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これも日頃の行いが良いからだね♡

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 「クソ王子の犬どもがああっ!!」
 「俺達の怒りを思い知れええっ!!」
 「く、くそぉっ!!何でただの一般人達がこんなに強いんだあ!?」

 農具やただの木の棒等で、武装とも言えないような武装をした人々が、鋼鉄製の武具を装備して戦闘訓練を受けてきた兵士達を圧倒し次々と打ち倒し捕縛していく。

 「うわあ……。みんな強いね……。これが怒りの力ってやつかな。これならサポート必要ないかも」

 ぼくがそう呟くと、アルバがぼくに答えた。

 「ノルンが与えた食事の効果だな。あの肉はかなりの高位の竜の肉だろう。そんな物を喰らえばレベルアップ位する」
 「そう言われてみれば、ラギアンでみんなにお裾分けしたら、なんかみんなすごく元気になってたっけ」

 腰が曲がってて杖がないと歩けなかった、ご近所のおじーちゃんおばーちゃんは背筋がまっすぐになり、杖なしで歩き回るようになったし、パパが率いる聖騎士団のおじさん達もものすごく元気になって訓練してたっけ。
 ……そう言えば王様達やお城に努めてる人達みんなもあの竜のお肉を食べたら、みんな元気が有り余っちゃってバリバリお仕事してるって、レイリィおねーちゃんこと椿ママが言ってたような。

 「私が見た所、あの竜の肉を食べると個人の資質にもよりますがレベルが10から15くらい上がるようです」

 リライザがそう教えてくれた。
 知らなかった、そんなの……。

 「元々高レベルのノルンにはあまり効果が実感出来なかったんでしょうね。ーーノルン!!外壁の砲台が市民の皆さんを狙っています!!」
 「ああそれ?だいじょーぶだいじょーぶ」

 ぼくがそう答えた次の瞬間、ちゅどーんっ!!と爆発音が鳴り、続けて何度も何度も爆発音が響く。

 「予めね、火の上級精霊フレイアと雷の上級精霊サンダルフォンを砲台の方と火薬庫に向かわせたの」
 「それじゃ、今の爆発は……」
 「ぼくがやったんだよ♡」
 「な、なんて事をするんですか!!大惨事じゃないですか!!」
 「死人は出てないよ?フレイヤとサンダルフォンには兵士達にわざと姿を見せて、その場から逃走させてから爆発させてってお願いしといたもん」

 ぼくがそう答えるとリライザはまだぼくに食って掛かる。

 「やってる事がめちゃくちゃですよ!!」
 「リライザ。いい加減ノルンを理解せよ」
 「どこの世界に火薬庫に火を付ける聖女がいるんですか!!」
 「えっ?ここにいるよ?」
 「開き直らないでください!!」
 「アルバ。この混乱に乗じて馬鹿王子をとっ捕まえるよ」
 「うむ。目標の位置は把握しているのか?」
 「シャインの目を通じて監視中。このまま城内に突撃したら天井をぶち抜くから、そしたら飛んで」
 「わかった」

 ぼくは背後で呆然としているリヒャルト様に後を託す為に声をかける。

 「リヒャルト様。後の事はお願い致します」
 「あ、うん……。ご武運を……」

 そんなやりとりを終えるとアルバが走り出した。
 怒号と爆発音が鳴り響く城内に飛び込むと防御陣プロテクションふぁんとむを分厚い天井に叩き込む。
 天井に穴が空いたのを確認して、防御陣プロテクションはんどを作り出して逃走しようとしていた馬鹿王子を捕まえた。
 空に浮かんだアルバの背中から、天井の穴に上半身を潜り込ませると馬鹿王子と目があった。

 「はあ~い♡馬鹿王子♡」
 「ぎゃああああああっ!!」

 まるで化け物を見たかのような反応をされてムカついたので、馬鹿王子を穴の中に引きずり込むと、天井から床に落としてやった。

 「ぐべっ!!」

 顔面から床に落ちた馬鹿王子が、大の字にうつ伏せになってぴくぴくと震えてる。

 「あなたの命運もここまでだよ」

 ぼくがそう告げると、馬鹿王子はよろよろと鼻血を流しながら立ち上がった。

 「な、何故だ……?洗脳は上手く行ったはず……。魔力だって封じたはずだ……」
 「だって洗脳なんかされてないし、あんなチンケな魔導具の魔力封じなんて効くわけないでしょ?」

 アルバが殺気を込めた視線を向けながら、馬鹿王子に向かって一歩踏み出すと馬鹿王子はヒッと悲鳴を上げてその場にへたり込んだ。
 恐怖で失禁したのか、床が黄色い水溜りで濡れる。
 汚いなあ、もう。

 「ま、待ってくれ!!確かに私は許されない事をした!!だがこれは貴女への愛故に!!」
 「……愛があなたを狂わせたとでも?」
 「そ、そう!!そうなんだ!!私は初めて出会ったあの日からずっと貴女に恋をしていた!!貴女を愛してる!!貴女に愛されたい!!ただそれだけでこんな」
 「気持ち悪い」
 「……え?」

