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忠告が功を奏したのか前回の記憶にある時期になっても、リカードとスチュワートがルメイン男爵令嬢と接触した様子はなく安堵していた。
男爵令嬢は何とか近づこうと躍起になっているようだが、ランバートとレインが近づけないように上手くあしらってくれている。
懲りずにエヴァリーナを攻撃するような噂を流そうとしている事が耳に入れば、ルメイン男爵令嬢に協力している子息達の家に書状を出して当主に忠告した。
どの家でも、僕の名前で送られてきた書状を読んで顔を青くして子息達の再教育が行われているらしい。
最近では子爵家や男爵家などで情報交流が交わされて、下位クラスの子息達がごっそりと領地に戻されていた。
たった一人の庶子の男爵令嬢に入れ込んで虚言に踊らされ、王家や高位貴族から睨まれればたまったものではないだろうから賢明である。
色々と吹き込まれて盲信していた子息達は、エヴァリーナが性悪で侯爵家の権力で無理矢理王太子の婚約者になって、ルメイン男爵令嬢と婚約したかった王太子との仲を邪魔していると実家で喚いていたそうだが、僕からの書状を受け取っていた当主達から激怒されて厳しい指導を受けているようだ。
まあ、もし僕の書状がなかったとしても、そんな戯言を信じるような者は、まともな貴族にはいないだろうがね。
「下位クラスに所属する子息達が領地に引き上げられたので、今いるのは令嬢方と平民の生徒達だけになっていますよ。中には縁談が流れた者もいるので、ルメイン男爵令嬢は今、随分と睨まれているみたいですね。庇ってくれる子息達がいないので荒れているようです」
リカードやスチュワートを抑えておけばと安心していたが、被害者を出してしまった。
初めからルメイン男爵に警告してフローラを学園に入れないようにするべきだったのか、だけど流石にそこまで口を出す権利はない。
庶子として男爵家に入り貴族令嬢となったフローラにも、学園に入り学ぶ権利はあるからだ。
ただ、今の状況を見ればその一人の令嬢の権利を守る為に出た被害が大きかった。
ルメイン男爵令嬢、彼女の目的は何なのだろう、前の生でもそうだったが執拗にエヴァリーナを攻撃して貶めようとする。今回は初めからそうならないように動いたが、ルメイン男爵令嬢の周囲では同じような事が起こってしまった。僕やランバート達が目を光らせているから、一部の下位貴族令息達だけの間だけに留まっているが。
エヴァリーナに成り代わりたいのか、庶子の男爵令嬢には到底無理な話なのだが。
仮にエヴァリーナを貶めて追い落としたところで、ルメイン男爵令嬢がエヴァリーナの代わりになれる事は絶対にない。他の高位貴族の令嬢が取って変わるだけなのに。
庶子として貴族令嬢に取り立てられたから、自分の望みは全て叶うとでも思い込んでいるのだろうか……ああ……前回はその望みをあいつらが叶えようとしていたのか……
そんな事を考えてしまうと、遠い目になった。
「子息達を学園から引き上げさせざるを得なかった貴族家からは、ルメイン男爵家に苦情を出すだろうね。婚約を解消せざるを得なかった令嬢の家からも。引き取った令嬢にしっかりとした教育を施さなかった男爵家の責任だ。とりあえず、引き続き警戒は怠らないようにしてくれ。」
僕が指示を出すとレインは頷き、聞いていたであろう影達も散らばっていった。
兎に角、無事にエヴァリーナと婚姻を果たすまでは気は抜けない。
もう二度と、エヴァリーナをあんな目に合わせたりしない。
男爵令嬢は何とか近づこうと躍起になっているようだが、ランバートとレインが近づけないように上手くあしらってくれている。
懲りずにエヴァリーナを攻撃するような噂を流そうとしている事が耳に入れば、ルメイン男爵令嬢に協力している子息達の家に書状を出して当主に忠告した。
どの家でも、僕の名前で送られてきた書状を読んで顔を青くして子息達の再教育が行われているらしい。
最近では子爵家や男爵家などで情報交流が交わされて、下位クラスの子息達がごっそりと領地に戻されていた。
たった一人の庶子の男爵令嬢に入れ込んで虚言に踊らされ、王家や高位貴族から睨まれればたまったものではないだろうから賢明である。
色々と吹き込まれて盲信していた子息達は、エヴァリーナが性悪で侯爵家の権力で無理矢理王太子の婚約者になって、ルメイン男爵令嬢と婚約したかった王太子との仲を邪魔していると実家で喚いていたそうだが、僕からの書状を受け取っていた当主達から激怒されて厳しい指導を受けているようだ。
まあ、もし僕の書状がなかったとしても、そんな戯言を信じるような者は、まともな貴族にはいないだろうがね。
「下位クラスに所属する子息達が領地に引き上げられたので、今いるのは令嬢方と平民の生徒達だけになっていますよ。中には縁談が流れた者もいるので、ルメイン男爵令嬢は今、随分と睨まれているみたいですね。庇ってくれる子息達がいないので荒れているようです」
リカードやスチュワートを抑えておけばと安心していたが、被害者を出してしまった。
初めからルメイン男爵に警告してフローラを学園に入れないようにするべきだったのか、だけど流石にそこまで口を出す権利はない。
庶子として男爵家に入り貴族令嬢となったフローラにも、学園に入り学ぶ権利はあるからだ。
ただ、今の状況を見ればその一人の令嬢の権利を守る為に出た被害が大きかった。
ルメイン男爵令嬢、彼女の目的は何なのだろう、前の生でもそうだったが執拗にエヴァリーナを攻撃して貶めようとする。今回は初めからそうならないように動いたが、ルメイン男爵令嬢の周囲では同じような事が起こってしまった。僕やランバート達が目を光らせているから、一部の下位貴族令息達だけの間だけに留まっているが。
エヴァリーナに成り代わりたいのか、庶子の男爵令嬢には到底無理な話なのだが。
仮にエヴァリーナを貶めて追い落としたところで、ルメイン男爵令嬢がエヴァリーナの代わりになれる事は絶対にない。他の高位貴族の令嬢が取って変わるだけなのに。
庶子として貴族令嬢に取り立てられたから、自分の望みは全て叶うとでも思い込んでいるのだろうか……ああ……前回はその望みをあいつらが叶えようとしていたのか……
そんな事を考えてしまうと、遠い目になった。
「子息達を学園から引き上げさせざるを得なかった貴族家からは、ルメイン男爵家に苦情を出すだろうね。婚約を解消せざるを得なかった令嬢の家からも。引き取った令嬢にしっかりとした教育を施さなかった男爵家の責任だ。とりあえず、引き続き警戒は怠らないようにしてくれ。」
僕が指示を出すとレインは頷き、聞いていたであろう影達も散らばっていった。
兎に角、無事にエヴァリーナと婚姻を果たすまでは気は抜けない。
もう二度と、エヴァリーナをあんな目に合わせたりしない。
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