絶対に間違えない

りりん

文字の大きさ
上 下
3 / 9

3

しおりを挟む
 エヴァリーナとの婚約と並んで、僕の側近候補が選ばれた
 前、と同様に宰相子息であるリカード・アデレードと騎士団長子息のスチュワート・ラントだ
 この頃の彼らはまだ何もしていないし、家格を考えても妥当ではあるから、不本意ではあるが拒否する事も出来ない。だから、今回は彼らと共に一つ歳が上の財務大臣を務める侯爵家の子息ランバード・ザインと、伯爵家の子息レイン・ヒューズを、側近候補に加えてもらった。
 ランバードは未知数だが、レインは前回、男爵令嬢に籠絡されなかった事から、是非加えたかったのだ

 そして、僕は王太子としての帝王学を、エヴァリーナは王太子妃となる為の教育が始まった

 以前は教育がてらスケジュールに組まれたお茶会が週に二日程あり、それを利用して交流をしていたが、今回は毎日、時間を見つけてはエヴァリーナの元に通い、お茶をしたり庭を散策したりして交流を深めた
 少しの時間だけでもエヴァリーナと会いたいという気持ちが一番だが、もう一つの目的は、少しでも時間があればエヴァリーナに会いに行く僕の姿を側近達に見せる為だ

 「イブ、少し時間が出来たから、会いにきてしまったよ」

 一輪のピンク色の花を手渡すと、エヴァリーナは少し頬を赤く染めながら、花よりも可憐な笑みを浮かべる

 「ありがとうございます、ルカ様。ですが、お空きになった時間に少しお休みになられた方がよろしいのではありませんか?ご無理をなさってはお身体を壊してしまいますわ」

 嬉しそうにしながらも、僕の身体の心配をしてくれる

 「大丈夫だよ。休む時はしっかり休んでいる。それに、本当なら休んでいる時間でさえもイブに会いたいんだ。イブに会えるのが何よりも嬉しい」

 エヴァリーナの髪をひと房掬い上げて口付ける

 「お休みになられていらっしゃるのであれば、良かったですわ。わたくしも、ルカ様とお会い出来るのが嬉しいです」

 可愛らしく可愛い事を言ってくれるエヴァリーナの髪をサラサラと撫でる
 侍女達も生暖かい目で見る程のピンク色の空間になっていた

 そしてエヴァリーナは、側近達に対しても当然のように自然に気遣いと感謝を示す
 手ずから美味しい紅茶を入れてくれると、僕と側近達の労をねぎらってくれるのだった
 勿論、側近達に対しては適切な距離を持って礼儀正しく接している
 そう、普通のまともな令嬢の当然の接し方である

 そうやって僕は学園に入学するまでに、側近達特にリカードとスチュワートの二人に、どれ程エヴァリーナを想っているのかを、嫌という程に繰り返し何度も何度も見せた
 同時に、エヴァリーナがどれ程思い遣りのある令嬢か、王妃となる為の教育がどれ程厳しいものか、というのもしっかりと見せたのである

 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

その婚約破棄本当に大丈夫ですか?後で頼ってこられても知りませんよ~~~第三者から見たとある国では~~~

りりん
恋愛
近年いくつかの国で王族を含む高位貴族達による婚約破棄劇が横行していた。後にその国々は廃れ衰退していったが、婚約破棄劇は止まらない。これはとある国の現状を、第三者達からの目線で目撃された物語

私、悪役令嬢に戻ります!

豆狸
恋愛
ざまぁだけのお話。

勘違いって恐ろしい

りりん
恋愛
都合のいい勘違いって怖いですねー

勝手にしなさいよ

恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

婚約破棄イベントが壊れた!

秋月一花
恋愛
 学園の卒業パーティー。たった一人で姿を現した私、カリスタ。会場内はざわつき、私へと一斉に視線が集まる。  ――卒業パーティーで、私は婚約破棄を宣言される。長かった。とっても長かった。ヒロイン、頑張って王子様と一緒に国を持ち上げてね!  ……って思ったら、これ私の知っている婚約破棄イベントじゃない! 「カリスタ、どうして先に行ってしまったんだい?」  おかしい、おかしい。絶対におかしい!  国外追放されて平民として生きるつもりだったのに! このままだと私が王妃になってしまう! どうしてそうなった、ヒロイン王太子狙いだったじゃん! 2021/07/04 カクヨム様にも投稿しました。

7年ぶりに私を嫌う婚約者と目が合ったら自分好みで驚いた

小本手だるふ
恋愛
真実の愛に気づいたと、7年間目も合わせない婚約者の国の第二王子ライトに言われた公爵令嬢アリシア。 7年ぶりに目を合わせたライトはアリシアのどストライクなイケメンだったが、真実の愛に憧れを抱くアリシアはライトのためにと自ら婚約解消を提案するがのだが・・・・・・。 ライトとアリシアとその友人たちのほのぼの恋愛話。 ※よくある話で設定はゆるいです。 誤字脱字色々突っ込みどころがあるかもしれませんが温かい目でご覧ください。

冷たかった夫が別人のように豹変した

京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。 ざまぁ。ゆるゆる設定

私知らないから!

mery
恋愛
いきなり子爵令嬢に殿下と婚約を解消するように詰め寄られる。 いやいや、私の権限では決められませんし、直接殿下に言って下さい。 あ、殿下のドス黒いオーラが見える…。 私、しーらないっ!!!

処理中です...