33 / 58
第30話 素直になれないリリス
しおりを挟む
リリスは、魔石作りに没頭していた。フェクターに贈られた注入器を使うと、簡単に質の良い魔石が出来上がるのだ。アーサーが言っていた通り、彼なら術式まで組み込んだ完成形の魔石を作れるのだろうが、この道具を使ってできる魔石は、術式のない魔力が込められただけの未完成品だ。恐らく、あの時のアーサーとのやり取りを見ていた彼なりの気遣いだろう。贈ってくれたフェクターの真意は分からなかったが、せっかくアルバスにも使い方を教えてもらったので、有り難く使っていた。
そして、没頭する理由がもう一つあった。王国では夏休み前のこの時期に16歳になった令息令嬢は、社交デビューする。16歳のヘンリーもこの度、めでたくデビューしたのだったが、ご令嬢から大人気だったのだ。あの見目で誠実、更に今はリリスとは婚約破棄かという偽りの噂が流れている為、噂を信じているもしくは初めて彼を見た他の学校の令嬢は、果敢に辺境伯家令息の攻略に乗り出した。無論、ヘンリーの氷の防御で跳ね返され、負傷者が続出したのは言うまでもない。
しかし、ヘンリーを信じてるとは言っても、リリスは内心やきもきしていた。そしてそんな心の重しを忘れたいかのように、魔石作りに没頭していた。
相変わらずアルバート家の夕食に毎日やって来るヘンリーとは、社交デビューと2回目のキスのことでギクシャクしていた。これは一方的にリリスが拗ねているだけだったが、時間が過ぎれば過ぎるほど、リリスはひとり拗らせていった。
そして、夏休みの予定を話し合う場面で、リリスとヘンリーは喧嘩をしてしまう。出会ってから、初めての喧嘩だった。
リリスと表立って会えなかったヘンリーは、休み中は彼女を連れて領地に引きこもるつもりだった。領地ならどんなに一緒に居ても、人目を気にせずに済む。遠慮なくリリスと一緒にいられるのだ。
しかし、リリスは長い夏休みに噂の相手のアーサーと全く会わないのは、おかしいだろうと何回か城を訪ねるつもりだった。当然、これではずっと領地に引きこもるわけにはいかない。ヘンリーの目論見は外されたのだ。
「リリィ、何で?せっかく二人で一緒に居られるのに・・休みが終わったら。また僕たちは離れてしまうんだよ」
「分かってるわ。でも長い休みで噂が忘れられないよう、少しは殿下との姿も見せておかないと・・それに彼女の動向も気になるし・・・あの子が何かやらかして、殿下に迷惑がかからないとも言えないでしょう?」
「もうとっくに迷惑かけてると、思・・・・あっ、ごめん」
本音が口から出たヘンリーは、慌てて謝る。
「へぇ、そういうふうに思ってたの。よーく分かったわ」
「あっ、リリィ違うんだ。今のは言葉のあやってやつで・・・」
「ふーん、何とでも言えるよね。でも思ってないことは言葉に出来ないんだよ、人間てのは・・・よーく分かった。もうヘンリーなんて知らない。領地にも行かない。一人で行けば、いいのよ!」
リリスは非難の言葉を口にしながら、自分でも大人気ないことを分かっていた。ヘンリーの言いたいことも十分すぎるほど分かっていた。しかし、心のモヤモヤをずっと抱え込んできたリリスは、ヘンリーへの理不尽な不満が止まらなかった。言いながら、自分の心もナイフで刺されたように傷付く。
ここへきて天邪鬼を発揮してしまったリリスは引くに引けなくなり、ヘンリーを部屋から追い出した。ヘンリーもリリスの剣幕に押され、あっけなく廊下へ出る。ヘンリーを追い出し、大きな音をたてて扉を閉めたリリスは、扉に背中を預けると「何で素直になれないのよ、リリス」と呟く。その瞳は光るものが溢れそうになっていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
翌日の夕食の時間は、重い雰囲気が流れていた。リリスとヘンリーの間の空気を察したアーウィンは、食事をさっさと済ませると、早々に自室へ逃げ込んだ。父ダーウィンはまだ城にいるため、気まずい二人が取り残される。リリスは無言で立ち上がると、逃げ出すように食堂を後にした。ヘンリーが慌てて追いかけるが、リリスの足が止まることはない。
「リリィ、待って」
