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  「エル様ー、リド様ルイ様、今日のお昼はルルア達とランチしましょう!


  教室に入るなり甘ったるい声で飛びついてきたルルアに五人はギョッとする
  だいたい、昨日の今日でファーストネーム、しかも愛称呼びなど許しただろうか、それも下位貴族の令嬢が王族と高位貴族の令息、しかも他国のである
  
  というのはこっそりと胸にしまって、にこりと王子様スマイルを実装したエルバルト
  他の四人から見ると「うわあ、怖ぁ」なスマイルなのだが、どうやらルルアはお気に召したらしい、うふふ、と笑いながらエルバルトにくっつこうとするのを流石にさり気なく距離を取った

  「お誘いは有り難いんだけど、昼食はセレスティア達と予定をしているんだよ。申し訳ない」

  「えー、そうなんですかぁ、ルルア楽しみにしてたのに悲しいですぅ」

  当たり障りのないように断りを入れたエルバルトに、グスンと泣き出さんばかりにしょげたルルアの周りに集まったロイス達が慰めている
  笑顔が引き攣りそうになるのを堪えながらエルバルトは離れると自分の席についた
  令息達に見られないように、セレスティアとアイリスをキッと睨みつけるルルアを、見なかった振りをしてセレスティア達も席についた
  
  
  「ごきげんよう、セレスティア様アイリス様」

  「ごきげんよう、リーザロッテ様」

  「昨夜は良くお休みになれました?」

  「ええ、私達順応性が高いのでぐっすりと休めましたわ」

  「それは良うございましたわ」

  登校してきたリーザロッテと会話を交わしながら少し気になっていた
  昨日案内してもらいながら感じたリーザロッテの性格上、おそらくギリギリの時間に行動するような事はないと思うが、今リーザロッテが登校してきたのは始業時間のギリギリ前なのだ
  教師が来た為そのまま会話は終わっていた

  午後の授業が終わり、五人は食堂であるカフェテラスでランチをしていた
  リーザロッテが席を探して通りかかる

  「リーザロッテ様、席が空いていますので御一緒に如何ですか?」

  セレスティアが声を掛けて誘うと五人揃っているからであろうか躊躇いをみせる
  
  「リンドル公爵令嬢、席もないようだし、私達は食事が済めばすぐに席を外しますから、よろしければどうぞ」

  エルバルトが遠慮をしているリーザロッテに声を掛けた
  目に付くような空席もない為このまま公爵令嬢である彼女をうろうろさせておく訳にもいかないと思った

  「王子殿下、お気遣いありがとう存じます。わたくしはすぐに済ませます故、ごゆっくりお食事をなさって下さいませ」

  第二王子であるエルバルトに声を掛けられては断れば失礼に当たると判断したリーザロッテは進められた席についた
  暫くは和やかに食事が進んだ。流石王妃教育も受けている公爵令嬢である、食事の所作も美しく優雅であった

  「あーーっ、どうして、リーザロッテ様がエルバルト様達とランチしてるんですかっ?ルルアは断られたのに、ズルいですぅ!」

  奥で昼食を取っていたらしいルルアとリチャード達の集団が通りかかると、大きな声を出して指を指された
  リーザロッテは驚いて固まっている
  はぁ、公爵令嬢に指を指すこの令嬢は何なのかしらと、心の中で溜め息をついたセレスティアが、にこりと笑みを浮かべた

  「席が空いていませんでしたから、私がお呼びいたしましたの」

  「席が空くまで、待てば良いだろう」

  リチャードがリーザロッテを睨み付けながら言った言葉に五人は驚き唖然とした
  いくら学園で身分は問わず公平にといったところで、これは別の問題である

  「公爵令嬢であるリーザロッテ様に、うろうろさせたまま待たせるなんて出来ませんわ」

  「公爵令嬢だからって、またそうやって身分を笠にきるんですねっ」

  リーザロッテは何も発言していないに関わらず、リーザロッテに矛先を向けるルルアにセレスティアは呆れて頭が痛くなる

  「身分を笠にきるなどというような事ではありませんわ。そもそも私がお呼びしたのだと申したではありませんか」

  でもでもだってとまだ言い募ろうとするルルアを遮るようにしてリーザロッテがセレスティア達に頭を下げた

  「わたくしが図々しく御一緒させていただいたのが悪かったのでございますわ、お騒がせして申し訳ございません」

  謝罪を述べるリーザロッテに、そうだお前が悪いんだ、図々しい女だなどと詰る言葉を投げつけるリチャード達に、話にならないと判断したエルバルトは

  「リチャード殿下、リンドル公爵令嬢は婚約者でしょう。そなたが御一緒して差し上げるべきではありませんか?」

  ムッとしたリチャードは、ふんっと吐き捨て踵を返して食堂を出ていった

  
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