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第2章
第49話 リリス13歳 潜入してみた1
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(うーん・・・・あっ、これかわいい・・いやいや、今日は違うだろぉぉ)
リリスは店内を順番に見ていた。途中、キラキラ光っているキャンディーなど見たことのない商品に目を奪われたが、その度に本来の目的を思い出し、集中する。
(やっぱりあのお店とは違うなぁ。あの時の違和感がないんだよね・・・ていうか、ここじゃなくて2号店をもう一度見に行ったほうが良かったんじゃない?・・・うん、でもこことあのお店はやっぱり何かが違うって分かったし、これは今日の収穫だよね)
今さら気付いても遅かったが、せっかく友人が心配してくれた末の提案にリリスは感謝した。現時点での結論を出したリリスは、店を出ようとスタイラスの姿を探す。
するとカウンターの中にいたお婆さんが声を掛けてきた。以前来店した際、キャンディーをくれたお婆さんだ。
「そこのお嬢さん」
リリスは自分が呼ばれているとは思わず、周りの客にキョロキョロ視線を彷徨わせた。するとお婆さんは視線を真っ直ぐリリスに向け、また声を掛けた。
(ほら、誰かさーん。呼ばれてますよぉ・・って、私?!お婆さんの視線、私に向いてるよね?!もしかして何かやらかした?!)
「ちょいと、ほら、あんただよ。キョロキョロしてないで、こっちにおいで」
ようやく自分が呼ばれていた事に気付いたリリスは、首を傾げて歩み寄った。「お婆さん、私に何かご用ですか?」とリリスが言うと「最近なにか変わった事なかったかい?」といきなり聞いてきた。
(ううん?変わったこと?・・魔法の授業で起こったこと?あー、でもあれは最近じゃないか。部屋で不思議な音がするとか?・・あっ、それに悪夢を見るとか?思えば、変わった事ありすぎじゃない?私は不思議デパートかって・・・"でぱーと"って何語よっ。しかも悪夢はここで貰ったキャンディーを食べて見たじゃない!全然楽しくなかったし・・・ここは文句のひとつでも言わないと!)
「えーっと、変わった事といえば、まあ、あるにはありましたけど、それよりお婆さん、前にこちらで頂いた楽しい夢が見られるキャンディー。あれ、ぜんっぜん見られませんでしたよ!」
「ほう、あのキャンディーをあたしがあんたに渡したのかい?」
(あら、覚えてないの?お婆さん、ボケて・・ゴホッゴホッ)
「あたしゃ、まだボケてないよっ。ボケてるように見えたなら、あんたの目がボケてるんだよ。全く失礼な子だねぇ」
(あらやだ、バレてる。顔に出ちゃった?これも年の功とか?あはっ)
「リリス嬢、大丈夫?何かあった?」
いつの間にかスタイラスが側に立っていた。
「本当に面白い子だねぇ。そんなことよりこの店が休みの時、こんど訪ねておいで。面白いもの見せてやるから」
「今日は駄目なんですか?」
「今日は見ての通り忙しいからね」
確かに店内はなかなか繁盛していたため、難しそうだった。
(んー、どうしようかなぁ。悪い人ではなさそうだけど。面白いものって何だろ。聞いても絶対教えてくれないよねぇ)
「おや、疑ってるようだねぇ。でも後悔はさせないさ。あんたの悩みを解決する手助けができるかもしれないよ」
リリスの戸惑いを察してか、お婆さんは中々魅力的な提案をしてきた。それにリリスは「分かりました」と頷くと、スタイラスを促して店を出た。少し離れた所に待たせていた馬車に向かって歩いていると、スタイラスが口を開いた。
「ところで何か気付いた?」
「ううん、あの2号店とは違うってことだけね。違和感なかったもの。やっぱり2号店に行かないとハッキリしないと思う」
「そうか。さすがにあの店まで行くには時間が足りないからね」
「うん。でも今日ここに来て、私が感じたあの違和感があの店だけだってのは確認できたし。それは中々の収穫よ」
ちょうど馬車の前まで来たので、彼の手を借りて乗り込む。スタイラスも向かいに座ると聞いてきた。
「ところでお婆さんの言う通り、休みにあの店に行くの?」