呼び止める言葉を無視して、リリスは自室へ滑り込むと、扉を閉めた。
(あー、また素直になれない・・)
自分の行動に胸がチクッと痛んだリリスは、彼に謝ろうか扉の前で迷っていると、突然扉が開いた。ノックもなしに開けられたことに、リリスは驚きの声をあげる。
「きゃっ」
現れたのは、ヘンリーだった。その表情は憂いを帯び、今にも泣きそうに見える。リリスは「なっ、なに!?ノックもしないで入ってくるなんて、何を考えてるの!?」と抗議する。
「ごめん、でもこうでもしないとリリィは聞いてくれないだろう?本当にごめん。お願いだから、機嫌を直しておくれ」
「言葉では何とでも言えるもんね」と言いながら、更にヒートアップするリリス。
「知ってるのよ!社交デビューの時、知らない子たちにアピールされたんでしょ?何なのよ。2回目のキスもしてくれないくせに・・何が婚約者よ。私ばっかり悶々としてバッカみたい!」
最後の方は自分でも何を喚いているのか、分からなくなっていたリリスは、涙をためた瞳で精一杯睨む。しかしヘンリーは、さっきまでの戸惑いを微笑みの中に消し去り、リリスを見つめていた。攻守が逆転した瞬間だった。
そして、ヘンリーは彼女の漆黒の長い髪を一束手に取ると、それにキスを落とす。その仕草の間も視線はリリスへ向けている。甘い声で「リリィ、かわいいね」と言葉を贈ると、色気を爆発させた。色気にあてられたリリスは一瞬で顔を真っ赤にし、言い返す。
「なっ、なによ!?私は怒ってるのよ!」
「だってヤキモチ焼いてくれたんでしょう?」と言うと、ヘンリーはにっこり微笑んだ。その余裕の笑顔の裏に黒いものを感じ取ったリリスは後ずさるが、彼の腕に身体を絡め取られてしまう。ヘンリーの力強い腕は、リリスの細い身体を縮こませる。そして、次にリリスを襲ったのは、頭の上から降ってきたセリフだった。
「それにキスしていいんだよね」
「へっ?」
リリスは頭の中が真っ白になり、素っ頓狂な声を出す。
「僕だって男だからね。リリィの許可がおりたなら、歯止めがきかなくなるけど」
「はっ?」
(今に何ておっしゃいましたか?紳士ヘンリーはどこへいった!?)
「僕がどれだけ我慢してると思ってるの?僕がどれだけ君を愛してると思ってるの?もう君なしじゃ生きられないのに・・・でも僕のお姫様はやっと目覚めた様子だし、ここは思い知ってもらわないとね。僕の君への愛を・・覚悟はできてる?」
「かっ、覚悟?・・・」
この後、リリスはヘンリーの想いを嫌というほど痛感させられるのだった。
(砂糖過多どころじゃなかった。砂糖の洪水にあっという間にのまれた・・ひょっとして結婚したら、毎日これ?・・・いやぁ、流石に心臓もたない。なんなら今、爆発するから・・)
そして、没頭する理由がもう一つあった。王国では夏休み前のこの時期に16歳になった令息令嬢は、社交デビューする。16歳のヘンリーもこの度、めでたくデビューしたのだったが、ご令嬢から大人気だったのだ。あの見目で誠実、更に今はリリスとは婚約破棄かという偽りの噂が流れている為、噂を信じているもしくは初めて彼を見た他の学校の令嬢は、果敢に辺境伯家令息の攻略に乗り出した。無論、ヘンリーの氷の防御で跳ね返され、負傷者が続出したのは言うまでもない。
しかし、ヘンリーを信じてるとは言っても、リリスは内心やきもきしていた。そしてそんな心の重しを忘れたいかのように、魔石作りに没頭していた。
相変わらずアルバート家の夕食に毎日やって来るヘンリーとは、社交デビューと2回目のキスのことでギクシャクしていた。これは一方的にリリスが拗ねているだけだったが、時間が過ぎれば過ぎるほど、リリスはひとり拗らせていった。
そして、夏休みの予定を話し合う場面で、リリスとヘンリーは喧嘩をしてしまう。出会ってから、初めての喧嘩だった。
リリスと表立って会えなかったヘンリーは、休み中は彼女を連れて領地に引きこもるつもりだった。領地ならどんなに一緒に居ても、人目を気にせずに済む。遠慮なくリリスと一緒にいられるのだ。
しかし、リリスは長い夏休みに噂の相手のアーサーと全く会わないのは、おかしいだろうと何回か城を訪ねるつもりだった。当然、これではずっと領地に引きこもるわけにはいかない。ヘンリーの目論見は外されたのだ。
