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第2章

第26話 リリス13歳 先生の噂

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「そういえば、アルバス先生の噂聞いた?」とエリーゼがみんなに聞いた。

みんながエリーゼの言葉に頭の上に?マークを浮かべていると「やっぱり知らないのね」と小噂
さい声で口にすると、みんなの顔を一瞥し話し始めた。

「お母様から聞いたんだけど、なんでもアルバス先生ってすごい魔法使いなんだって」

(そんなの先生はみんなすごいんじゃないの?そういえば健康診断の時の人もすごかったな)
リリスはぼんやりとこの間のことを思い出す。アリーナも「学園の先生だし、すごいのは当たり前というか」と言った。
どうやらみんなもリリスと同じように考えたようだった。
みんなのイマイチの反応にエリーゼはわざとらしくため息をつくと「分かってないなぁ」とドヤ顔で言葉を続けた。

「違うのよ。学園の先生も、もちろんすごいだろうけど、アルバス先生はレベルが違うって。・・・・・実は先生、シュトリーマ王国でトップクラスの魔法使いだったって。しかも王族の側近だったって話よ」

シュトリーマ王国はプロメア王国の隣国で、2国間の交易も盛んだった。

どう?驚いた?とでも言いたげな表情でエリーゼが言うと「そんなシュトリーマのすごい魔法使いが、なんでプロメアにいるんだ?しかも学園の先生なんて」とスタイラスが疑問を口にした。

それにエリーゼが答える。
「それはいろいろ憶測があって、プロメアに好きな人を追いかけてきたとか、シュトリーマの権力争いに敗れて追い出されたとかいろいろ。シュトリーマのスパイじゃないかって話もあったりするのよ。・・・で、結局真実は分からないのよ」

「ねえ、リリスのお父様は何か知らないかな?」とアリーナがリリスに話を振ってきた。
リリスが「うちの?」と思わず聞くと、横からエリーゼが「そうよ、他に誰がいるの。リリスのお父様って魔法使いのトップ"文官長"じゃない。なにか知ってそうだけど」と真剣に聞いてきた。

「うちのお父様は、あまりそういう噂話とかペラペラ喋るタイプじゃないしねぇ」とやんわり否定する。
それでも諦めないエリーゼは「スタイラス様のお父様は?なんと言っても公爵様だし。それにアシュリー様のお家も商会だから、顔が広いよね?」とスタイラスとアシュリーにも聞く。
そして二人もリリスと同じようにやんわり否定した。

(噂話をペラペラ喋るようなら、そもそも文官長なんて任されないのよ。スタイラス様のお家も同じようなものよね。それにアシュリー様も。商会なんてお仕事、信用あってこそだもの)

「そうなの。残念ね」とエリーゼは明らかに面白くなさそうに肩をすくめた。
そのタイミングで「そろそろ教室に戻ろうか」とスタイラスが声をかける。
時計を見ると、あと20分ほどで午後の授業開始時刻だった。
みんなは立ち上がり、教室へ向かう。
「あー、午後は座学かー」
「アシュリー様もそんなこと言うのね」
「みんな授業で寝ちゃだめよ」
「まずは歴史だね」
「どんな先生かなぁ」
なんてことをお喋りしながら、揃って歩いていった。
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