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  王宮での夜会の当日、リチャードはエスコートに迎えに来ないのは勿論のこと、ドレスすらも送ってこなかった
  それに関しては予想していたので問題なく、エルバルトがドレスを用意していた
  王都の仕立て屋が、リーザロッテのドレスを作る事を拒むのも想定済みで、エルバルトはライディン王国の仕立て屋にドレスを作らせていたのだ

  セレスティアは王太子から贈られたシャンパンゴールドのプリンセスラインのドレスにロイヤルブルーサファイアの首飾りと髪留め
  アイリスはリドウィンが送った藍色が鮮やかなドレスにダイヤモンドの首飾り
  そしてリーザロッテにはエルバルトが落ち着いた赤いドレスにルビーの首飾り
  それぞれがライディン王国の最高級のシルクで、着る本人の美しさを際立たせるように計算されて作らせている
  セレスティアとアイリスは婚約者の瞳や髪の色を纏っているが、エルバルトは、リーザロッテのドレスや装飾具にリーザロッテ本人の色を纏わせた
  リーザロッテの婚約者は、今現在リチャードであるが、リチャードの色を纏わせたくなかったからである
  ちなみに、リチャードはブラウンの髪に翠の瞳である
  余談でルルアは、淡い黄色の髪にブラウンの瞳だ
  ゴールドの髪ではなく、あくまで黄色い髪だ

  メイド達の手によって美しく髪を結われ準備が整った三人は、本当に美しかった
  
  ライディン王国の王家の紋章をつけた馬車にエルバルト達男性陣が三人と女性陣三人に別れて乗り込み、護衛と魔法騎士達を配置して厳戒態勢で王宮に向かった
  他国の王家の馬車を襲うような馬鹿はいないだろうが、今の王都の情勢を見て、リーザロッテに危険が及ばないようにと考えて厳重に警戒をしたのである
  
  リーザロッテには話していないが、夜会に向かっている間に寮の荷物は全て侍女とメイド達の手によって収納バッグに仕舞われ、ライディン王国に転送する手筈になっている

  王宮に着いた六人は、リドウィンがアイリスをエスコートして先頭に立ち、四人はその後に続いて会場入りした
  リチャードにエスコートされていないリーザロッテを見つけた生徒達は、あからさまな嘲笑をリーザロッテに向けた
  他の貴族達も同様である
  セレスティアとアイリスは、不快感に歪みそうになる顔を扇で隠す
  それでもリーザロッテは、気高く真っ直ぐに前を向き凛と立っている

  そこに、ピンク色のこれでもかとレースとフリルでヒラヒラとしたドレスを着たルルアをエスコートしたリチャードと側近達が会場に入ってきた

  
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