 ぼくは馬鹿王子の言葉を遮って言い放った。

 「ねえ。おしっこ漏らしながら告白とか何の冗談なの?そもそもぼくとの年の差考えて?30にもなる大の大人が15の女の子と釣り合うとか本気で思ってるの?」
 「な!?」
 「ぼくだって女の子だからね、良い人やかっこいい人に好意を寄せられたらそりゃ、悪い気はしないよ?それに応えるかは別としてね。でもね、あなたは生理的に無理!!顔と権力位しか誇れる物がない上に他人の事を考えられない、自分勝手な最低人間。おまけにロリコン。そんな相手のお嫁さんになんか誰がなりたいと思うの?」
 「な、な、な……」
 「顔をいやらしい目でジロジロ見られるのだって嫌なのに、当時13の女の子の胸やおしりをやたらジロジロ見るようなおじさん誰が相手にするのさ。女の子はね、そういう視線には敏感なんだよ?あっ、ごめーん。その歳になってもまだ婚約者もいない変態ロリコン馬鹿王子にはそんな事わかんなかったよねえー?大方自分は選ぶ側だって思ってるんだろうけど、この国の令嬢達だって相手は選ぶからー。あなたみたいな変態ロリコン野郎の子供なんて誰も産みたくないからね。身の程をわきまえなさいな、お・ば・か・さん♡」
 「こ、こ、こ、このクソガキがあああっ!!高貴なこの私をコケにしやがってえええ!!」

 激昂した馬鹿王子が立ち上がりこちらに詰め寄ろうとする。

 「防御陣プロテクションぱんち!!」
 「ぶべらっ!!」

 馬鹿王子自慢の顔面に思いきり防御陣プロテクションぱんちを叩き込んで整形してやった。

 「誰のせいでこんな姿になったと思ってるの!!防御陣プロテクションぱんち!!防御陣プロテクションぱんち!!防御陣プロテクションぱんち!!」

 何発も防御陣プロテクションぱんちを叩き込んでやると、顔面をパンパンに腫らした馬鹿王子がずるずると床を這いつくばりながら逃げていく。

 「逃さない!!」

 ぼくが馬鹿王子を防御陣プロテクションはんどで取っ捕まえようとしたその時、這いつくばっている馬鹿王子の目の前に黒いローブ姿の男がその姿を現した。

 「転移魔法!?」

 ぼくがリライザを構えると、馬鹿王子は突然現れた男の下半身に縋り付く。

 「ジェ、ジェイガン!!奴を!!聖女を殺せ!!」
 「……いいでしょう。でもその前に」

 男の指先が馬鹿王子の額に触れた次の瞬間。
 馬鹿王子は脳天を魔力の弾丸で撃ち抜かれて即死した。

 「用済みのおまえを始末しておこう。今まで、予算や研究材料をありがとうリードヴィッヒ。おかげで素晴らしい宝も手に入った」

 黄土色に輝く宝玉を手に男は酷薄な笑みを浮かべる。

 「最高位回復魔法エクス・ヒール!!」

 脳天を撃ち抜かれ即死したリードヴィッヒが最高位回復魔法エクス・ヒールの輝きに包まれ一瞬で蘇生回復した。

 「わ、私はいったい……?」

 リードヴィッヒはぼくの顔を見て、歓喜の表情を浮かべる。

 「や、やはり本当は私の事を……!!」
 「防御陣プロテクションぱんち!!」
 「べぶうっ!!」

 ふざけた事を口走った馬鹿王子の顔面を全力でぶん殴ると、防御陣プロテクションはんどで吹っ飛んだ馬鹿王子を捕まえて新しく作った牢獄球プリズンボールに投げ込んだ。

 「ほう。あんな無能をわざわざ蘇生させるか。流石聖女と言ったところか」
 「まだアレにはみんなを苦しめた罪を償わせてないからね。たかだか腹心に裏切られて即死させられた程度じゃ、何の償いにもなってないもの」

 ぼくがジェイガンと呼ばれていた目の前の男にそう答えると、ジェイガンはどこか戸惑った声でぼくに問いかけてきた。

 「貴様……。聖女、だよな?」
 「どこからどう見ても聖女でしょ?ちょっと幼くなっちゃったけど」

 すっかり薄くなってしまった胸を張りジェイガンにそう答えてやった。
 せっかくだーりん好みの大きさに順調に育ってたのに……。
 いっぱい悲しい。
 だーりんが今のぼく見たら何て言うかな……。

 「そ、そうか。まあいい。我が研究の実験相手に不足な」
 「防御陣プロテクションぱんち!!」
 「はぶっ!?」

 ジェイガンの言葉の途中で防御陣プロテクションぱんちをお見舞いしてあげた。
 顔面を殴り飛ばされ、吹っ飛んでいくジェイガン。
 小物っぽい悪党の言葉なんて、どうでもいいから最後まで聞く必要なし!!
 とっととリヒャルト様に引き渡して終わりにしよっと。
 とりあえず、ジェイガンの手からこぼれ落ちた宝玉をぼくは防御陣プロテクションはんどで拾い上げ回収した。

 「これは!!ノルン、これは土のオーブですよ!!」

 回収した宝玉をまじまじと観察していると、リライザが興奮した声でぼくにそう告げた。

 「えっ?ホント?こんなとこにあったんだねえ。どうりで見つからなかったはずだよぉ」

 行方不明だった土のオーブゲットぉ♡
 ラッキー♡
 これもぼくの日頃の行いが良いからだね♡
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