでてきた。
「分かったわ。そうくると思ってた。ええと、アルバス先生とアルミーダさんが知り合いだったというのは言ったよね。あの店のキャンディーには、魔力が込められてるってのも言ったよね」
「うん、聞いた」
「まさか魔力が入ってるとは、思ってなかったな」
アリーナとアシュリーはすかさず相槌をうつ。それにスタイラスも今更ながら驚いた表情で言う。
「だろう。でもアルミーダさん、キャンディー作りに飽きて、たまに店放ったらかして出掛けてたらしいぞ」
「そうそう!あのアルミーダ2号にはビックリしたわ。あんなスゴイ事ができるなんて、流石大魔女よ」
「リリィはここに来る馬車の中でも、ローブン先生の授業を代わりに受けさせたいって言ってたもんねぇ」
「あっ、ヘンリー!それには貴方も賛成してたじゃない」
「ちょっと、アルミーダ2号って何よ?!もっと分かるように説明を。そこだけ盛り上がらない!」
リリスとヘンリーのやり取りに、アリーナが横槍を挟んだ。
「リリィの言う"2号"って言うのは・・・」とヘンリーがアリーナとアシュリーに説明を始めた。そして、それを聞いてる二人はどんどん驚きの表情に染まり、口があんぐり開いていった。
そして昨日、実際の目で見られなかった事に二人ともあまりにも残念そうにしていたので、リリスはもうひとつの秘密をアリーナたちにお披露目することにした。
実はこれについては今朝までアリーナたちに言うべきかリリスは迷っていたが、ヘンリーの「いずれきっと分かってしまうよ。それなら早いうちに打ち明けてしまったほうがいいんじゃないかな?」という言葉にこの場で言うことを決めたのだった。
「二人とも、そんなに残念がらないで。実は昨日もうひとつ分かったことがあるの」
リリスはそう言うと立ち上がり、出窓へ近付く。そして窓の前の空間に片手を差し出し、空間を撫でる。まるでそこに何かがいるように。そして優しく愛おしそうな眼差しと共に「ねぇ、ネージュ。お願い。みんな私の大事な友達なの。だから、ネージュも仲良くしてくれたら嬉しいな」と言った。
すると窓から差し込む陽射しで気持ち良さそうに日向ぼっこするネージュの姿が徐々に現れた。今まで姿の見えていなかったアリーナとアシュリーは、驚いて立ち上がった。
どうやらネージュの姿は普段人には見えないようで、ネージュ自身が見せてもいいと思わないと姿を認識できないというなかなか都合のいい体をしていた。そしていまリリスのお願いに応え、ネージュはアリーナたちの前にも姿を現したのだ。
「えっ、なに!リリス!それなに?」
「驚いたな。初めて見たぞ。えーと・・」
立ち上がったまま、いきなり現れた生き物を凝視するアリーナとアシュリーに「リリス嬢が手懐けた聖獣だ」とスタイラスが面白そうに教えた。それにリリスは口を尖らせて反論する。
「ちょっと、スタイラス様。手懐けたなんて人聞きの悪い。知らないうちに懐かれたの間違いよ」
「リリィが無意識に何でも手懐けてしまうのは、いつものことだろう?」
ヘンリーもニコニコしながら、ヘンリーに加勢した。
(ぐっ、ヘンリーまでスタイラス様の肩を持つなんて)
リリスは諦めてヘンリーの言葉を聞き流し、ネージュを紹介した。それを聞いたアリーナとアシュリーは、恐る恐る近寄ってきた。
「触ってみる?大丈夫だよ」
リリスが促すと二人は興奮を抑えるようにうんうんと頷き、ネージュを撫でた。
「うわぁ、フワフワでやわらか~い」
「この子がネージュか。確かに商会じゃ取引できないね」
と二人は満足そうにしていた。
そしてその後もワイワイとみんなで他愛もない話で盛り上がったのだった。
スタイラスの問にアシュリーはしばらく悩んだ後、口を開いた。
「うーん、そうだね。難しいかなぁ。魔道具ならあるかもしれないけど、あれはどれもかなり高価な物だしね。それよりそのアルミーダさんに何か作ってもらったほうがいいんじゃないか?」
「ああ、それが出来たらいいんだけど、無理だろうな」
スタイラスの言葉にヘンリーも頷いた。
(まあ大魔女だし、そんな私の夢如きのために気軽に頼めないよね。ネージュのこと教えてくれたし、悪い人じゃないのよ)
「そうか、まあ仕方ないか」
アシュリーはそう残念そうに言うと、スタイラススが「それじゃあ、明日からの行動だけどいろいろ決めておこうか」とみんなを見回し、作戦会議が始まった。