「リリィ、何で?せっかく二人で一緒に居られるのに・・休みが終わったら。また僕たちは離れてしまうんだよ」
「分かってるわ。でも長い休みで噂が忘れられないよう、少しは殿下との姿も見せておかないと・・それに彼女の動向も気になるし・・・あの子が何かやらかして、殿下に迷惑がかからないとも言えないでしょう?」
「もうとっくに迷惑かけてると、思・・・・あっ、ごめん」
本音が口から出たヘンリーは、慌てて謝る。
「へぇ、そういうふうに思ってたの。よーく分かったわ」
「あっ、リリィ違うんだ。今のは言葉のあやってやつで・・・」
「ふーん、何とでも言えるよね。でも思ってないことは言葉に出来ないんだよ、人間てのは・・・よーく分かった。もうヘンリーなんて知らない。領地にも行かない。一人で行けば、いいのよ!」
リリスは非難の言葉を口にしながら、自分でも大人気ないことを分かっていた。ヘンリーの言いたいことも十分すぎるほど分かっていた。しかし、心のモヤモヤをずっと抱え込んできたリリスは、ヘンリーへの理不尽な不満が止まらなかった。言いながら、自分の心もナイフで刺されたように傷付く。
ここへきて天邪鬼を発揮してしまったリリスは引くに引けなくなり、ヘンリーを部屋から追い出した。ヘンリーもリリスの剣幕に押され、あっけなく廊下へ出る。ヘンリーを追い出し、大きな音をたてて扉を閉めたリリスは、扉に背中を預けると「何で素直になれないのよ、リリス」と呟く。その瞳は光るものが溢れそうになっていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
翌日の夕食の時間は、重い雰囲気が流れていた。リリスとヘンリーの間の空気を察したアーウィンは、食事をさっさと済ませると、早々に自室へ逃げ込んだ。父ダーウィンはまだ城にいるため、気まずい二人が取り残される。リリスは無言で立ち上がると、逃げ出すように食堂を後にした。ヘンリーが慌てて追いかけるが、リリスの足が止まることはない。
「リリィ、待って」
呼び止める言葉を無視して、リリスは自室へ滑り込むと、扉を閉めた。
(あー、また素直になれない・・)
自分の行動に胸がチクッと痛んだリリスは、彼に謝ろうか扉の前で迷っていると、突然扉が開いた。ノックもなしに開けられたことに、リリスは驚きの声をあげる。
「きゃっ」
現れたのは、ヘンリーだった。その表情は憂いを帯び、今にも泣きそうに見える。リリスは「なっ、なに!?ノックもしないで入ってくるなんて、何を考えてるの!?」と抗議する。
「ごめん、でもこうでもしないとリリィは聞いてくれないだろう?本当にごめん。お願いだから、機嫌を直しておくれ」
「言葉では何とでも言えるもんね」と言いながら、更にヒートアップするリリス。
「知ってるのよ!社交デビューの時、知らない子たちにアピールされたんでしょ?何なのよ。2回目のキスもしてくれないくせに・・何が婚約者よ。私ばっかり悶々としてバッカみたい!」
最後の方は自分でも何を喚いているのか、分からなくなっていたリリスは、涙をためた瞳で精一杯睨む。しかしヘンリーは、さっきまでの戸惑いを微笑みの中に消し去り、リリスを見つめていた。攻守が逆転した瞬間だった。
そして、ヘンリーは彼女の漆黒の長い髪を一束手に取ると、それにキスを落とす。その仕草の間も視線はリリスへ向けている。甘い声で「リリィ、かわいいね」と言葉を贈ると、色気を爆発させた。色気にあてられたリリスは一瞬で顔を真っ赤にし、言い返す。
「なっ、なによ!?私は怒ってるのよ!」
「だってヤキモチ焼いてくれたんでしょう?」と言うと、ヘンリーはにっこり微笑んだ。その余裕の笑顔の裏に黒いものを感じ取ったリリスは後ずさるが、彼の腕に身体を絡め取られてしまう。ヘンリーの力強い腕は、リリスの細い身体を縮こませる。そして、次にリリスを襲ったのは、頭の上から降ってきたセリフだった。
「それにキスしていいんだよね」
「へっ?」
リリスは頭の中が真っ白になり、素っ頓狂な声を出す。
「僕だって男だからね。リリィの許可がおりたなら、歯止めがきかなくなるけど」
「はっ?」
(今に何ておっしゃいましたか?紳士ヘンリーはどこへいった!?)
