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Scene16 負け犬の遠吠えがすごいです
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「えっ・・?シーラ様?その見事なお胸は似てるけど、失礼ですがお顔は・・」
シャーロットの言葉にシーラの顔はみるみる真っ赤に染まる。そしてシャーロットの胸を指差すと、大声で叫んだ。
「悪かったわね!地味顔で!それに私のこの自慢の胸を、そんな貧相なものと一緒にするな!ルーカス様から王子に乗り換えたくせに!この強欲女!」
その罵声に辺りはしんと静まり返り、セリウスは氷のオーラ放っている。そして恐ろしいほどに口角を上げたセリウスは、シャーロットの横に立つと、彼女の腰を抱き侮蔑の目で見下した。
「貴様・・誰に向かって言ってる。もう一度言ってみろ。ただし、次に汚い言葉を言ったら、貴様の首が飛ぶと思え。わかったか?それと・・・お前の自慢だというその胸に付いているのは何だ?飾りか?ならば今すぐ取り外すが、どうする?ん?答えてみろ!」
セリウスの怒気を含んだ声に、シーラは身体をビクリと震わせた。そして、傍らで聞いていたシャーロットも背筋が寒くなり、肩から掛けたショールをギュッと掴んだ。
(殿下・・・怖い。せっかくの美丈夫が台無しだわ)
「殿下、落ち着いてくださいませ。私は気にしてません。それに彼女の言うとおりですもの」
シャーロットはセリウスをなだめると、シーラと改めて向き合った。
「シーラ様。確かに私に貴女のような自慢のお胸はありませんが、全然羨ましくありませんよ。これ負け惜しみではありませんから、勘違いなさらないでくださいね。
だってそんなものここにつけてたら、明らかに重そうだし、肩こりそうだし、何より男性の視線が邪魔ですもの。
そして貴女は、私がコーネリアス様から乗り換えたと言われましたが、そうではありません。あなた方が愛し合っているところを見てしまったので、身を引いたのです。この機会にはっきり申し上げますが、殿下とはただの主とメイドの主従関係です。
それからコーネリアス様には、私も困ってるんですよ。自分でシーラ様を選んでおきながら、今更私を愛称で呼ぶなど、正気ではありません。将来を共にするなら、シーラ様が彼を引きずってでも、お医者様に連れて行くべきですわ」
「な、何よ!私だって好きでこんな体に産まれたんじゃないんだから!あんたたち男どもが勝手に勘違いしてるだけなんだから!」
そう言い切ったシーラに、さっきまでの威勢は影も形もない。しゅんとして、肩を落としている。そんなシーラにシャーロットは目の前にしゃがみ込むと、「そうよね。でなきゃ、布なんかで隠さないわよね」と優しい声で言った。
しかしシーラから謝罪の言葉はなく、彼女はフンッと不貞腐れたように顔を背けた。シャーロットは苦笑すると、羽織っていたショールをシーラの肩にかけ、そして立ち上がりセリウスに告げる。
「殿下、終わりました。ありがとうございました。衛兵の方々にもお手間を取らせて、申し訳ありませんでした」
そう言って、シャーロットが頭を下げると、衛兵たちは大人しくなったシーラを連れて、部屋を出て行った。
部屋に残ったシャーロットたち五人。無言で騒動の元が消えた扉を見ていた。そして徐ろにメイド長が謝罪を口にする。
「セリウス殿下、アベル宰相。この度は私の教育が行き届かず、このような騒ぎを起こし、申し訳ありません」
深々と頭を垂れる彼女に、セリウスは「いや、君が悪い訳ではない。コーネリアス伯爵家とバーガンディ男爵家には、しっかり責任を取らせるから、気にするな」と言った。
(責任・・そんな大袈裟だわ。被害者の私が止めたら、殿下はこれ以上追求するのをやめてくれるかしら)
セリウスの話にそう思ったシャーロットだったが、それよりも気になっていることがあった。シーラの犯行の様子を映し出した置物だ。
恐る恐る置物の側に近寄ると、マジマジと観察する。
(うーん。どう見ても普通の置物なのよね。これがあの鮮明な映像を記憶してるなんて、誰も思わな・・・あら?ちょっと待って・・)
シャーロットは、ここであることに気付いた。ギギギッと油を指し忘れた機械のように、首をセリウスの方へぎこちなく向けると、「殿下・・・」と弱々しく呼んだ。それにセリウスが不思議そうな眼差しを向けると、シャーロットは言葉を続ける。
「あの・・・つかぬことを伺いますが、これは部屋の中の映像を記憶する道具ですよね?ただの置物ではなく・・・ということは、私の・・その・・・着替えてる姿とかも・・・映ったり・・」
シャーロットの質問にセリウスは、満面の笑みで「しないよ」と言った。
それにホッと安堵したシャーロットは、置物が気になっていた。アベルによると、瞳と同じ石の付いた鍵が近くにあると、映像が記憶されないそうだ。
「まあ、そんな便利なものがあるんですね」
感心したシャーロットは、再び疑問を口にする。それなら、衛兵の証言など取らずに最初からあの映像でシーラだけ連れてくればよかったのではないかと・・
そして、その問いにセリウスは、いたずらっ子のような笑顔で答えた。
「それじゃあ、つまらないよね?それにああやって犯人をあぶり出したほうが、探偵みたいじゃないか。これも窮屈な城暮らしを紛らわす娯楽の一つだよ」
そんなセリウスにシャーロットは、呆れると同時に彼らしいとも思う。だが、今回ばかりは心臓に悪いので、勘弁して欲しいと思った。
