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38 シストラ王国では
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「もうっ!暗くて何も見えないじゃない!!早くどうにかしてよ!」
ルルアの金切り声が響き渡る
侍女が急いでローソクに火を灯しに走ってきた
ローソクの数にも限りかある為に、侍女達は薄暗い、または真っ暗な王宮の廊下を明かりもなく移動しなければならないのだ
城の中どころか、王都の夜は今、暗闇に包まれ明かり一つ灯っていない
何故こんな事になっているのか
数週間前から、平民達が持っている魔法石の効力が切れ始めた。それに続くようにして貴族達が保有している魔法石も王宮の魔法石も次々に効力がなくなっていった
それ自体は普通によくある事なのだ。魔法石に込められた魔力が、使う度に魔法石から減っていく。だから王都や各領地には魔法石を扱うお店があるのだ。
が、ライディン王国が、国交を断絶し流通の取り引きを凍結した事によって、シストラ王国への魔法石の供給がストップし、店舗には売る魔法石がなくなってしまっていた
魔法がない国では魔法石は高価なもので、ライディン王国でも魔法石を過剰に流通させていない。各国で選ばれた商会のトップが王宮の責任者と相談して、必要な魔法石の量をライディン王国に発注し、ライディン王国で認められれば魔法石が供給される、という流れである
だから今、シストラ王国からいくら発注しても要望を出しても、全て拒否されているのだ
そして、一週間前、とうとうシストラ王国内の全ての魔法石の効力が切れてしまった
切れてすぐの頃は、たかが魔法石が使えないくらいで、とタカをくくっていた
実際は、魔法石がないと魔道具が使えない、日常的に身の回りにあるものは、ほとんど使えなくなってしまった
小さな火の魔法石を入れて使うランプが使えず夜は真っ暗
水の魔法石を使っている水の蛇口が使えず、お風呂に水が貯められず、台所仕事もままならない。火の魔法石がなくては水を温める事も、コンロに火を付ける事も出来ない
氷の魔法石がなくては、冷蔵庫で食材を冷やす事も出来ずに食材が腐ってしまう
内地にあるシストラ王国は元々水の資源が少なく、井戸を掘っても、今の国に十分な水が行き渡らないのだ
このような事態を予想していたものは誰一人としていなかった、心酔するルルアの声一つで、他国の者でも平伏し聖女の思い通りになるのだと、皆は思っていた。現にこの国では全てルルアの思い通りになっていたからである
王太子は婚約者と婚約破棄してルルアと婚約した、王家も貴族達も当然のようにそれを支持した。聖女であるルルアが王太子と婚姻するのは当然だと誰もが思っていた。庶子の男爵令嬢だというルルアの出自など誰一人問題にする者はいなかったのだ
本来ならば、そこに疑問を抱かない事じたいがおかしい、のにも関わらず
ルルアの金切り声が響き渡る
侍女が急いでローソクに火を灯しに走ってきた
ローソクの数にも限りかある為に、侍女達は薄暗い、または真っ暗な王宮の廊下を明かりもなく移動しなければならないのだ
城の中どころか、王都の夜は今、暗闇に包まれ明かり一つ灯っていない
何故こんな事になっているのか
数週間前から、平民達が持っている魔法石の効力が切れ始めた。それに続くようにして貴族達が保有している魔法石も王宮の魔法石も次々に効力がなくなっていった
それ自体は普通によくある事なのだ。魔法石に込められた魔力が、使う度に魔法石から減っていく。だから王都や各領地には魔法石を扱うお店があるのだ。
が、ライディン王国が、国交を断絶し流通の取り引きを凍結した事によって、シストラ王国への魔法石の供給がストップし、店舗には売る魔法石がなくなってしまっていた
魔法がない国では魔法石は高価なもので、ライディン王国でも魔法石を過剰に流通させていない。各国で選ばれた商会のトップが王宮の責任者と相談して、必要な魔法石の量をライディン王国に発注し、ライディン王国で認められれば魔法石が供給される、という流れである
だから今、シストラ王国からいくら発注しても要望を出しても、全て拒否されているのだ
そして、一週間前、とうとうシストラ王国内の全ての魔法石の効力が切れてしまった
切れてすぐの頃は、たかが魔法石が使えないくらいで、とタカをくくっていた
実際は、魔法石がないと魔道具が使えない、日常的に身の回りにあるものは、ほとんど使えなくなってしまった
小さな火の魔法石を入れて使うランプが使えず夜は真っ暗
水の魔法石を使っている水の蛇口が使えず、お風呂に水が貯められず、台所仕事もままならない。火の魔法石がなくては水を温める事も、コンロに火を付ける事も出来ない
氷の魔法石がなくては、冷蔵庫で食材を冷やす事も出来ずに食材が腐ってしまう
内地にあるシストラ王国は元々水の資源が少なく、井戸を掘っても、今の国に十分な水が行き渡らないのだ
このような事態を予想していたものは誰一人としていなかった、心酔するルルアの声一つで、他国の者でも平伏し聖女の思い通りになるのだと、皆は思っていた。現にこの国では全てルルアの思い通りになっていたからである
王太子は婚約者と婚約破棄してルルアと婚約した、王家も貴族達も当然のようにそれを支持した。聖女であるルルアが王太子と婚姻するのは当然だと誰もが思っていた。庶子の男爵令嬢だというルルアの出自など誰一人問題にする者はいなかったのだ
本来ならば、そこに疑問を抱かない事じたいがおかしい、のにも関わらず
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