「僕がどれだけ我慢してると思ってるの?僕がどれだけ君を愛してると思ってるの?もう君なしじゃ生きられないのに・・・でも僕のお姫様はやっと目覚めた様子だし、ここは思い知ってもらわないとね。僕の君への愛を・・覚悟はできてる?」
「かっ、覚悟?・・・」
この後、リリスはヘンリーの想いを嫌というほど痛感させられるのだった。
(砂糖過多どころじゃなかった。砂糖の洪水にあっという間にのまれた・・ひょっとして結婚したら、毎日これ?・・・いやぁ、流石に心臓もたない。なんなら今、爆発するから・・)
0
お気に入りに追加
357
あなたにおすすめの小説
不機嫌な悪役令嬢〜王子は最強の悪役令嬢を溺愛する?〜
晴行
恋愛
乙女ゲームの貴族令嬢リリアーナに転生したわたしは、大きな屋敷の小さな部屋の中で窓のそばに腰掛けてため息ばかり。
見目麗しく深窓の令嬢なんて噂されるほどには容姿が優れているらしいけど、わたしは知っている。
これは主人公であるアリシアの物語。
わたしはその当て馬にされるだけの、悪役令嬢リリアーナでしかない。
窓の外を眺めて、次の転生は鳥になりたいと真剣に考えているの。
「つまらないわ」
わたしはいつも不機嫌。
どんなに努力しても運命が変えられないのなら、わたしがこの世界に転生した意味がない。
あーあ、もうやめた。
なにか他のことをしよう。お料理とか、お裁縫とか、魔法がある世界だからそれを勉強してもいいわ。
このお屋敷にはなんでも揃っていますし、わたしには才能がありますもの。
仕方がないので、ゲームのストーリーが始まるまで悪役令嬢らしく不機嫌に日々を過ごしましょう。
__それもカイル王子に裏切られて婚約を破棄され、大きな屋敷も貴族の称号もすべてを失い終わりなのだけど。
頑張ったことが全部無駄になるなんて、ほんとうにつまらないわ。
の、はずだったのだけれど。
アリシアが現れても、王子は彼女に興味がない様子。
ストーリーがなかなか始まらない。
これじゃ二人の仲を引き裂く悪役令嬢になれないわ。
カイル王子、間違ってます。わたしはアリシアではないですよ。いつもツンとしている?
それは当たり前です。貴方こそなぜわたしの家にやってくるのですか?
わたしの料理が食べたい? そんなのアリシアに作らせればいいでしょう?
毎日つくれ? ふざけるな。
……カイル王子、そろそろ帰ってくれません?
悪役令嬢、第四王子と結婚します!
水魔沙希
恋愛
私・フローディア・フランソワーズには前世の記憶があります。定番の乙女ゲームの悪役転生というものです。私に残された道はただ一つ。破滅フラグを立てない事!それには、手っ取り早く同じく悪役キャラになってしまう第四王子を何とかして、私の手中にして、シナリオブレイクします!
小説家になろう様にも、書き起こしております。
死ぬはずだった令嬢が乙女ゲームの舞台に突然参加するお話
みっしー
恋愛
病弱な公爵令嬢のフィリアはある日今までにないほどの高熱にうなされて自分の前世を思い出す。そして今自分がいるのは大好きだった乙女ゲームの世界だと気づく。しかし…「藍色の髪、空色の瞳、真っ白な肌……まさかっ……!」なんと彼女が転生したのはヒロインでも悪役令嬢でもない、ゲーム開始前に死んでしまう攻略対象の王子の婚約者だったのだ。でも前世で長生きできなかった分今世では長生きしたい!そんな彼女が長生きを目指して乙女ゲームの舞台に突然参加するお話です。
*番外編も含め完結いたしました!感想はいつでもありがたく読ませていただきますのでお気軽に!
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。
その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。
そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。
なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。
私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。
しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。
それなのに、私の扱いだけはまったく違う。
どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。
当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。
見ず知らずの(たぶん)乙女ゲーに(おそらく)悪役令嬢として転生したので(とりあえず)破滅回避をめざします!
すな子
恋愛
ステラフィッサ王国公爵家令嬢ルクレツィア・ガラッシアが、前世の記憶を思い出したのは5歳のとき。
現代ニホンの枯れ果てたアラサーOLから、異世界の高位貴族の令嬢として天使の容貌を持って生まれ変わった自分は、昨今流行りの(?)「乙女ゲーム」の「悪役令嬢」に「転生」したのだと確信したものの、前世であれほどプレイした乙女ゲームのどんな設定にも、今の自分もその環境も、思い当たるものがなにひとつない!
それでもいつか訪れるはずの「破滅」を「回避」するために、前世の記憶を総動員、乙女ゲームや転生悪役令嬢がざまぁする物語からあらゆる事態を想定し、今世は幸せに生きようと奮闘するお話。
───エンディミオン様、あなたいったい、どこのどなたなんですの?
********
できるだけストレスフリーに読めるようご都合展開を陽気に突き進んでおりますので予めご了承くださいませ。
また、【閑話】には死ネタが含まれますので、苦手な方はご注意ください。
☆「小説家になろう」様にも常羽名義で投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる