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第2章
第30話 リリス13歳 甘い策略
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「あの帽子ステキ。お花が可愛いわ」
「どれ?・・うん、リリスにピッタリだね。まあ、リリスならなんでも似合うけどね」
(うぅぅぅ、今日も甘やかされてますぅぅ)
婚約者の台詞に頬を染め
「でも私の黒い髪では、可愛らしい色は難しいんですよ」と少し悔しそうに言う。
リリスとヘンリーは昨日の約束通りデートの最中だった。
学園から王都の中心街は近いので、学園からウインドウショッピングしながら歩いていた。ヘンリーとのお出かけデートは、リリスのお祝いデート以来だった。
「でもよく手入れされていて艶があって綺麗な髪だから、可愛いいピンクとか黄色いも映えると思うけど」
(ヘンリー様って、何でも褒めてくれるから、実際どうなのか分からないのよ。真に受けたら、笑われるレベルかもね)
リリスはヘンリーに笑顔を見せながら、心の中で自虐した。
しかし当の本人は気付いていないが、実際リリスの容姿は目を引いた。可愛らしい顔立ちで艷やかな漆黒のストレートの長い髪にラベンダー色の瞳がよく映えている。透き通るような白い肌が彼女の魅力をさらに引き立てていた。ヘンリーはリリスの魅力を充分すぎるほど理解していたので、ひと目で独占欲のそれと分かる髪留めを彼女に付けさせ、周囲を牽制していた。そしてヘンリーもまた見目麗しくチョコレートブラウンの瞳に陽の光で輝く金髪をもっており、並んで歩いているリリスとヘンリーはすれ違う人々の視線を独占していた。
そんな目立つふたりがしばらく歩くと、目的のお店に到着した。
ふたりの目の前にはカフェあった。今日は、このお店でのんびりするらしい。
席に案内されると
「ここのイチオシはチョコレートケーキみたいだよ。中から溶けたチョコが出てくるって」
とヘンリーが教えてくれた。
リリスはヘンリーおすすめのチョコレートケーキを注文し、ヘンリーはフルーツのいっぱいのったタルトを注文した。
(ヘンリー様もおすすめのケーキじゃなくていいのかな)
そんなリリスの疑問には、この後すぐに答えが出される。
そう時間がかからずにケーキとお茶が目の前に運ばれ、リリスは目を輝かせた。
(わぁ、美味しそう。あっ、ヘンリー様のタルトも美味しそう)
タルトへの視線に気付いたヘンリーは、にっこりと笑った。
チョコレートケーキを一口食べた彼女は、いま食べてるチョコのようにとろけた顔をする。
(美味しいぃ・・・幸せぇぇ)
リリスが幸せを噛み締めていると、ヘンリーがタルトを一口分刺したフォークを
リリスに向けてきた。
「リリス、はい」
眩しい笑顔のヘンリー。
差し出されたフォークをリリスは素直に口に入れた。
パクっ。
(んんん、タルトも美味しい。幸せす過ぎですぅぅ。あら、今のって、間接キ・・・)
ボッ!顔から火が出るように、リリスの顔が赤くなった。
「ほら、いろんな味を食べたほうがいいだろう?」
(ああっ、もしかして、もしかしなくてもこのために私と違うケーキ頼んだの?!やられたぁぁ)
リリスは婚約者の甘い策略にのってしまったことに、軽い脳内パニックを起こしていた。
今日もヘンリーはリリスがさっきまで食べていたケーキのように甘かった。
「どれ?・・うん、リリスにピッタリだね。まあ、リリスならなんでも似合うけどね」
(うぅぅぅ、今日も甘やかされてますぅぅ)
婚約者の台詞に頬を染め
「でも私の黒い髪では、可愛らしい色は難しいんですよ」と少し悔しそうに言う。
リリスとヘンリーは昨日の約束通りデートの最中だった。
学園から王都の中心街は近いので、学園からウインドウショッピングしながら歩いていた。ヘンリーとのお出かけデートは、リリスのお祝いデート以来だった。
「でもよく手入れされていて艶があって綺麗な髪だから、可愛いいピンクとか黄色いも映えると思うけど」
(ヘンリー様って、何でも褒めてくれるから、実際どうなのか分からないのよ。真に受けたら、笑われるレベルかもね)
リリスはヘンリーに笑顔を見せながら、心の中で自虐した。
しかし当の本人は気付いていないが、実際リリスの容姿は目を引いた。可愛らしい顔立ちで艷やかな漆黒のストレートの長い髪にラベンダー色の瞳がよく映えている。透き通るような白い肌が彼女の魅力をさらに引き立てていた。ヘンリーはリリスの魅力を充分すぎるほど理解していたので、ひと目で独占欲のそれと分かる髪留めを彼女に付けさせ、周囲を牽制していた。そしてヘンリーもまた見目麗しくチョコレートブラウンの瞳に陽の光で輝く金髪をもっており、並んで歩いているリリスとヘンリーはすれ違う人々の視線を独占していた。
そんな目立つふたりがしばらく歩くと、目的のお店に到着した。
ふたりの目の前にはカフェあった。今日は、このお店でのんびりするらしい。
席に案内されると
「ここのイチオシはチョコレートケーキみたいだよ。中から溶けたチョコが出てくるって」
とヘンリーが教えてくれた。
リリスはヘンリーおすすめのチョコレートケーキを注文し、ヘンリーはフルーツのいっぱいのったタルトを注文した。
(ヘンリー様もおすすめのケーキじゃなくていいのかな)
そんなリリスの疑問には、この後すぐに答えが出される。
そう時間がかからずにケーキとお茶が目の前に運ばれ、リリスは目を輝かせた。
(わぁ、美味しそう。あっ、ヘンリー様のタルトも美味しそう)
タルトへの視線に気付いたヘンリーは、にっこりと笑った。
チョコレートケーキを一口食べた彼女は、いま食べてるチョコのようにとろけた顔をする。
(美味しいぃ・・・幸せぇぇ)
リリスが幸せを噛み締めていると、ヘンリーがタルトを一口分刺したフォークを
リリスに向けてきた。
「リリス、はい」
眩しい笑顔のヘンリー。
差し出されたフォークをリリスは素直に口に入れた。
パクっ。
(んんん、タルトも美味しい。幸せす過ぎですぅぅ。あら、今のって、間接キ・・・)
ボッ!顔から火が出るように、リリスの顔が赤くなった。
「ほら、いろんな味を食べたほうがいいだろう?」
(ああっ、もしかして、もしかしなくてもこのために私と違うケーキ頼んだの?!やられたぁぁ)
リリスは婚約者の甘い策略にのってしまったことに、軽い脳内パニックを起こしていた。
今日もヘンリーはリリスがさっきまで食べていたケーキのように甘かった。
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