「はい、行こうかと思って。悪い人には見えなかったし、私の悩みを解決してくれるとかなんとか言ってたし」
リリスの言葉を聞いて「それなら僕も一緒に行ってもいいかい?」と彼が聞いてきたが、リリスは彼の迷惑になるんじゃないかと思った。
しかし「ほら、僕のことは護衛だと思ってくれればいいからね」と冗談めかした彼の言葉にリリスはクスッと笑い「分かったわ。よろしくね」と返した。
リリスは店内を順番に見ていた。途中、キラキラ光っているキャンディーなど見たことのない商品に目を奪われたが、その度に本来の目的を思い出し、集中する。
(やっぱりあのお店とは違うなぁ。あの時の違和感がないんだよね・・・ていうか、ここじゃなくて2号店をもう一度見に行ったほうが良かったんじゃない?・・・うん、でもこことあのお店はやっぱり何かが違うって分かったし、これは今日の収穫だよね)
今さら気付いても遅かったが、せっかく友人が心配してくれた末の提案にリリスは感謝した。現時点での結論を出したリリスは、店を出ようとスタイラスの姿を探す。
するとカウンターの中にいたお婆さんが声を掛けてきた。以前来店した際、キャンディーをくれたお婆さんだ。
「そこのお嬢さん」
リリスは自分が呼ばれているとは思わず、周りの客にキョロキョロ視線を彷徨わせた。するとお婆さんは視線を真っ直ぐリリスに向け、また声を掛けた。
(ほら、誰かさーん。呼ばれてますよぉ・・って、私?!お婆さんの視線、私に向いてるよね?!もしかして何かやらかした?!)
「ちょいと、ほら、あんただよ。キョロキョロしてないで、こっちにおいで」
ようやく自分が呼ばれていた事に気付いたリリスは、首を傾げて歩み寄った。「お婆さん、私に何かご用ですか?」とリリスが言うと「最近なにか変わった事なかったかい?」といきなり聞いてきた。
(ううん?変わったこと?・・魔法の授業で起こったこと?あー、でもあれは最近じゃないか。部屋で不思議な音がするとか?・・あっ、それに悪夢を見るとか?思えば、変わった事ありすぎじゃない?私は不思議デパートかって・・・"でぱーと"って何語よっ。しかも悪夢はここで貰ったキャンディーを食べて見たじゃない!全然楽しくなかったし・・・ここは文句のひとつでも言わないと!)
「えーっと、変わった事といえば、まあ、あるにはありましたけど、それよりお婆さん、前にこちらで頂いた楽しい夢が見られるキャンディー。あれ、ぜんっぜん見られませんでしたよ!」
「ほう、あのキャンディーをあたしがあんたに渡したのかい?」
(あら、覚えてないの?お婆さん、ボケて・・ゴホッゴホッ)
「あたしゃ、まだボケてないよっ。ボケてるように見えたなら、あんたの目がボケてるんだよ。全く失礼な子だねぇ」
(あらやだ、バレてる。顔に出ちゃった?これも年の功とか?あはっ)
「リリス嬢、大丈夫?何かあった?」
いつの間にかスタイラスが側に立っていた。
「本当に面白い子だねぇ。そんなことよりこの店が休みの時、こんど訪ねておいで。面白いもの見せてやるから」
「今日は駄目なんですか?」
「今日は見ての通り忙しいからね」
確かに店内はなかなか繁盛していたため、難しそうだった。
(んー、どうしようかなぁ。悪い人ではなさそうだけど。面白いものって何だろ。聞いても絶対教えてくれないよねぇ)
「おや、疑ってるようだねぇ。でも後悔はさせないさ。あんたの悩みを解決する手助けができるかもしれないよ」
リリスの戸惑いを察してか、お婆さんは中々魅力的な提案をしてきた。それにリリスは「分かりました」と頷くと、スタイラスを促して店を出た。少し離れた所に待たせていた馬車に向かって歩いていると、スタイラスが口を開いた。
「ところで何か気付いた?」
「ううん、あの2号店とは違うってことだけね。違和感なかったもの。やっぱり2号店に行かないとハッキリしないと思う」
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「うん。でも今日ここに来て、私が感じたあの違和感があの店だけだってのは確認できたし。それは中々の収穫よ」
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