そして、そんな彼女の気持ちをよんだかのように、セリウスは言った。
「クックックッ・・大丈夫だよ。もうしないから・・」
シャーロットの言葉にシーラの顔はみるみる真っ赤に染まる。そしてシャーロットの胸を指差すと、大声で叫んだ。
「悪かったわね!地味顔で!それに私のこの自慢の胸を、そんな貧相なものと一緒にするな!ルーカス様から王子に乗り換えたくせに!この強欲女!」
その罵声に辺りはしんと静まり返り、セリウスは氷のオーラ放っている。そして恐ろしいほどに口角を上げたセリウスは、シャーロットの横に立つと、彼女の腰を抱き侮蔑の目で見下した。
「貴様・・誰に向かって言ってる。もう一度言ってみろ。ただし、次に汚い言葉を言ったら、貴様の首が飛ぶと思え。わかったか?それと・・・お前の自慢だというその胸に付いているのは何だ?飾りか?ならば今すぐ取り外すが、どうする?ん?答えてみろ!」
セリウスの怒気を含んだ声に、シーラは身体をビクリと震わせた。そして、傍らで聞いていたシャーロットも背筋が寒くなり、肩から掛けたショールをギュッと掴んだ。
(殿下・・・怖い。せっかくの美丈夫が台無しだわ)
「殿下、落ち着いてくださいませ。私は気にしてません。それに彼女の言うとおりですもの」
シャーロットはセリウスをなだめると、シーラと改めて向き合った。
「シーラ様。確かに私に貴女のような自慢のお胸はありませんが、全然羨ましくありませんよ。これ負け惜しみではありませんから、勘違いなさらないでくださいね。
だってそんなものここにつけてたら、明らかに重そうだし、肩こりそうだし、何より男性の視線が邪魔ですもの。
そして貴女は、私がコーネリアス様から乗り換えたと言われましたが、そうではありません。あなた方が愛し合っているところを見てしまったので、身を引いたのです。この機会にはっきり申し上げますが、殿下とはただの主とメイドの主従関係です。
それからコーネリアス様には、私も困ってるんですよ。自分でシーラ様を選んでおきながら、今更私を愛称で呼ぶなど、正気ではありません。将来を共にするなら、シーラ様が彼を引きずってでも、お医者様に連れて行くべきですわ」
「な、何よ!私だって好きでこんな体に産まれたんじゃないんだから!あんたたち男どもが勝手に勘違いしてるだけなんだから!」
そう言い切ったシーラに、さっきまでの威勢は影も形もない。しゅんとして、肩を落としている。そんなシーラにシャーロットは目の前にしゃがみ込むと、「そうよね。でなきゃ、布なんかで隠さないわよね」と優しい声で言った。
しかしシーラから謝罪の言葉はなく、彼女はフンッと不貞腐れたように顔を背けた。シャーロットは苦笑すると、羽織っていたショールをシーラの肩にかけ、そして立ち上がりセリウスに告げる。
「殿下、終わりました。ありがとうございました。衛兵の方々にもお手間を取らせて、申し訳ありませんでした」
そう言って、シャーロットが頭を下げると、衛兵たちは大人しくなったシーラを連れて、部屋を出て行った。
部屋に残ったシャーロットたち五人。無言で騒動の元が消えた扉を見ていた。そして徐ろにメイド長が謝罪を口にする。
「セリウス殿下、アベル宰相。この度は私の教育が行き届かず、このような騒ぎを起こし、申し訳ありません」
深々と頭を垂れる彼女に、セリウスは「いや、君が悪い訳ではない。コーネリアス伯爵家とバーガンディ男爵家には、しっかり責任を取らせるから、気にするな」と言った。
(責任・・そんな大袈裟だわ。被害者の私が止めたら、殿下はこれ以上追求するのをやめてくれるかしら)
セリウスの話にそう思ったシャーロットだったが、それよりも気になっていることがあった。シーラの犯行の様子を映し出した置物だ。
恐る恐る置物の側に近寄ると、マジマジと観察する。
(うーん。どう見ても普通の置物なのよね。これがあの鮮明な映像を記憶してるなんて、誰も思わな・・・あら?ちょっと待って・・)
シャーロットは、ここであることに気付いた。ギギギッと油を指し忘れた機械のように、首をセリウスの方へぎこちなく向けると、「殿下・・・」と弱々しく呼んだ。それにセリウスが不思議そうな眼差しを向けると、シャーロットは言葉を続ける。
「あの・・・つかぬことを伺いますが、これは部屋の中の映像を記憶する道具ですよね?ただの置物ではなく・・・ということは、私の・・その・・・着替えてる姿とかも・・・映ったり・・」
シャーロットの質問にセリウスは、満面の笑みで「しないよ」と言った。
それにホッと安堵したシャーロットは、置物が気になっていた。アベルによると、瞳と同じ石の付いた鍵が近くにあると、映像が記憶されないそうだ。
「まあ、そんな便利なものがあるんですね」
感心したシャーロットは、再び疑問を口にする。それなら、衛兵の証言など取らずに最初からあの映像でシーラだけ連れてくればよかったのではないかと・・
そして、その問いにセリウスは、いたずらっ子のような笑顔で答えた。
「それじゃあ、つまらないよね?それにああやって犯人をあぶり出したほうが、探偵みたいじゃないか。これも窮屈な城暮らしを紛らわす娯楽の一つだよ」
そんなセリウスにシャーロットは、呆れると同時に彼らしいとも思う。だが、今回ばかりは心臓に悪いので、勘弁して欲しいと思った。
そして、そんな彼女の気持ちをよんだかのように、セリウスは言った。
「クックックッ・・大丈夫だよ。もうしないから・・」
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