作戦と言っても、なるべく二人以上がリリスと一緒にいること。レイリーと仲の良いアリスとの接触はなるべく避けること。リリスがまた夢を見たときは、すぐに報告することぐらいだった。最後の報告云々については、ヘンリーはリリスに特に念押した。
ここまで話して一区切りついたところで、アリーナが目を輝かせてリリスの方へ身を乗り出してきた。
「ねえねえ、ところで魔女アルミーダに会った時のこと、もっと詳しく教えなさいよ」
「いいね。僕も非常に興味があるね」
とアシュリーも援護射撃にでてきた。
「分かったわ。そうくると思ってた。ええと、アルバス先生とアルミーダさんが知り合いだったというのは言ったよね。あの店のキャンディーには、魔力が込められてるってのも言ったよね」
「うん、聞いた」
「まさか魔力が入ってるとは、思ってなかったな」
アリーナとアシュリーはすかさず相槌をうつ。それにスタイラスも今更ながら驚いた表情で言う。
「だろう。でもアルミーダさん、キャンディー作りに飽きて、たまに店放ったらかして出掛けてたらしいぞ」
「そうそう!あのアルミーダ2号にはビックリしたわ。あんなスゴイ事ができるなんて、流石大魔女よ」
「リリィはここに来る馬車の中でも、ローブン先生の授業を代わりに受けさせたいって言ってたもんねぇ」
「あっ、ヘンリー!それには貴方も賛成してたじゃない」
「ちょっと、アルミーダ2号って何よ?!もっと分かるように説明を。そこだけ盛り上がらない!」
リリスとヘンリーのやり取りに、アリーナが横槍を挟んだ。
「リリィの言う"2号"って言うのは・・・」とヘンリーがアリーナとアシュリーに説明を始めた。そして、それを聞いてる二人はどんどん驚きの表情に染まり、口があんぐり開いていった。
そして昨日、実際の目で見られなかった事に二人ともあまりにも残念そうにしていたので、リリスはもうひとつの秘密をアリーナたちにお披露目することにした。
実はこれについては今朝までアリーナたちに言うべきかリリスは迷っていたが、ヘンリーの「いずれきっと分かってしまうよ。それなら早いうちに打ち明けてしまったほうがいいんじゃないかな?」という言葉にこの場で言うことを決めたのだった。
「二人とも、そんなに残念がらないで。実は昨日もうひとつ分かったことがあるの」
リリスはそう言うと立ち上がり、出窓へ近付く。そして窓の前の空間に片手を差し出し、空間を撫でる。まるでそこに何かがいるように。そして優しく愛おしそうな眼差しと共に「ねぇ、ネージュ。お願い。みんな私の大事な友達なの。だから、ネージュも仲良くしてくれたら嬉しいな」と言った。
すると窓から差し込む陽射しで気持ち良さそうに日向ぼっこするネージュの姿が徐々に現れた。今まで姿の見えていなかったアリーナとアシュリーは、驚いて立ち上がった。
どうやらネージュの姿は普段人には見えないようで、ネージュ自身が見せてもいいと思わないと姿を認識できないというなかなか都合のいい体をしていた。そしていまリリスのお願いに応え、ネージュはアリーナたちの前にも姿を現したのだ。
「えっ、なに!リリス!それなに?」
「驚いたな。初めて見たぞ。えーと・・」
立ち上がったまま、いきなり現れた生き物を凝視するアリーナとアシュリーに「リリス嬢が手懐けた聖獣だ」とスタイラスが面白そうに教えた。それにリリスは口を尖らせて反論する。
「ちょっと、スタイラス様。手懐けたなんて人聞きの悪い。知らないうちに懐かれたの間違いよ」
「リリィが無意識に何でも手懐けてしまうのは、いつものことだろう?」
ヘンリーもニコニコしながら、ヘンリーに加勢した。
(ぐっ、ヘンリーまでスタイラス様の肩を持つなんて)
リリスは諦めてヘンリーの言葉を聞き流し、ネージュを紹介した。それを聞いたアリーナとアシュリーは、恐る恐る近寄ってきた。
「触ってみる?大丈夫だよ」
リリスが促すと二人は興奮を抑えるようにうんうんと頷き、ネージュを撫でた。
「うわぁ、フワフワでやわらか~い」
「この子がネージュか。確かに商会じゃ取引できないね」
と二人は満足そうにしていた。
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